20.過去の記憶 その壱
夢の中であのときの記憶を思い出す。それは紅葉にとっては切ない物語だ。
当時、鬼の国で最強の集団盗賊だった『桜鶴円』である父と母の間に生まれた。紅葉は生まれつき、火炎の妖術が使えたのだ。けれど、紅葉の妖術は暴走しやすい。そのせいで、豪華な城や盗んだ金品などが燃えた。
幸い、紅葉は命に別状はなかった。その後、元通りにしたいため城を建て直したもらった。また、紅葉が再び暴走しないように左手首に赤い糸を付けた。燃えてしまった件で両親は紅葉のことを嫌ったのだ。
時が過ぎ、紅葉は10歳くらいの年齢になっていた。今は盗賊の娘としてではなく雑用をしている。
(早く捕まればいいのに…でも、それはないか…)
紅葉は床を雑巾で拭きながら、いつもそういうことを願っていた。主に紅葉は掃除をさせられたり、食事を運んだりすることが多い。
「ちょっと、邪魔。紅葉ちゃん、さっさと雑巾で拭いて」
召し使いの一人が冷たい口調で言った。考え事をしているといつも言われる。それはもう慣れたことだ。
秋の早朝、お客さんが来ていた。そのため、2の服装は直衣と十二単だ。けれど、紅葉は簡素な和服だった。あまりにも差がある。
紅葉がその友達のところまでお茶を運びに行った。父と母がいる部屋へ着き、襖を開けようとすると賑やかな声が聞こえたのだ。それでも勇気を出して、襖を開けた。
「失礼します。お茶をお持ちしました」
紅葉が言っても賑やかな声は続いていた。すると、紅葉が母のお腹を見ると妊娠をしていたのだ。
(私に妹か弟が生まれるんだ…そうすると、私は完全に捨てられてしまうね)
紅葉は両親に見捨てられる覚悟はしていた。そのことばかり考えていた。それに気付いた母が突然、紅葉のところまで行った。すると、運んであるお茶を紅葉にかけたのだ。
「紅葉、ここはあなたがいる場所じゃないの。だから早く出ていけ」
そういわれ、紅葉は急いでお客さんにお茶を置いた。「申し訳ございません」と言い、すぐに襖を閉めて去った。気まずい雰囲気になってしまったのだ。
紅葉は休憩時間になると、いつも一人で外に出ていた。遠くから見る楓景色は綺麗だ。
「いつか行ってみたいな」
紅葉は、願い事が一つあった。それは"外の世界"へ行きたいのだ。今まで、鬼の国から一歩も出たことが一度もない。
「私に幸せは来るのだろうか」
左手首に巻いている赤い糸を見ながら自分に問い詰めた。すると、楓景色の方からたくさんの鬼たちが馬を乗っていたのだ。それは、盗賊たちではない。
(もしかして…私たちを捕まえに来た…?じゃあ…私は…ここで死ぬの…?)
誰だか知らなかったが、すぐに紅葉は知らせに行った。 城の中へ入り、他の召し使い、お客さんや両親などに伝えた。それを知った両親は直ちに攻撃の準備をした。
「紅葉、あんたはまだ小さいから逃げて。どこまでも」
召し使いの一人が言った。それに紅葉は従い、その鬼たちに見つからないよう山を降りていったのだ。
数時間が立ち、とうとうその鬼たちが城の前へ来たのだ。両親を中心に大勢の人たちもいるので準備万端なのだ。すると、鬼にの一人が何か言おうとした。
「俺は、秋楽。おまえたちを盗賊の疑いで退治しに来た」
秋良と名乗っていた。それを聞いた両親は少し焦り始めた。
「お前ら、準備はばっちりか」
『桜鶴円』のほうも戦う準備はしてあったのだ。すると、秋楽がもう一人の人の耳を貸しながら何か言った。
「おい、お前は周辺に誰かいないか探して殺せ」
その鬼神はその場を去り、周辺を探し回った。その後、秋良たちと部下と『桜鶴円』という集団盗賊と戦闘を開始したのだ。
先に部下が城を駆け足で突破した。秋良も馬を降りて城の中へ入った。部屋を回ると、何か音がした。
「こっちだ。何か音がする」
「はっ」
駆け足で音のなる方へ行った。そこに着き、襖を開けると紅葉の父親だけだ。
「ようこそここに来てくれた。あ〜でもそう簡単には倒せないからね」
悪巧みをするような顔で言った。
「ちなみに妻とかは逃がした。あと娘は自分から逃げたよ」
父親が言ったあと、秋良は無表情になり他の人の話を無視した。
「それでもおまえを倒す。ちなみに言っとくけど俺たちは貴族だから」
そのことを聞き、嬉しい表情になっていた。秋良はそれに対し、気味が悪いと感じた。
「これからおまえを退治する」
「やってごらん。そう簡単には行かないけど」
そして、2人の戦闘が始まった。
一方、秋良のとなりにいた鬼神は周辺を探し回っていた。楓景色から馬に乗りはじめたのだ。すると、白髪の鬼女が立っているを見つけた。
(あれは、娘らしいものかな?)
見つけるとすぐその鬼女のところへ向かった。それは、すぐに追いついた。
「やっと見つけた。あなた、娘さんですよね?」
とうとう見つかってしまい、どうしようもない状態になっていた。
「あの…見つかったならまず私を殺してください。何にも役に立たないから私をあっという間に…」
「そういうことなら殺さない。君は悪事を犯してないようだから」
紅葉が言っている途中で言われてしまい、紅葉は少し安心をした。
「俺さ、君のように悪事を犯してない鬼は殺さないと決めてる」
それは、紅葉も含めていたのだ。紅葉も『桜鶴円』という集団盗賊の雑用を今までしていた。そのため、ほとんど戦闘には関わってこなかった。
「だから、俺はもう今日で戦うのをやめる。そもそも向いてないから」
紅葉は驚いてしまった。
「ちなみに俺の名前は雷千。君の名前は?」
そう聞かれ、「紅葉」と答えた。
(この鬼神と一緒なら幸せにしてくれると思う…)
紅葉は心の中でそう思った。




