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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
百鬼夜行、鬼女の追想編
27/60

27.式神

崖の上で暴雨の中、大嶽丸と海斗が決着をつける途中で海斗はあることを思い出した。


「ところでさ、俺を供物としての生け贄にする件はどうすんだよ」

「それは、勝ち負けを付けてから詳しく話すよ」


大嶽丸が腹黒い顔をしながら答えた。それに対し、海斗は舌打ちをした。


(勝ち負けを付けてからかよ。つまんねえな…)


海斗はそのことを口には出さなかった。すると、海斗は攻撃を避ける準備をしたのだ。大嶽丸の攻撃がいつ来るのかはわからない。それでも、ここで挫けるわけにも行かないのだった。


「かかってこい、大嶽丸!」


海斗は堂々と大嶽丸に妖術を出してもらうように言った。


「いいぜ〜。もちろん臨むところだ」


すると、大嶽丸は何かを呼び寄せたのだった。雷も次第に激しくなり、雨の強さも増した。


(何かが来る…嫌な予感がする)


海斗はそう予感をした。


(紅葉のことも考えると、俺一人じゃ限界が来るかもしれない。早くあの3人来てほしい)


そう思っていると、大嶽丸が次の攻撃をしたのだった。それは、たくさんの式神だ。


(式神だと!?このたくさんのやつをどうしろっていうんだよ…)


海斗はその式神の攻撃を素早く避けながら、その攻撃を消去の術で消した。けれど、何人の式神を避けるのにも限界がある。そのため、大嶽丸の刀を奪うことができない。


(このままだと体力に限界が来る。だとしたらどうすれば…)


方法を考えようとしても、式神の攻撃のせいで汗をかいた。すると、その攻撃に囲まれてしまったのだ。


(…はっ!このままだと僕がやられる!)


海斗は式神にやられてもおかしくない状況だった。この状況だと、式神の攻撃により重傷を負ってしまう。そうなると、紅葉のことも思う同時に海斗は頭の中が混乱してしまった。と、そのときだった。


正面から氷の術か何かで寒気がしたのだ。


(なんだか…寒気がする…これは一体…)


海斗は寒気が感じたのだった。すると、正面から氷の棘が見えてきた。


(…はっ!もしかして!)


そう思いながら、海斗は式神を次々と倒していった。そのうちに遠くから誰かが見えたのだ。すると、海斗の視界から見えたのは青蘭、蓮、元緋。その姿は海斗と同様に体が濡れていたのだ。崖の上に登り終えた3人が海斗のところへと加わった。


「氷の妖術をやったのは青蘭か」


百鬼札を着けている海斗に青蘭は性格が変わっていることに気付いた。


「ああ。やったけど」


淡々と返した青蘭に対して、海斗は「へえ〜」とあまり深く考えずに言った。すると、海斗の後ろの近くにいた紅葉に元緋が気付いた。


「いた!紅葉ちゃん、こっちこっち」


元緋が気付いたお陰で紅葉は後ろを振り向いた。そして、元緋たちのところへ小走りで向かった。ようやく着くと紅葉は元緋たちの後ろに隠れたのだ。


「あの…しばらく元緋さんたちのところへいてもいいですか?」

「ああ。もちろん、女の子の頼みならなんでも受け入れるぜ」


元緋がナルシストのような口調で返した。それに気付いた蓮はすぐに元緋を突き飛ばしたのだ。


「あの半人半鬼よりも俺の方が安心して頼みを受け入れられるよ」


蓮も元緋と同様、そのような口調で気取った。


「痛えぞ!蓮!」


ついに元緋は起こりだしたのだ。それでも、蓮は無視して紅葉と話していた。すると、元緋も仕返しするために蓮を突き飛ばしたのだ。


「ごめんごめん。紅葉ちゃん、ここから逃げよう」


汚れた姿で気取った。そうすると、背後から蓮が元緋を殴ろうとしたのだった。それに気付いた元緋は左に一歩歩きながら避けたのだ。すると、蓮はバランスを崩し、呆気もなく転んでしまった。


「大丈夫ですか…蓮さん」


それに対し、蓮は「大丈夫」と気取りながらいった。


(本当に蓮は女の子にはカッコつけていう。これだから、東風谷蓮くんはまだまだモテないんですよ〜)


元緋が心の中で見下すように言うと、蓮が元緋のことを睨んだ目をしたのだ。


(後で覚えてろよ…元緋)


蓮はとうとう苛立ち始めた。けれど、この状況は紅葉もいる。だから迷惑も掛けてしまう。そのため、我慢をしなければならなかった。


(…あ!そうだ、青蘭大丈夫か…)


とうとう青蘭と海斗のことを思い出した。そのことを考えると心配になってきた。


「元緋、紅葉さんのことをお願い」

「ああ。いいぜ!」


青蘭のところへ全力で走りながら向かった。けれど、強風もあったのでなかなか足が進まない。


(何でだよ…青蘭と海斗のところへあともう少しなのに…)


蓮はそれでも仲間のためなら全力で向かい続けた。そのうちに着くと海斗と青蘭はたくさんの式神と戦っていたのだ。


青蘭は氷の妖術を使い、海斗は百鬼札の力を使っていたのだった。氷の棘で式神を倒し、海斗が式神を殴る様子を見た。蓮から見ると2人は疲れ果てていたのだ。


(2人が一生懸命やってる…これじゃあ、俺が判断を間違えたんじゃないのか)


蓮はそう感じた。先に紅葉のところへ行ってしまったことを。だけど、今はそういうことを考える暇はない。蓮はここから変えようとしたのだ。


(式神・星月夜(ほしづきよ)


その術を出すと、一気に式神が消えたのだ。すると、天気が暴雨や雷だったのが突然、止んだのだった。


「これが、俺の妖術だ」


それを見た青蘭と海斗は驚いた。


「これはすげえ」

「蓮、いい発想だな」


そのことに蓮は照れてしまった。


「ま…年下の君たちに褒められるのは初めて…だけど、これは俺の実力でもあるから」


ここから蓮の実力で頑張ろうと決めたのだ。


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