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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
華の道しるべ編
39/61

38.一通の手紙

2人は急いで手紙を青蘭に見せるために広間へと向かった。


「海斗、走っちゃだめだぞ。下品になるぞ」

「え!?そうなんですか?すみません!」


屋敷内を走っていた海斗に注意をし、それを知った海斗は納得した。そのため、早歩きで向かうことにしたのだ。


広間に着くと、そこに青蘭はいたのだ。今は茶色で丸い形のような餅を食べていた。


「何を食べてるの?」


海斗は何を食べているのかを知りたくて咄嗟に聞いた。その後、青蘭は右にいる海斗の方へと向いた。


()の子餅を食ってた。結構美味いよ」


青蘭は食べながら返した。表情は笑っていなかったが、口調は普通に冷たくもなかったのだ。


海斗が手紙を持ちながら広間の中に入る。青蘭のところへ行った。すると、亥の子餅は残り2つあった。

見た目が素朴で丸みがある。色が茶色。上に3本の切り込みがある。そのため、うり坊の形をしていた。


「何だか小さくて可愛らしい形をしているから食べるのが勿体無い」

「え?そう?今日のうちに食べないと古くなるからと言ってここの召し使いがくれた」


また青蘭は食べながら言った。


(結局、賞味期限か消費期限のためにくれたんだ)


海斗は何となくそのような感じがしていた。


「それ、僕も一つ食べてもいい?」


海斗が一つ食べていいか聞くと青蘭は「いいよ」と言った。その後、海斗が残り2つあった亥の子餅を一つ取り、一口食べる。


「ん~!初めて食べたけど甘くて美味しい~」


中を見ると、あんこと栗が入っていたのだ。胡麻の風味ともっちりとした食感。あんこの甘さと栗とのバランスが良い。


(羨ましい。素直に美味しいと感じることができて)


素直に美味しいと感じられている海斗を青蘭は見る。記憶を失う前は物事も感じることができた。だが、今は心の底から同情をしたりするさえできないのだ。


「どうした?青蘭」

「いや、考え事をしてた。でも別に対したことはない」


海斗は「そうなんだ」と愛想笑いをしながら返した。


(何だか僕をじっと見てきたけど、何かあるのか)


青蘭のことをそう感じていた。さっきの青蘭の顔はどこか沈んだ表情を浮かべていたからだ。


「ん?海斗、その手紙は何?」


海斗が持っていた手紙に青蘭は気付いた。


「あ、そうだ!これこれ、青蘭宛の手紙なんだ」


すると、青蘭は亥の子餅を食べるのをやめて手紙を読むことに集中した。その内容を海斗も見ていなかったので一緒に読むことにした。


よく読むと青蘭にとっては面倒くさいことだった。


『  青蘭へ

 調子はどうですか?しばらく会っていないので

 手紙を書きました。

 今回は、ある依頼をお願いしたいのです。

 その内容は最近、次々と誰かがいなくなるという

 事件が起きているのです。だから、私の街に来て

 事件を解決するのをお願いします。 

               (あい)より』


青蘭から見ると、少し稚拙な部分もあると感じた。けれど、内容は何となく伝わった。


(あ…めんどくさい…)


すると、青蘭は海斗を見た。そして、いいことを思い付いたのだ。


「海斗、この事件の解決するのを手伝ってくれないかな?」

「え!?でも僕、探偵とかそういうのやったことないよ」

「いや、海斗が解決することじゃなくて情報集めとかやって欲しいの。もちろん紅葉さんも連れて」


そうお願いされると、何だか断れないような気がした。


「ん…わかった」


すると、青蘭は「ありがとう」と安心した表情をしながら返した。


「ちなみにどこに行くの?」

「守護国の呪いの国にある神楽坂(かぐらざか)。見た目は華やかだけど、その裏には強さの秘密がある」


神楽坂という街だ。強さの秘密とは何だろうか。海斗は気になるばかりに仕方がなかった。


「そこは美男美女が多いんだよね。だから、俺はあういうところは苦手。でも、神楽坂に俺の知り合いがいるから行かないとな」


海斗は美女と聞いたとたん、そのことで頭に入っていなかった。


(美女!?そしたら僕は…)


海斗は何か想像している。その内容は、キザになっている海斗。想像の世界の中にいる着物を来ていた美しい女性に連絡先を交換しているのだ。


「そこのお姉さん!僕と連絡先を交換しませんか!」

「え~!どうしようかな~やっぱりしちゃお!かっこいい人だから」 


海斗は照れ臭くなりながら、連絡先を交換した。すると、誰かが海斗の目の前でてを叩いた音がしたのだ。


「わわ!?」


そこにいたのは青蘭だった。


「青蘭!?」

「海斗、どこを想像してるの?」

「ごめんごめん」


海斗は2回謝った。すると、多々羅が後からここに来た。息が荒い。かなり疲れている状態だ。


「海斗、やっと見つけた。早歩きで行ったでしょ?」


多々羅は息を荒くしながら言った。


「あ、すみません。どうしても青蘭に見せたかった手紙のないようでしたので」

「いや、いいんだ。次、気を付ければいい」


そういい、この話はなかったことにしたのだ。多々羅が青蘭を見た。


「何か、ここでは見かけない顔だな。狐妖怪?」

「一応、そうです」


青蘭が無愛想に返した。それに対し、多々羅は「ふ~ん」と言った。


「名前は?それと、出身は?」

「青蘭です。雪の国出身です」


雪の国出身だと知った。だから白髪、スカイブルーの瞳か。


「両親と兄弟はいるか?」

「いや、それは言えません。個人情報ですので」

「あ…そうなんだ…」


さすがに多々羅も質問をすることができなくなったのだ。


(何か、俺がこのイケメン狐と俺がなんだか差があるな…)


多々羅は青蘭に対して、少し比較してしまった。すると、いつの間にか青蘭は亥の子餅を食べていたのだ。


「僕もまだ残ってた」


海斗と青蘭は噛ったあとの亥の子餅を一口で食べ終えた。すると、残り1つになっていた亥の子餅がある。


「僕はもう入んないから、青蘭が食べていいよ」


海斗は青蘭に譲ることにした。そのあと、青蘭が一口食べたのだ。


(青蘭…食べ方が可愛いな…)


青蘭の食べている姿を見た2人は、まるで少女が上品に食べているような感じがした。それをずっと見続けていると、逆に青蘭も食べにくくなったのだ。


(何だか、海斗たちに見られると余計落ち着かないな…)


青蘭もそう感じたのだ。

街の名前もこの作品ではフィクションの中での架空の街です。

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