3.地獄の裁判・前編
そこに着いたのは、200段の石段だ。周りは木がたくさんあり、他の死者や妖怪たちはいない。いるのは暁と海斗の2人だけである。運動神経が悪い海斗は憂鬱だった。先に暁が登ったが、海斗は疲れのせいで数段登って足が動けない。
「ハァ…ハァ…待ってくださ~い…暁さん…ちょっと休みませんか…」
息が荒くなりながら暁に休憩しないか聞いた。すると、暁は海斗の方に振り替える。
「海斗、今は死者だ。あなたには時間がたっぷりある。こうやっていると時間の無駄。嫌なことから逃げると一緒。だから、自分のぺ一スでもいいから根気強く行くしかない」
完全に暁の言う通りだ。いや、今までこうしてきた海斗はここに来る前の怠けてる自分に対して顔もみたくないと感じた。だから、ここで続かないわけには行かない。自分のぺ一スで行くのだ。
だと思ったがここは早くこの石段を登るのを終わらせたいと思い海斗は石段を走りながら登った。そのせいで、50段くらいで体力を無駄に使い疲れきってしまったのだ。
「ハァ…ハァ…疲れた…ちょっと休憩…」
また暁に聞くと暁は呆れた顔をしながら「仕方ないな」と言い、海斗のところまで行き休憩の時間にした。
「まったく、海斗はしょうがないやつだよ。走って登るから体力があっという間になくなるんだよ」
50段目くらいの石段に座りながら、暁は海斗に本音を言う。海斗は「ほんとにすみません」と返すしかできなかった。走って体力を使っている海斗に対して暁は何て返せばいいのかわからなくなる。2人が喋らなくなり静かな雰囲気になり、気まずくなった。
数分後、ようやく海斗は再び動けるようになる。
2人は50段目から登り始めた。足が少し疲れても少し歩くスピードを落としながら行く。しかし、海斗より暁の方が早く行ってしまう。急がないとと思っても無理だった。
「急がなくてもいいよ。時間制限とかはないから。大事なのはどれくらい最後までこの石段を登りきれるかが重要だよ」
暁が言った言葉で海斗はようやく理解した。根気強く行けるかが大事だと。けれど、120段目くらいで少し足が痛くなってしまった。それ以上動くとさらに痛くなると感じ、暁に休憩していいか聞いた。今度は暁も「いいよ、俺もここら辺で足が疲れてしまったから」と返していた。
120段目の石段の上に2人は座り、雑談をした。そして、海斗は懐中時計の話を触れた。
「暁さんは、僕の懐中時計がなぜこの世、つまり現実の世界に来たんですか?」
質問に対して暁は、少し驚く。海斗はメモをとる準備をしていたので暁は答えるのに緊張感がする。考えた末、暁はこう言ってしまったのだ。
「その時計には黄泉の国と現実の世界と繋がっているんだ。死者になった人間がこの世につながる穴に落としたかもしれない。現実の世界では時計があると思うけど黄泉の国ではそんなのは存在しないんだ。知ってるのは俺だけかも…」
(俺、なんとか質問に答えられたけど間違えたら大変なことになる…あ~何か俺やらかした…)
暁は何かしら答えることができたがその答えと違っていると海斗に分かってしまうとどうなるかわからない。そのせいで頭の中では不安がたくさんになっていく。
「え!?そうなんですか!?黄泉の国の中で知ってるのはあなたはだけなんですか?」
海斗の反応で暁は思いもよらなかったことだ。海斗に対して答えを誤魔化したことにとりあえず「そうなんだよ」と返すしかない。
数時間後、2人は120段目の石段から登り始めた。
今回は海斗も体力に慣れたので暁の登る速さについて行ける。あと50、40、30と少しずつ登りきるまでの残りの段数も少なくなっていく。
そして、残りの段数はもう残っていない。あと10段まで行く。2人は最後の体力を振り絞りようやく登りきったのだ。
「もう…疲れました…無理です」
海斗は200段もある階段を登りきり疲れてしまい仰向けになってしまった。それを見た暁は「おつかれさま」と言う。しかし、暁はなにか言おうとした。
「あ…海斗、言いにくいけど実は200段の石段を登るのは序の口なんだよ。これから先はさらに地獄だよ」
それを聞いて海斗は憂鬱になりながら、「それはどんなのですか」と質問をした。
「それはね、まずは先に十王。つまり十人の裁判官に質問、そして閻魔大王が裁判を下される。もちろんこれも本当の地獄ではない」
「本当の地獄はなんですか?それって僕は地獄行きになったんですか?何か悪いことをしたのですか?」
海斗は真剣な顔で質問をした。けれど、暁はすぐに答えることはない。だが、数秒後に暁は答える。
「それは、わからない。俺は閻魔大王じゃないし海斗がどんな悪事を犯したかも憶測で判断することもできない」
暁も使用人だから閻魔大王との関係性はなさそう。海斗が疑問に思っていることを解決しなければならないと感じた。そういうことばかり考えていると背後から海斗の首を強打された。そのせいで海斗は気絶した。
目を覚ますと冥界に着いた。そこにいたのは十王だった。何を質問されるかわからない。それでも海斗は覚悟して質問に答えるのだ。
この話は本当の話ではありません。




