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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
52/61

51.3人の子供妖怪たちの証言

一方、海斗たちも既に店を開店し、客も何人か来ていた。


「藍…?」


海斗が気付いたときには既に藍の表情、態度も変わっていた。『黄鈴屋』の従業員たちの態度も同じ。だが、藍は悪役のように変わり果てていた。


「藍さ…ん?どうかしたんですか…」


紅葉もそれを見て訳が分からないと思って、頭が混乱している。


「よしっ!あんたらはあたしの店の手伝いをしろ」

「あ、はい…」

「分かりました…」


藍の話し方も汚くなっていた。店を開店するときになる。そうすると、海斗と紅葉はやる気をほんの少しだけ無くした。


(ここの店って…もしかしたら…)


『黄鈴屋』という店は従業員が素直ではない。紅葉はそう思っていた。


(この店の接客態度が独特だな…この態度でお客さんが来てるんだね…)


海斗は不思議だと思った。



もう既に夜になっている。他の店でも行灯がついているお陰で少し明るい。海斗は店の掃除、物運び、少しだけの接客を任された。


「女将さん、それは僕がやります」

「あらそう~?ありがとうね」


海斗は重い物を運び、店内の掃除を素早く済ませた。その後、汗をかいたことに気付いた。


(仕事って色々と大変だ。17歳の僕にとって初体験をしたな)


仕事の大変さを実感した。これも良い経験だ。



店外の方では、紅葉が宣伝をしていた。鬼女でもあった紅葉にとって、寒さを感じない。神楽坂、あるいは黄泉の国全体では寒気の時期だ。


「いらっ…いらっしゃいませ~!この店は接客の態度が悪いけど、とても良い店ですよ~」


最初は緊張していたが、何とか宣伝をすることができた。すると、『黄鈴屋』に客が3人来たのだ。


「あの…すみません。ご飯を私たちにくれませんか?」


子供の妖怪だ。紅葉に話しかけたのは、3人の妖怪の長女だろう。髪は肩くらいまであり、桜の柄のかかった赤い着物を着ている。紅葉の身長より低い。


「この豆腐とお金で買い取ってください」


2人目の子供はお盆の上に豆腐を持ち歩いている。髪は坊主頭。笠を被り、くすんでいる青い着物を着ていた。


「お手伝いをさせてください。お願いします」


3人目はおかっぱの髪をし、山吹色の着物を着ている。そして、桃色のかかった花柄の毬を持っていた少女だ。


(どうしよう…でも、このままいれないって言うわけにも行かないよね…だったらいっそ、中に入れちゃおうか)


紅葉はそう思い、3人の妖怪たちを中に入れることにした。


「取りあえず、中に入って」


3人の妖怪たちを店の中に入らせた。これであってるのか。紅葉はますます心配になる。


(もし、3人がお金を持ってなかったら私のせいになる)


そのことを考えながらも、必死に宣伝を続けた。自信はないが、仕事だと思い声を出し続けた。



3人の妖怪たちが店の中へ入ると、玄関には誰もいない。すると、豆腐を持ち歩いている男の子が声を出そうとしていたのだ。


「お邪魔しますっ」


そのことで、2人は驚いてしまった。


「しーっ。声が大きいから静かにして」


赤い着物を着た少女がその男の子の口を手で押さえた。そのあと、静かな声で注意をした。すると、誰かの足音が聞こえた。


「怖いよ…助けて…」


山吹色の着物を着ていた少女が怯えた。毬を抱えながら怖いと思っていた。すると、玄関に来たのは海斗だった。


「あれ?どうしたの?」


海斗は3人の妖怪たちに声をかけた。そのことに対して、3人はまだ怯えていた。


(もしかして、この3人たちって余所から来たのかな…虐待とか…)


海斗はそれでも受け入れながら3人の妖怪たちを案内させた。


着くと、そこは子供たちのためにおもちゃが置かれている部屋がある。


「着いたぞ~!じゃんじゃんと好きなだけ遊べばいいよ!もちろん、僕は仕事も終わって休憩中だからね!」


すると、豆腐を持ち歩いている男の子が海斗に豆腐を買わないかを聞いた。


「人間のお兄ちゃん、この豆腐とお金交換しませんか?」

「あたしもお手伝いをさせてください。お願いします」


山吹色の着物を着ている少女が手伝いをさせないか。とお願いされた。


「あ…君、ごめんね。この仕事はもうちょっと大きくならないと出来ないの。でも、豆腐なら買い取れるけど」


それでも、その少女は必死にお願いをしていた。海斗はどうすればいいのか分からなくなっていた。


「やった~!!」


豆腐を持ち歩いている男の子は喜んだ。豆腐を買い取ってくれる客が海斗が初めてだった。


(この子たちは何でこの店にやってきたんだ…)


海斗は3人の妖怪たちに対して、疑問に思っていた。


「ねえ、君たちは何でこの店に来たの?あ…大体で良いよ」


海斗の質問に3人はとても困っていた。その質問に答えられないのか。あるいは答えては行けないことなのか。すると、赤い着物を着た少女が答えてくれた。


「私たちはある人から逃げるためにここへ来ました。ちなみに私はお(はな)といいます」


ある人とはどういうことなのだろう。海斗はそう思っていた。


「この2人も同じ。兄弟ではありません。笠を被っている男の子の方が心路(こころ)。一番小さい女の子が早知(さち)。私たち、とにかく金を稼がないと行けないと思ってここへ来ました」


そのことを知り、海斗にとっては信じがたい話だ。


(じゃあ、もしかしてこの3人は誰かの奴隷になってここへ…?)


海斗はあることを思い出した。一通の手紙が着たことから。神楽坂でそれぞれの店の従業員が次々と居なくなり、今だに解決されていない事件。


(1人、2人、3人と次々と居なくなる目的ってもしかして…)


犯人はまだ分かっていないが、目的はわかったかもしれない。


「話してくれてありがとう」


海斗は目を細めながら3人に返した。犯人の特徴を聞こうとしたが、3人はまだ子供だ。また、そのうちに聞けば良いと感じた。


「じゃあ、君たちはしばらくここにいていいよ。他の従業員には伝えておくから」


優しい口調をしながら3人に伝えた。すると、3人は安心した表情になった。


「暗い話しはそこまでにして、僕と遊ぼっか!なにして遊ぶ?」


高揚しながら海斗は何して遊ぶか3人に質問した。この部屋の中にあるおもちゃは、こけし、双六、めんこなどだ。


「めんことか羽根つきとか双六があるけどどうする?」


海斗が木製のおもちゃ箱を漁っている。3人に後ろを振り替えると、そこにいたのは心路だった。


「わあ!」


海斗はいつも驚いている。誰かが既にいたときには大抵吃驚する癖があった。


「豆腐を買い取ってください!」

「わかったわかった!買い取るよ。ちなみに何円だ?」


すると、心路は「10万円」と答えた。


「冗談だよね…10万なんて…」


10万円は持っていない海斗にとっては、とても買い取れない金だ。


「あ、ごめんなさい。冗談でした。本当はたったの300円でした」


心路は少し間抜けなところもあった。


「え?冗談でよかった~」


海斗は買い取る金が10万ではなく、300円で安心した。

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