はぁ~??
酒屋を出たカンジは夜まで時間を潰しがてら宿屋から部屋を借りていた。
「ふざけんなよっ!! たった一泊だけなのに六千ゼニー飛んだぞ!? ぼったくりもいいとこだろうがっ!! 」。
そう憤るカンジは借りた部屋に入るなり、背負っていたリュックを怒り任せにベッドへ叩き付けた。
『うわっ!? ち、ちょっとっ! カンジさんっ! いきなり何するんですかっ! 』。
リュックの中にいたアージェが飛び出し、ベッドの上で飛び跳ねた。
「あ、アージェさん。ごめんなさい、あまりの怒りでつい…」。
カンジは申し訳なさそうに頭を下げた。
『いや、別にいいですけど…。そんなにお金が高かったんですか? 』。
「高いですよ、ありえない。一通り見て回ったけど、ここよりも滅茶苦茶高かった所がほとんどでしたからね。親からもらった手切れ金があるとはいえ、これじゃ無くなるのも時間の問題だよ。参ったなぁ...」。
『マジっすか、これからどうするんですか? 』。
「う~ん、別の町に行くにもディス町は山超えたりで徒歩だと三日以上はかかるって言われてるからな~。夜とか凶悪な魔獣に襲われたらアウトだし、とりあえず今日の夜にまた酒場に行きますし後でもう一度考えますよ」。
『そうですか』。
「自分の町から出ていく前に教会の神官から食べ物をもらったとはいえ、その食べ物もいつまでもつか...あれ? 」。
リュックの中を覗き込んだカンジは困惑した表情を浮かべた。
「リュックに入れておいた食べ物がないっ!? 何でっ!? 」。
『あ、すいませんカンジさん。美味しそうだったものでつい...ちょっと食べちゃいました~』。
アージェは伸ばした触手で自身の頭を擦り、申し訳なさそうな仕草を見せた。
「ち、ちょっとっ! ほとんど残ってないじゃないですかっ! アージェさんっ! どうしてくれるんですかっ! 」。
『いやぁ~、すいませ~ん! ははは~! 』。
(このスライム、絶対売ったろ...)。
カンジは心の中でそう思いながら大きくうなだれた。




