34.結果
とうとう、最後の決着をつけようと3人は本気を出す。海斗は妖の力を得る。青蘭は女子高生から元の姿に戻り、蓮は式神を出す準備をしていた。
最大の強さの雨、雹、嵐、雷が今、なっている。3人は体も濡れている状態だ。大嶽丸も最大の妖術を出すつもりである。
「じゃあ、そろそろやるか」
蓮の声によって、青蘭と海斗は「やろう!」と返した。そして、3人は妖術を次々と出していったのだ。
(式神・天津甕星)
その術は、日本神話での星の神だった。その神様を蓮が使っていた。
(武士・氷霊琥白)
青蘭の妖術は、氷でできている武将を操る。その武将に大嶽丸が所持している2つの刀を奪う。
まず、2人が出した術を使って戦わせる。その後、海斗が泡沫夢幻を使って大嶽丸の出した術を防ぐ作戦だ。
(これだったらいけるかもしれない)
そう思っていた海斗は安心していた。蓮と青蘭なら式神も使うことができる。だからおとりとして使えるのだった。
「青蘭、行ける?」
「言われなくても行けるよ」
2人は既に式神や妖術を出していた。それに対し、大嶽丸も実は最大の妖術を出す準備をしていたのだった。
(よし、ここからがお前らに知らねえ俺の本気の術だ。思う存分に味わってもらおうか)
大嶽丸は本気の妖術を出していくことになった。
(天災地変・灼熱)
すると、その崖の上の地面が熱くなった。それ以上ならないよう、青蘭は氷の妖術で全体の地面を氷らせた。だが、大嶽丸の妖術が強すぎるあまりに氷らせることができなかった。
「氷らせてもだめか…くっ」
青蘭は悔しい表情を浮かべた。
「青蘭、今はそういう場合ではない」
蓮が諭すように言った。そうすると、「そうだね」と青蘭は切り替えることにしたのだ。
(地面が熱い…一体どうすれば…あんな強さだと限界が来るかもしれないな…)
泡沫夢幻を使うタイミングを待っていた。だが、海斗もさすがにここまで来てしまうとそのタイミングを逃してしまう。だとすると、どうすればいいのかと海斗は方法を考え続けた。
蓮と青蘭も刀を奪うために戦い続けた。疲れもあるせいか息が少し荒くなった。
(ハァ…ハァ…体が熱い…)
青蘭は氷の妖術が使える。けれど、熱いところに長時間いるせいで汗をかいてきた。
「青蘭、大丈夫か」
それに対し、青蘭は「ああ」と返した。そうしているとまた、大嶽丸が次の妖術を出した。この隙なら2人を殺せると思ったからだ。
(硝煙弾雨・炎嵐)
すると、激しい雨と炎の嵐があった。その雨は熱い。
「これでどうだ!2人は熱くて死ぬだけだろ!」
大嶽丸は堂々と言った。それはもう悪ガキのような本性だ。
「…くそっ。なんで大嶽丸の刀が奪えないんだよ」
蓮は大嶽丸に対し、予想外だと感じた。2人は滝のような激しい雨に濡れ、炎の嵐の中で数分耐える。
(戦っても勝てないなんて…さすがに強すぎる。だとしたらどうすれば…氷の妖術を使っても効かない。式神を使っても駄目。考えろ)
青蘭は、考えろ。と自分に言い聞かせた。方法を考えていると、持っている大通連を見た。
(この刀だったら、大嶽丸を倒せるか)
そう考えた青蘭は実際に大通連を試してみることにした。大通連を出していると、蓮に「どうしたんだ?」と聞かれた。
「実際に大通連を試してみることにしたんだよ。そうしたら俺の氷の妖術と合成できると思って」
蓮は「へぇ」と頷きながら返した。
「それ、面白そうじゃん。じゃあ使って見るか」
「そうだね。東風谷さん」
さん付けで呼んだ青蘭に対し、蓮は何て返せばいいのかこんがらがった。
(東風谷さんって…俺をからかってるだけか)
蓮は青蘭がからかっていると感じた。
青蘭が大通連を抜くと、見た目は銀色の刃だった。細長く、長時間持つと重くなる。
(俺の握力は少し弱いが本気だして持つとするか)
大通連を大嶽丸に向けて、構えを決めた。青蘭はゆっくりと深呼吸を何回かする。最初を決めると大嶽丸は目を大きく開けたのだ。
(よし、大丈夫だ)
青蘭は目を細めて挑む。大嶽丸にやられる予感することを覚悟をした。
すると、先に青蘭が大嶽丸の攻撃を刀で振る。右手で大通連を振りながら、左手で氷の妖術を出していった。
このやり方だったら青蘭は上手く行けると思っていたのだ。けれど、そのやり方を続けていると大嶽丸は次の攻撃をしてくるだろう。
(体が熱い…熱いけど今はこの状況を乗り越えるしかない!)
青蘭は本気で大嶽丸の刀を奪う。そのために青蘭は何度も素早い炎の嵐を避けた。右、左、前、後ろ、斜め。ついでに蓮もだ。
(よし、これだったらいけるかもしれない)
海斗もタイミングを見て泡沫夢幻を出す準備をした。
「なんだよ…何だこれは!?俺の最大の妖術をこんな簡単に避けるなんて…」
青蘭と蓮が簡単に次々と炎の嵐を避ける姿を見て驚いた。
「これでラストスパートだ!青蘭」
「もう小学生じゃないですよ。ま、でもいっか」
2人は無邪気になっていた。
(…くっ。まずい、これはどうすれば、この2つの刀を取られたら終わりだぞ)
大嶽丸は焦っていた。蓮と青蘭が何の攻撃をしてくるのかもわからない。今まで負けたことがなかったが今回は負ける。そう思っていた。
(だけど、ここで終わらせたくはない。俺はここで生きると決めたんだよ。ただこれは俺の人生だから)
そう想っていた大嶽丸は本気を出していく。数々と妖術を出した。空は日の光が当たらない黒い雲。滝のように降る熱い雨。そして、暴れるように吹く炎の嵐。
「だったら全部だ。これで終わりだ!」
大嶽丸が本気を出したせいで2人は振り出しに戻ってしまった。と思いきや、海斗がまだ泡沫夢幻を出していない。だから、タイミングを見ていた。
(このタイミングならいけるかもしれないな)
すると、海斗は大嶽丸の隙を見てとうとう泡沫夢幻を出すことにした。準備をするために目を瞑る。なにも聞こえないようにした。そして、ゆっくりと目を開ける。
(泡沫夢幻・抹消)
その術を出すと完全に大嶽丸が出した妖術が一瞬で消えていった。黒い雲は晴れ、炎の嵐は消えた。それだけでなく、熱かった雨も止んでいったのだ。地面が熱かったのも元の熱さに戻った。
「すげ…」
蓮は見ているのに夢中になっていたのだ。完全に消えていったことで大嶽丸はあることを決断する。負けを認めるのかと思っていたときだった。3人たちがいるところに紅葉と元緋がいたのだ。
「元緋…紅葉さんと一緒に逃げたんじゃないの…」
蓮が元緋に質問していた。
「いや…さすがに3人に任せるのは行かないと思って…」
「あ…あの…やっぱり逃げるのは変だと思ってしまって…」
2人が必死に言葉を探しながら蓮に返した。すると、その隙に大嶽丸は黙って下へと逃げていったのだ。それに気付いた海斗は追いかけようとすぐに下へ行く。だが、青蘭に服を引っ張られた。
「青蘭、大嶽丸がまた逃げちゃうじゃないか」
「いや、追いかけない方がいい。残りの2つの刀は奪えなかった。でも大通連が手に入ったからそれでいい」
海斗は「そうだね」と目を細めながら小声で返した。
「ごめんなさい…みなさんに迷惑を掛けてしまって」
「紅葉さん、大丈夫ですよ。大嶽丸は逃げていったけど次に切り替えた方がいいですよ」
謝っている紅葉を見て、蓮は必死に言葉を探しながら慰めた。
「ねえねえ紅葉ちゃんさ、実はさ蓮ってナルシストで…」
元緋が蓮に対し、ナルシストのことを話していた。すると、蓮はあることを思い出す。
「あ!そうだ…元緋さあの事…覚えてる?」
そのことに対し、元緋は「あの事?」と返した。
(やっぱ忘れてるのか…)
蓮は覚えてないことに少しずつ苛立ちをした。
次回で鬼女の追想編を完結します。第2章を楽しみにしてください!ここで書きますと次は守護国(鬼、呪い、森、水、雪、月)の呪いの国というところがメインになります。




