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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
53/61

52.気晴らしと夜回り

海斗が心路の売っている豆腐と海斗の所持金を交換することができた。


「冗談で本当によかったよ。10万なんて僕、そんなお金持ってないから買い取ることができるわけがないよ」

「心路は冗談が好きだからね」


そのことをお花が海斗に言った。首を振りながら心路の冗談をなかったことにしようとする。海斗は300円くらいの所持金しか持っていない。


(あ~よかった…そんなお金、僕にとっては大金だ…)


海斗は、以前大企業の社長の養子として暮らしていたときは1万円しか貰えなかった。10万円はその10倍だ。すると、誰かが襖を開けた音がした。


(誰だ?)


4人は、襖の方を見る。そこにいたのは藍だった。


「あ…疲れた…ちょっと休憩っと」


藍はかなり肩を凝っているようだ。接客で疲れているように見えた。


「お疲れ様」

「お疲れ様~って」


海斗が言った後、藍が返すとそこにいたのは3人の子供妖怪がいた。


「その子たちは誰なの?」

「あ、ちょうどよかった。人数が多くなったところだし、少し気晴らしでもしない?」


気晴らしで何かしないかと海斗が誘った。そのことに対し、藍は「休憩中だからいいよ」と返した。


「この子たちは、余所からここへ来た子達なんだ。金稼ぎのために」

「え、じゃあ子供なのに金稼ぎしてるの?」


すると、一人で畳の上に座って毬つきをしていた早知が何か言おうとしていた。


「お金をたくさん稼がないとあの人に見付かったら殺される…」


早知がぼそっとしているような小声で言っていたのだ。


「え?」

「嘘!?」


思わず海斗と藍は、声を上げてしまった。『お金』『あの人に見付かったら殺される』という言葉を2人は耳にしていた。


「あの人って誰?まさか犯人とか?」


藍はあの失踪事件のことがきっかけでいつも、犯人のことが気になっている。そのせいで早知に圧をかけてしまう。


「まあまあ、ちょっと落ち着いて」


海斗が藍に圧をかけるのをやめさせた。


「そうだよね…ごめんね、早知ちゃん。圧をかけちゃって」


そのことに対して、早知は「全然大丈夫」と返した。すると、また誰かが襖を開けた。


「紅葉、お疲れ様」

「鳥山くんと藍さんの声が聞こえちゃって」


そこにいたのは紅葉だ。店の前で宣伝を終え、休憩時間になった。


「ちょうど6人もいるし、何かして遊ばない?」

「いいよ。休憩するところだったから暇だもん」


紅葉がいたことで、海斗は気晴らしとしてまた誘った。木製のおもちゃ箱を海斗が漁っていると、双六を目にする。その内容を見ると、どうやら生涯のことが書かれていた。


(これって何だか人生ゲームみたいだな)


海斗はまだその内容をじっくり見ていなかった。



休憩している間、気晴らしのために6人は双六をすることになった。


「よし!じゃあ始めよっか!」

「おお~!」


海斗は早速張り切っていた。3人の子供妖怪もなぜか張り切っていたのだ。


双六を畳の上に用意をすると、サイコロやミニチュアサイズの動物の置物がおもちゃ箱の中に入っていた。


(へえ~。ミニチュアサイズの置物は兎、猫、白狐、鹿、鶯、そして柴犬か。それにしても可愛くされてる)


その6種類のミニチュアサイズの置物を双六のコマとした。海斗は可愛らしいと思っている。6種類の置物の目がまんまるだった。


双六を始めようと、6人はミニチュアサイズの置物を選び終えた。早知が柴犬。心路が兎。お花が鶯。藍が猫。紅葉が鹿。そして、海斗が白狐を選んだ。


(白狐って、青蘭のことを思い出すんだけど…僕って青蘭に好まれてるのか?それとも、たまたまこれを選んだのか?)


海斗は白狐の置物を見ながら内心ではそう思っていた。青蘭は海斗に頼ったり、甘えたりするところを見たことがない。そのせいか海斗は想像がつかなかった。


そして、双六を始めようとすると先にじゃんけんをした。その結果は、紅葉はパーを出した。その人以外は全員グーだ。


「じゃあ、紅葉が先ね」

「私はこの四角いものを投げればいいの?」


紅葉はサイコロというものを知らなかった。


「あ…これはサイコロといって、1から6までの点が振られている。投げるんじゃなくて軽く転がせばいいだけ」


多少戸惑ったが海斗は何とか紅葉に教えることができた。


「じゃあ、行きますね」


紅葉がさいころを振ると、6の目が出た。その数に従い、まっすぐに6マスまで進んだ。


「このマスに辿り着いたあなたはある日突然、お殿様からお金を寄付されました。そのお陰で億万長者になりました」


紅葉はそれを読み、驚いたのだ。


「羨ましいな~私も早くこのマスに行きたい」

「僕も僕も~」

「お金持ちになりたい~」


藍、心路、早知は紅葉のことを羨ましがっていた。すると、今度は海斗の番になっていた。紅葉、海斗、心路、早智、お花、藍の順番だ。


「次は僕か。いいマスに着くといいな」


そう思いながら、海斗はサイコロを振る。すると、出た目は4。真っ直ぐ4マスまでコマを移動した。


「ある日、このマスに辿り着いたあなたはある連続殺人事件の犯人として逮捕されました。その刑で終身刑か死刑どちらを選びますか?」


海斗が読んだあと、「この双六は何だ!」と怒鳴るように声が出た。


(終身刑か死刑?だったら僕は死刑を選ぶさ!刑務所にいるよりはずっと増しになるからね!ていうか何だこれ?僕は序盤でこれ?おかしくない?)


海斗は内心、一人で正論するような口調で言っていた。


(この双六は…無理ゲーだな!)


運が着いていない海斗にとっては地獄だった。



一方、青蘭の方は『風森屋』という店の中を見回りしていた。店の外は既に真っ暗だが、昼のように明るい。


(おじさんの酒の匂いが…)


50代くらいの男性客の酒の匂いがとてつもなく臭い。そのせいでこの店から逃げたいと思っていた。


「手がかりが見付からない…もし、この店に手がかりがなければ明日、この店を辞めよう」


青蘭は独り言をしていた。すると、この店に客が来ていたのだ。ちょうど、青蘭はこの店の玄関を通っていた。


(…誰?この客、あまり見ないな?)


あまり見たことのない客が来た。暗めの緑の髪の男性だ。肩までつき、常磐色の瞳をしていた。彼岸花の柄の黒い着物を着ていたのだ。


「そこのおねえさん、聞いてへんのか?」


そのことを言われ、緊張しているせいか「はい…」としか返すことができない。


「俺はこの店の常連だ。ここのいつものおねえさんを呼んでーな」


その男性客は大学生くらいか、とても若い。その客は関西弁を喋っている。


(この客は…何だか…)


青蘭はその男を気味悪がった。

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