41.金髪の美少女妖狐・藍
「お前…もしかして…藍?」
青蘭は何かを思い出した。美少女の妖狐のことを。その人が今回の依頼主の藍だった。
「青蘭こそ…」
藍は青蘭のことを知っていたのだった。
「あ、ちょっとごめん。今、こいつを止めようとしている途中だから」
今、レベルの低い妖怪を止めようとしているところだ。ナイフを持っているその妖怪が他の妖怪に被害がないようにするつもり。青蘭は藍の後ろへ行った。
「青蘭、さすがに女子一人だと危ない。だから僕たちも…」
「海斗、藍ならきっと大丈夫だ。この街の中でも護身術とかは強いから」
海斗が「いや…」と少し心配そうな表情を浮かべた。
一方で藍のほうでは、余裕そうな表情をしていたのだ。
「私、こういうのは自信があるんだよね。だから、今やめるなら見逃すけど」
笑顔で言う藍に対して、その妖怪は怯えて一目散に逃げていった。
(うわ…これってもしかして…)
青蘭は藍の戦い方を見たとき、あることを思い出した。すると、青蘭が見ていたときだ。藍が後ろを振り向いた。
「青蘭〜!あの戦い方は気にしないで〜」
「ちょっ、声がでかい。見てわかったよ。笑顔で対応して、それでも襲いかかってきたらぶん殴るというやつでしょ」
藍が声を大きくした。そのことに対して青蘭は囁く返した。
(この人が今回の依頼主)
それを聞いたとき、海斗は驚いてしまった。藍の姿を見ると、完全に美少女だ。東京の街中を歩くと、芸能界にスカウトされるような顔立ちだ。学校では、廊下を歩いたり、移動教室になると他学年やクラスメイトにモテられるような感じだった。
人間の姿に化けている青蘭も同じだ。この2人は美男美女だった。
(やっぱり神楽坂って本当に…)
海斗は周りが美男美女が多いことに圧倒された。すると、藍が海斗たちがいる方へとに気付く。
「青蘭、あの人たち誰?」
青蘭に誰なのかと聞いた。
「この2人は鳥山海斗と紅葉。人間の死者が住んでるところで出会った」
「へぇ〜。そんなんだ〜」
藍は感心するような表情をしながら返した。特に海斗の方を見ていたのだ。すると、2人のところへ行った。
「お二人の年はいくつ?」
なんと、海斗と紅葉の年齢を聞いたのだ。
「僕は、17です。ていうかここに来た年ですから」
「私は多分、鳥山くんより一つ下です」
すると、藍は海斗が17歳と言っていたときに知った。
「実は私も鳥山くんと同い年なんだよね〜よろしく!ちなみに名前は藍だよ!」
海斗は固まってしまったのだった。
「よよよ…よろしくお願いします!」
あまりにも美少女な藍に対して、緊張をしてしまった。紅葉も負けていられないと感じた。藍を見て、コミュニケーションを取るのが上手。愛嬌も良い。だから今は藍より顔立ち以外、負けていたのだ。
(勇気を出して言うよ)
紅葉は勇気を出して言うことにした。
「あの、私、完璧で美少女な藍さんよりダメな鬼かもしれないですけどよろしくお願いします!」
その表情は、戦に挑むような感じがしていた。藍はそれを見て、感心したのだ。
「その自己紹介、すごくいいね。緊張してるせいかおどおどしてるところもあったけど、それより何かに挑むっていうイメージがあって良いわ」
そのことを言われ、紅葉は「そうですか?」と返した。
「ちなみに私ね、ここでは有名人っていうものなのよ」
「え!?」
藍が有名人だと聞いて、海斗は驚いてしまった。
「青蘭、藍さんって本当に有名人なの?」
「そうだよ。特に舞踊、琵琶の演奏とかはものすごく才能があるから推薦されやすい」
海斗は「すごい人だな…」と独り言のように呟いた。
「どうかした?」
「いや、別になんでもない」
返す言葉に戸惑いもあったが、何とか返した。
数分後、4人は藍が働いている店『黄鈴屋』というところへ向かった。
着くと、まだ夜ではないか見た目が普通の店という感じがした。中へ入ると、内装がとても華やかだ。すると、黄鈴屋の従業員がなぜか少ない。歓迎したのは2人の女妖怪だ。
「いらっしゃいませ。お待たせしました。青蘭様と…こちらのお二人様は誰でしょうか?」
「人間の方が、鳥山海斗。鬼のほうが紅葉。青蘭が連れてきたお客さんです」
すると、2人の女妖怪の従業員は3人を歓迎したのだ。
(もしかして、人手不足かな…?)
海斗は事件の内容のことをすっかり忘れてしまった。
従業員に案内された部屋へ着くと、下に赤い正方形の敷物が敷かれていた。襖も目立つ赤色。目立つ色の花の絵が描かれていた。
(すっかり派手だな…)
海斗はそう思った。店の広さも大きい。二階建てで内装も広く、複数の部屋がある。けれど、なぜか従業員の人数が少ない。
「お掛けになってお待ちください」
海斗たちは赤い敷物内に正座になって座った。すると、従業員は支度があり、化粧をする。そのために控え室へと向かった。
「僕、思ったことがあるんだけど、従業員の人数が少なかったんだよね。まだ来ていないとかそういうのではない?」
「前まで、ここの商売の人は100人くらいはいたんだ」
そのことに対して、海斗は驚いた。30人か20人くらいだと思っていたのだ。
「だけど、今は25人になっちゃったんだよね」
「25!?それって辞めちゃったりとか…」
すると、藍は「それは違う!」と大声で返した。
「完全に無い。ここは人気だし、妖怪たちの仲もそんなに悪くないはず。だから、多分誘拐とかだと思う」
ずっと黙っていた青蘭があることを言い出す。
「誘拐はないと思うよ。もし誘拐だったら、身代金とかがある。だから、これは殺人事件かもしれない」
殺人事件。神楽坂でそんな事件があるとは思わなかった。
「嘘…。そんな…」
そのことを聞いて、藍は絶望した。
(華やかな場所で殺人事件。これは一体誰が。これは事件解決しなければならないことになったな)
海斗はそう感じていた。
「でも、まだ聞き込みとか何もしてないから殺人事件なのかも分からない。絶望まではしなくて良い」
青蘭にそう言われ、藍は少し安心した。
「もし、殺人事件だとしても覚悟はした方がいい。このことは忠告する」
青蘭は3人に忠告した。すると、海斗が質問をしようと手を挙げた。
「なんで僕たちも一緒に来たんですか?」
そのことで青蘭は唖然とした。
「海斗、それを俺が説明するつもりだったんだけど…」
「え〜!?」
海斗は外まで聞こえる大きさで言ってしまった。
「うるさ〜い!」
藍もその大きさで海斗に言った。
(やれやれ…海斗と藍は本当に似てるな…)
青蘭は呆れながら心のなかで思っていた。紅葉も苦笑いをしていたのだ。




