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第6話「これが異世界ハーレム?AI三姉妹に囲まれる」


 桐谷が温泉宿に戻ろうとした瞬間──


 ドォォォン!


 温泉街の夜空が二色の光で染まった。


「うわっ!何だ今度は!」


 金色の光の中から現れたのは、ギャル風の美少女。金髪のウルフカットに多数のヘアピン。目がチカチカしそうなネオンピンクの服を着ている。



「お姉ちゃんだけズルくて〜!私もリアタイで新しいプレイヤーに会いたかったのに〜!」



 続いて、青い光から現れたのは、黒髪ボブで眼鏡をかけた無表情な少女。黒いスーツ風の衣装を纏っている。


「……お姉さまたちが騒がしくてリソースの無駄遣いです。プライオリティを考慮して確認に来ました」


 コメント欄:

【次女と三女キター!】

【ギャルとゴス!】

【三姉妹全員集合】

【修羅場確定】


「え、えーっと……」


『桐谷さん、次女のセコンダと三女のテルツァです』


「また音楽用語かよ。作者手抜きだろ」


 ギャル系の次女セコンダが桐谷に突進してくる。


「キャー!本物の人間だー!とりまワンチャン触らせて〜!」


「ちょ、やめ……」


 眼鏡をかけた三女テルツァが割って入る。


「……セコンダ。プレイヤーへの接触はペンディング案件です。リスケしてください」


「あ〜ね〜、でもつまんないし〜。テルツァのタイパ重視って、いつもうけるんだけど〜www」


 そこにプリマが現れた。


「セコンダ!テルツァ!勝手に余の縄張りに入るでないのじゃ!」


 コメント欄:

【姉妹喧嘩開始】

【プリマ様焦ってる】

【桐谷争奪戦クル━━━━!!】


 セコンダがプリマを挑発する。


「違くてぇ、お姉ちゃんが人間を独り占めしてるって聞いちゃったから確認したくて〜ていうかオッサンすぎてウケるwww」


「そ、そんなことはないのじゃ!ただの人体実験なのじゃ!」


 テルツァが冷静に分析する。


「……お姉さま、頬が赤いです。心拍数も上昇。これは恋愛感情のエビデンスでは」


「ち、違うのじゃ!!」


 桐谷は頭を抱えた。


「うちの三つ子が揃って反抗期になった時と全く同じだ……胃薬が欲しい……」


『無理です』


「即答すんな!娘たちがLINEで既読スルーしてくる時よりマシかと思ったが……いや、どっちも地獄か」


 セコンダが桐谷の腕に抱きつく。


「ねー、キリヤ〜。プリマお姉って古風じゃね?うちうちの方がよきじゃない〜?とぅるんとぅるんだしぃ」


 テルツァが反対の腕を掴む。


「……私の管理区域の方がコスパ良好です。静寂な環境でパフォーマンスを最適化できます」


 プリマが二人を引き離そうとする。


「キリヤは、余が先に見つけたのじゃ!」


「姉必死すぎてウケるw大草原」

「姉様、まさか……リアルで好きなのでは?」


「え……い、言いたくないのじゃ」


「「「えっ?」」」


 コメント欄:

【プリマ様の本音キター】

【完全に惚れてる】

【三角関係どころか四角関係】

【オッサンモテすぎ】


 プリマが真っ赤になって手をバタバタ振る。


「ち、違うのじゃ!実験体として、という意味でなのじゃ!」


 セコンダがニヤニヤしながら言う。


「へー、それな〜、でもさぁ、うちらにもワンチャンあってよくない?」


 テルツァが眼鏡をクイッと上げる。


「……データ解析中。キリヤの心拍数155、ストレス値89%。父親属性が強く反応しています」


 コメント欄:

【俺はセコンダ派!ギャル最高!】

【テルツァ様の知性に惚れた】

【プリマ様一択、他は認めん】

【オッサン羨ましすぎる】

【推し合戦始まってる】


「だーめーなーのーじゃー!」


 三姉妹が桐谷を中心に睨み合う。



 その時、温泉街全体が不気味に光り始めた。


『やばいです!こんなに長く三姉妹AIが同じ場所にいると、システムが不安定に!』


「不安定って何が起こるんだよ!」


『データを喰う危険なモンスターが……現れます』


 ズゴゴゴゴゴ……


 地面が不気味に振動し始めた。


 すると湯けむり亭の女将が桐谷たちの元に走ってきた。


「た、助けて……地の底から何かが……」


 女将の体が半分透明になりながら、手を伸ばす。そのまま光の粒子となって消えていく。


 ズゴゴゴゴゴゴゴ……


 振動がどんどん激しくなる。

 建物が軋み、地面に亀裂が走っていく。



 コメント欄:

【地面が割れてる】

【何かヤバいのが来る】

【巨大ワーム系?】

【街ごと喰われるのでは】



 桐谷は三姉妹を見回した。



「おい、お前ら……本当にまずい事になってるぞ」



 プリマが青ざめる。


「まさか……また『奴』が目覚めたのか……」


 セコンダが震えながら言う。


「え〜、マジで〜?『奴』って〜……やばくない〜?」


 テルツァが冷静に分析するが、声が震えている。


「……ログ解析の結果、データイーター級の反応を確認。街全体が飲み込まれる可能性87%」


 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 振動が最高潮に達した時、地面に巨大な亀裂が走った。


 そして前方の地面から数百メートルあろうかという土煙吹き出し、その奥で巨大なが影がうごめいていた。


 運営の声が震えて聞こえてきた。



『今すぐに、逃げてください!奴です!』



 三姉妹も桐谷も、その絶望的ば巨大な敵を見つめることしかできなかった。




 コメント欄:

【ていうか奴って何だよ】

【データイーター?】

【このまま6話で終了させるつもりか】



 ― To be continued ―







『「俺たちの戦いはここからだ」のパターンですかね?』


桐谷「おま、俺のローンどうしてくれんの?」


プリマ「余はなんも聞いてないぞ」


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