第二章・第一節 町内会、ざわつく
初配信の翌朝、いつものラジオ体操へ。だが、町内の仲間たちの視線はどこか違う。重蔵の知らぬ間に、じいじはすでに“ネットの人気者”になっていた――。
翌朝。
重蔵はいつものように五時に起き、神社でラジオ体操に向かった。
「イッチ、ニ、サン、シ……」
深呼吸をしながら手を上げ下げする。
が、どうも今日は視線を感じる。ちらちらと、妙に笑いをこらえているような。
「……おはようございます」
「お、おう重蔵さん。……いやぁ、昨日は見たよ」
「見た? なにを?」
隣のご隠居・田辺がニヤリと笑った。
「決まってるじゃないか。『ゾンパニF』だよ、『ゾンパニF』!」
「ぞ、ぞんぱに……?」
「配信! お孫さんとやってたやつだろう?」
重蔵の心臓が跳ねた。
まさか、あの映像が世に出ていたとは知らなかったのだ。
「わし……あれは、孫に頼まれて……」
「いやいや! 最高だったよ!」
「地雷踏んで大爆発! あれ腹抱えて笑ったわ!」
「わしの心臓も爆発しそうじゃったがな……」
体操の輪に集まった老人たちが、一斉に口をそろえる。
「“JZ-65”! “動く災害じいじ”!」
「おお、じいじ、じいじ!」
ラジオ体操会場が妙なコールで盛り上がり始める。
「じいじ、人気者だね」
横から声をかけてきたのは孫の美羽だった。
彼女はケラケラ笑いながら、スマホを掲げる。
「ほら、昨日の配信、切り抜き動画がもう十万再生超えてる!」
「じゅ、十万じゃと!?」
重蔵は腰を抜かしそうになった。
町内会の拍手と冷やかしの嵐の中、彼の「第二の人生」は、予想外の方向へと加速していくのだった。
爆笑と冷やかしに包まれ、日常は一変。JZ-65の名は町内から世界へ。次回、さらなる珍プレー練習回が、笑いの渦を巻き起こす!




