22.過去の記憶 その参
先に赤兎が手を差し出し、魔方陣から精霊を使う妖術を出した。
(一期一霊・炎獣)
その技は、魔方陣から炎属性の猛獣がでて、相手に襲いかかるのだ。精霊のときより3倍は強い。
その技に対し、雷千もまだ負けてない。雷千の妖術は雷を操ることだ。赤兎に勝てるかは分からない。それでも、雷千は攻撃を読まれないように素早く避けた。
(少し当たったが大丈夫だ。これなら行ける)
雷千は、次の攻撃に備えて妖術を出すをするつもりだ。そのため、先に太刀を出した。それを見ていた赤兎は退屈そうに見ていた。
(暇だな〜本当に)
そうしていると、雷千が最後の体力を使おうとした。太刀を構えていたのだ。顔つきもまるで別人のようだった。
「おい、赤兎。これで最後の勝負だ。秋楽の仇として」
すると、赤兎も初めて本気を出したのだ。今まで出さなかったのはやる気がなかったからだ。
「いいよ、君は俺に対する復讐か。それじゃあ、俺も最大の妖術を出そうか」
2人は本気を出し始めた。まず最初に出したのは赤兎だ。
(一期一霊・鬼王)
すると、魔方陣から巨大な鬼が出て来たのだ。それを見た雷千は驚いた。
「これでどうかな〜。もう俺には勝てないと思った方がいいんじゃない」
「いや、俺はまだ行ける。ここで負けるのは嫌いだ。たとえ負けてもまた一からやり直すし努力するよ」
発言を聞いて、赤兎は「やり直すか…」と独り言を言っていた。その表情も冷たい顔になっていたのだ。
「けどね、これだけは言える。何度も繰り返すといつか達成が来るかもしれない」
雷千は、はっきりと言った。そのことに対して赤兎は鬱陶しいと感じたのだ。そして、赤兎が出した鬼を戻した。
「へえ〜、もういいや。やっぱ君を殺すのを先にしよう」
「いいよ。じゃあ、俺もお前を殺す」
すると、雷千は同意をした。再び、殺し合いが始まると先に出したのは赤兎だ。同じように魔方陣を出し、今度は炎属性ではなく雷属性の猛獣が出た。
それに対し、雷千は平気な顔をしていた。なぜなら、雷属性の鬼たちと戦ったことがあるからだ。そのため、行ける気がした。
(電光雷電・乱反射)
その妖術はとても恐ろしかった。激しい音がする雷が次々と部屋の壁を反射したのだ。そして、その雷が猛獣に当たり、消えた。それを見た赤兎は舌打ちをした。
(これだったらいける!俺の努力の成果かなんだか調子がいい!)
雷千は、次第に冷静感がなくなっていた。
「おい、赤兎。次の攻撃は耐えられる?」
「何だ。次って」
雷千が手から雷を出していた。表情も狂っていたのだ。それを止めようと赤兎も何かしら攻撃をしようとした。その時だった。
(…っ!しびれた!今のは何だ)
しびれて攻撃を出すことができなかった。もう一度だそうとしても同じだ。
「おい、何をしたんだよ」
「これか。俺が仕掛けたんだよ、ちなみに初めて自分で考えたんだ」
赤兎は悔しい表情をしていた。これで、雷千はチャンスだと思った。
(これでとどめだ!)
そして、雷千は止めを刺すために最後の妖術を出すつもりだ。
(電光雷電・百打一音)
すると、たくさんの雷が100発壁に反射しながらなった。それは、赤兎もさすがに避けきれない量だ。
(くそ!避けても避けきれないだと!?)
赤兎は100発も雷に打たれた。そのせいで動かない状態になってしまった。雷千も体力がぼろぼろだ。城ももう少しで崩壊しそうだ。赤兎のところへいった。
「これで分かったな。負けた気持ちは」
「あ…」
「だったら、罪を償いな。それが嫌だったら勝手にしろ」
雷千が冷たく言ってその場を去った。
城から出ると、部下たちと紅葉が待っていた。雷千の表情はあまり嬉しくなかった。
「雷千様、秋楽様のほうは」
「それが、もうだめだ。赤兎のせいで」
それを聞き、部下たちも喜べない状況だ。目の前にいた紅葉もどうすればいいのか分からない。
(私がもし、赤兎の娘だと知られたら殺される…かも…)
そうなるといけないので、隠し通すことにしたのだ。すると、雷千が紅葉のところまで来たのだ。
「紅葉、これから俺たちと一緒に貴族として暮らさないか。君はまだ小さいし一人だと可哀想だと思って」
「本当に…いいんですか。雑用だったら何でも…」
「は!?雑用って…君はやらなくていいんだよ」
そうなると、紅葉は戸惑ってしまった。本当に貴族としてでいいのかわからないが、暮らそうと思ったのだ。
雷千たちが住んでいる家へ着くと、そこは鬼の貴族たちがいたのだ。気がつくと紅葉と雷千だけになっていた。外観も寝殿造のような建物だった。すると、背後から子供の鬼が雷千のところにいたのだ。
「おい、雷千!体がぼろぼろでどうした?」
「おいって…」
その子供の鬼は7歳くらいの見た目をしていた。水干の格好をしていたが、髪型が乱れていたのだ。
「それより晴、なんで髪がボサボサになってるんだよ。あと藁の草履をはいてきてさ」
「だってさ〜逃げてきたときに置いてきちゃったもん。あと髪をきれいにするのめんどくさいもん」
それに対し、雷千はため息をはいた。すると、晴が雷千のとなりにいた紅葉に気付いたのだ。
「雷千、その女の子誰なの?」
それに対し、雷千はなんとかごまかそうとした。けれど、戸惑ってしまったのだ。言うことが決まり、言おうとしたときだった。
「もしかして…彼女?」
「いや…彼女じゃなくて一緒に暮らす子供で」
そのことにも気付かず、晴は走り回りながら大声で叫んでいたのだ。
「らいせんに〜かのじょができました〜!!」
雷千は顔を真っ赤にしながら追いかけた。
「彼女じゃないってば!」
怒る表情をしながら言った。
(何だか…この2人って…)
紅葉はどういう状況なのかが全くわからなくなってしまった。




