色違いスライム
『オイッ!! テメェいい加減にしろやッ!! オルァッ!! 』。
「...ん? 」。
カンジの耳に怒声が届き、不意に後ろを振り返った。
『どこの出身だって聞いてんだよッ!! テメェだけ身体が白いんだからよそもんだろうがよッ!! 』。
『おいッ!! 何か言ってみろやぁッ!! ゴルァッ!! 』。
『いてもうたろうかぁッ!? ワレェッ!! おぉッ!? 』。
(何だ? 魔獣同士の喧嘩か? )。
カンジは道から外れた草むらで揉めているスライムの集団に視線を向けた。
白いスライムが数体の水色スライムに囲まれているのが確認できた。
『...』。
白スライムは黙っているような様子でじっとしていた。
『兄貴ッ!! もうやっちまいましょうぜッ!! 』。
『やっちまいましょうッ!! 』。
『よぉし!! コイツにヤキ入れてや...』。
ボォンッッ!!
一体のスライムが突如破裂し、水色の液体が四方八方に飛び散った。
『あ、兄貴ッ!? 』。
『な、何だッ!? 』。
『に、人間だぁッ!! 』。
スライム達は小石を掴んでいるカンジの存在に気が付いた。
「モンスターの事情は知らんけど、集団いじめは良くないな」。
カンジはそう言いながらゆっくりとスライム達に近づいてきた。
『や、やべっ!! 』。
『に、逃げるぞっ!! 』。
スライム達は慌てた様子で飛び跳ねながらその場から離れていった。
『...』。
白スライムは依然として黙ったまま、その場から動こうとはしなかった。
「...アンタ、名前は? 」。
カンジは不意にその白スライムに語りかけた。
『...』。
「...」。
しばらく、沈黙がこの場を支配していた...が。
『...アージェ』。
カンジは白スライムからそう答えが返ってきた...ような気がしていた。




