表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
41/61

40.神楽坂

まだ青蘭は電車の席の中でぐっすりと寝ていた。呪いの国の駅までは着いてない。


(青蘭さん、本当にぐっすり寝ていますね)


紅葉は青蘭のことを見たあと、左側の景色を見た。その景色は、晴れた空とふわふわした白い雲。線路の上で見れるのが紅葉にとっては初めてだった。


(こうして見たことがないところへ行くのも初めて)


紅葉がそう思っていると、海斗がトイレから戻ってきた。海斗は今、ハンカチで手を拭いている。手を洗ったあとだろう。


「あ、鳥山くん。いいよ、席譲るから座って」


海斗に譲ろうと席を立つと、「いや、いいんだ」と言ったのだ。すると、紅葉はまた座った。


「本当にいいの?立って疲れてない?」

「僕は立ってもまだ疲れてないから」


そのことに対し、紅葉は心配そうな顔をしていた。何日もぐっすりと寝てない海斗を見ると、寝不足そうに見える。


(鳥山くんがそう言うならいいけど…)


紅葉は海斗が立つならと思い、座ることにしたのだ。電車の中は海斗以外の乗客は全員座っていた。すると、蓮と元緋の後ろの席が一つだけ空いていたのだ。


「鳥山くん、蓮さんと元緋さんが座っている席の後ろ。空いてるよ」


そのことに紅葉が最初に気付いた。静かな声で話すと海斗も同じことに気付く。


「ほんとだね」


海斗はそのあと、その席に座ることにした。青蘭はまだぐっすりと眠っている。


蓮と元緋は全く会話をしていない。それどころか眠そうな表情をしていた。そのせいか海斗にとって、電車の中は印象深いほど静かだ。


(何だか、ここは静かだ)


黄泉の国へ最初の頃に向かうときの電車はそうでもなかった。けれど、ここは何だか気まずい。


(早く呪いの国に着いて欲しい)


心の中で何回か願い続けていた。海斗の席は、左側に着物を着ていたウサギ妖怪。向かい側の正面にはサラリーマンの格好をしていた猫妖怪。その左側には、その妖怪と同じ種族の少女が座っていた。


(この雰囲気の早い解放を…)


海斗はずっと願い続けながら電車は走り出している。海斗が後ろを向くと、青蘭はまだ寝ていた。いびきはしていなかった。もし、海斗が寝ていたら、いびきをしていたかもしれない。


(僕はこれから電車の中では寝ない方がいいかもしれないな)


寝落ちしないように気を付けることにした。



数十分後、ようやくアナウンスの音がなった。


「まもなく~神楽坂(かぐらざか)~神楽坂へ着きます。お降りの方はお忘れものの無いようご確認をして下さい」


アナウンスの音が聞こえても青蘭の方は寝ていたのだ。そのことに気付いた紅葉は、肩を優しく叩いた。すると、青蘭は目が覚めた。


「おはようございます」

「う…あ!もう降りるのか?」


青蘭が普通の声で言ってしまった。けれど、なぜか気付かない。有名人だとしたら気付くはず。ここら辺ではなさそうだ。それとも、青蘭に対して興味がないのか。


(これはもしかしたら青蘭の存在が無くなった?そしたら僕が次は…)


海斗は悪巧みの表情を浮かべた。


「蓮、元緋。多分、朝国は次の次で降りるから覚えといて」


青蘭はそれを蓮と元緋に一言いい、3人は神楽坂駅で電車を降りた。すると、青蘭がその駅で人間の姿へと変装をした。


「あ、いつの間に!」

「まあね。ここら辺は多分、俺を知ってる人が多いし」


海斗は青蘭が既に変装していたことに驚いた。


「あの…変装はどうやってできたんですか…」


紅葉が緊張しながら青蘭に質問した。人間の姿の青蘭も結構イケメンだ。


(これがイケメンに惚れてるってやつ。僕とは大違いだ…)


海斗は黄泉の国へ行く前も女子からは全くもモテない。それだけではなく、2月のバレンタインデーのときもチョコを1つも貰われなかった。告白もされない。ラブレターだって来ない。そういう人生を送ってきたのだ。


(あ…これが陰キャあるある…)


そうだ。これが陰キャあるあるなのだ。すると、海斗はあることを思い付いた。


(そうだ。だったら僕はあとで木がある場所に行って藁人形にハンマーで釘を打てば…)


海斗は以前に丑の刻参りを知っていた。白い着物を着て、頭の上に鉄製の輪。その輪にろうそくを3本立てるものだ。


(これで完璧だ!)


すると、青蘭が何か言おうとしている。 


「う~ん…そうだな…変装は普段使うときがあるからな。もう慣れちゃったんだよね」

「そうなんですか。やっぱり慣れですか…」


そのことに紅葉は慣れだと理解した。



3人は駅から離れ、数分歩くと神楽坂へと着いた。そこは、雰囲気がとても華やかな街並み。まるで江戸時代にいるみたいだ。周りの妖怪はほとんど美男美女。


「ここが…」

「ここが…」


海斗と紅葉は、初めて過ぎて頭がこんがらがった。


「呪いの国!?いや、全然見えないよ〜!」


海斗が思っていたイメージとは全く違かった。


「本当に呪いの国の神楽坂何ですよね…」


紅葉がすぐ青蘭に聞いた。そのことに対して青蘭は「そうだよ」と優しく返した。


「2人とも、ちょっと落ち着いて」


青蘭が2人に落ち着かせようと冷静に言ったのだ。


「ここは神楽坂。ここは夜になるとさらに人が来る。呪いは別の意味にある」


そのことに対し、2人は「え?」となった。別にあると聞き、何だかんだで分からなくなるのだった。


「あ、もう時間がない。そのことはあとで説明する。だから今は俺に着いてこい」


2人は青蘭に着いて行くために走った。複数の店があり、美男美女の妖怪がいる。そのせいで、目が回り疲れていた。すると、海斗の体力に限界が来たのだ。


「あ…もう疲れました…ハァ…ハァ…」


海斗は昔から運動神経は悪かった。そのせいで、長距離で走るのは苦手だ。


「え…。海斗、もうちょっと走れない?時間がないんだ。俺たち、遊びに来ているわけじゃないんだから」

「そうなの…わかった…走るよ…」


海斗がそう言い、再び走り続けることにした。紅葉と青蘭は妖怪。だから、体力も人間の倍にある。そのため、海斗より体力があるのだ。


(汗がかいてきた。走ったせいか暑い)


汗がかいた海斗に対して、2人は一つも汗をかいていない。依頼人の店まで急いで向かっていると、そこにいたのはなんと依頼主だ。青蘭にとっては知り合いだった。


(…はっ!もしかして…)


依頼主に気付いた青蘭はすぐにわかった。今、その依頼主とナイフを持っていたレベルの低い妖怪。その妖怪の姿は青年くらいの年だ。


「そこにいるのは…」


青蘭がそこにいた依頼主に話しかけると、その依頼主も気付いた。青蘭の方へと向いた。


「え…青蘭…?」


その依頼主は青蘭と同じ狐妖怪だ。金髪の美少女だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ