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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
百鬼夜行、鬼女の追想編
21/61

21.過去の記憶 その弐

「じゃあ紅葉、『桜鶴円』を倒すのに協力してくれないか」


そう聞かれ、紅葉は戸惑ってしまった。『桜鶴円』は紅葉の両親が中心の集団盗賊だ。そのため、両親を殺すことになる。


(今まであそこで雑用としてやっていた。だから、協力したら私の人生が少し良くなるかもしれない)


協力すると決めた紅葉は、すぐ雷千に答えた。すると、「ありがとう」と落ち着いた笑顔を見せながら返したのだ。そして、2人は『桜鶴円』を倒すことにしたのであった。



一方、秋楽とその部下たちの方は所持していた刀を使ってぶつかり合っていた。


(こいつは刀を使ってもなかなか強い)


紅葉の父親は頭の回転が速い。だから、秋楽たちの攻撃を読まれるのは当然だ。


「おい、お前たち。こいつに攻撃を読まれないようにしろ」


秋楽は部下たちにそのことを伝えた。部下たちは「了解しました」と返した。


「俺をこいつって、赤兎(せきと)というちゃんとした名前があるからそっちで呼んでほしいな〜」

「最初から名前名乗ってなかっただろ」


それを聞き、赤兎は「それもそうだよね〜」とわざとらしい笑い方をしながら返した。


(本当にこいつは厄介だ。まるで化物みたい)


秋楽は、赤兎のことを厄介者だと判断した。すると突然、赤兎が刀を捨てたのだ。


「俺は、今から妖術を使うつもりだ」


そう言い、右手を差し出したのだ。その手を握り、元の状態に戻した。すると、炎の魔方陣が出たのだ。


一期一霊(いちごいちれい)炎魔(えんま)


その魔方陣からたくさんの火の精霊が出たのだ。火の精霊が秋楽たちの方へ向かった。それに対し、刀で退治するので精一杯だ。


(くそっ、精霊が邪魔で赤兎(せきと)のところへはいけない。これはまずい)


秋楽は最悪な事態だと思った。暇にしている赤兎がいつ逃げられるかもおかしくない。すると、精霊の一人が部屋の壁にぶつかり、壁が燃えたのだ。そのことに部下の一人が最初に気付いた。


「秋楽様、ついさっき火の精霊が壁にぶつかり、火が燃えました。我々も妖術を使いますか」


それを聞き、秋楽は驚いてしまった。そうなると、火がこの部屋まで燃えてもおかしくない。


(これは、判断に迷う。もし、俺の妖術を使うと部下まで巻き込むことになる。俺の部下は妖術が使えない鬼ばかりだ)


秋楽は冷静になっていた。数秒後になると方法をあっという間に思い付いた。そのことをすぐ部下に伝えるつもりだ。


「お前たちに命令だ。精霊を倒しながら聞け」

「なんでしょうか」


部下たちが疲れはてながらも精霊を刀で切り続けていた。


「お前たちにはキリがいいところで撤退してほしい」

「なぜですか!こういうのは協力して戦うのが普通ですよ、秋楽様!」

「俺は、今から妖術を使う。その妖術はお前たちも巻き込んでしまうくらい加減が難しい。ちなみに精霊のことなら俺に任せろ」


そのことを聞いて、部下たちは秋楽のことが心配だ。だけど、秋楽は鬼の国での貴族。部下たちは武士。だから、身分が違う。そのため、貴族の命令に

従わなければならなかったのだ。


「わかりました…」


部下たちは秋楽の命令に従うことにした。そして、部屋から去ったのだ。


(消去・火煙(ひけぶり)


まだ残っている精霊を秋楽が使った妖術で魔方陣と精霊を消したのだ。それを見た赤兎は関心をもったのか拍手をしていた。


「すごいよ〜。これは、俺も大好評だよ」


笑顔をしながら褒めた。けれど、秋楽は無表情だ。


「あ…。でも、これじゃ足りないね。だってさ、こんなのはね、基本だよ」

「これは、お前の見せ物じゃない」


すると、赤兎がまた何か新しい妖術を出そうとした。


精霊飛道(せいれいひどう)・全属)


その妖術は全部の属性を魔方陣から出して秋楽に襲いかかった。それでも秋楽は消去する妖術を使ったのだ。


「ねえ、秋楽。いくら消去する妖術を使っても意味がないと思うよ」


そのことを聞き、秋楽はとうとう限界まで来たのだ。


(この妖術を使うときが来たな。今、俺はイライラした)


秋楽はついに本気を出すことにした。当然、赤兎は秋楽の本気に気付いてなかった。すると、秋楽は自ら自分の爪を生やしたのだ。その爪で自分の腕を切断した。そのあと、血を何滴か垂らして再び腕が戻った。


(ほ〜。秋楽はすごい妖術だな)


赤兎は感心するように見ていた。そうすると、秋楽は血の上にのったのだ。その時、魔方陣に変わり、花びらが舞うような血しぶきがなった。そのしぶきから針へと変化した。


血花針(けっかしん)


たくさんの針が赤兎へと向かったのだ。当然、攻撃を素早く避けた。しかし、本気を出してないせいか1本か2本くらいの針に刺された。すると、赤兎の体力が衰え始めた。


(これだったらいける。こいつは一生本気を出さないだろう)


秋楽はもう一度、血花針を出すと次第に衰えた。赤兎は血だらけになり、秋楽のほうは体力が限界に近づいた。


(とどめだ!)


秋楽が止めを刺すときだった。赤兎が右手を差し出したのだ。


(はっ、これはまずい)


そのとき、秋楽の左腕が一瞬で切られたのだ。秋楽は左利きだった。もう再生はしないだろう。


「何をしたんだ」

「これは、君の腕を下さいって言ったんだ」


どこまで赤兎はいかれてるのか秋楽には全く分からなかった。それどころか気持ち悪い。



その一方、紅葉と雷千は馬に乗って城まで移動の途中だ。


「城が見えました。もうすぐで着きます」

「わかった。全力全身!」


2人は馬に乗りながら急いでそこへ向かった。



数分後に城へ着くと、一階が火で燃えていたのだ。その前にいたのは部下たちだった。


「お前たち、なぜここにいる。なかで戦ってたんじゃないのか」

「いやそれが、秋楽様が一人で戦うから俺たちは去ったんだ」 


それに対し、雷千は全く分からない。


(なに考えてるんだよ。秋楽は)


雷千は苛立った。そう考える暇もない。だから、雷千は城の中へ入ることにした。


(消去・火煙)


一階が燃えている火を妖術で消し、城の中へ入った。紅葉は部下たちと一緒に待った。


雷千が中を探り、2階へと上がった。すると、何か話しているのが聞こえた。そこへ向かうと、秋楽が倒れていた。赤兎のほうは暇にしていたのだ。


「弟様がお兄さんの仇打ちか〜」


赤兎が拍手しながら言った。


「もういい。これからお前を倒す。ちなみに弟じゃないよ」


雷千はもう怒りを露にした。それに対し、赤兎は「へえ〜」と感情がなさそうな顔をしながら頷いた。


「やってみたら?ちなみに俺の名前は赤兎。その名前で呼んでほしいよ」

「赤兎。お前はいかれやろうだよ。だから、その口を止めてやる」


雷千が言ったあと、赤兎がニヤリと笑った。そして、2人の戦いが始まったのだ。


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