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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
百鬼夜行、鬼女の追想編
2/60

2.謎の使用人・暁

「大丈夫ですか?起きてくださ~い」


誰かの声が聞こえて海斗は、目を覚ました。そこは、川の上で木の船に乗っている。どこに行くのか一緒に乗っている誰かも全くわからない。すると、またその人の声が聞こえる。


「お、やっと起きた!俺の名前は(あかつき)。今は死者を"黄泉の国"まで運ぶ使用人だよ」


暁と名乗っていた。その人は若々しい声をしている。人間の姿であり、ぼろぼろの着物を着ていてひとつにまとめていた。使用人ということはこの周辺を知ってると海斗は思ったのだ。


「使用人ですか…あ、紹介してませんでした。名前は鳥山海斗。あの、すみません。ここはどこですか?自分もここがどこなのか分からなくて…」


海斗はここがどこなのか分からなくなり暁に思わず聞いた。そうすると暁はこう答えた。


「ここは、三途(さんず)(かわ)。この世とあの世の境界にあるとされる川だ。天国へいける人間はあの橋を渡っていける」


暁が正面にある橋を指で指しながら説明をした。この時、海斗は"天国"というキ一ワ一ドを聞いて気付く。自分は今、あの世にいることに。けれど、暁の説明はまだ終わらなかった。


「しかし、この世で悪事を犯した人間はこの川を自力で渡らないと行けない。さらに犯した人間には流れが急になり、それを自力で渡ること。ちなみにこの川は普通の川より何倍も冷たいから"死の川渡り"とも黄泉の国の住民は言われてる」


その話を聞いて、海斗は驚いた。恐怖によって、激しく動いてしまい船の上で立ってしまう。その時、海斗は運動神経が悪いためバランスを崩し、転びそうになった。すると、暁が海斗の手を掴み引っ張った。


「ハア、ハア…助かりました...ありがとうございます…死ぬかと思いました...」

「次は気を付けろよ。でも、君は礼儀がいいね。そんなことを言われるのは久しぶりだな~」


久しぶりという言葉で何か複雑な事情があるのか。海斗は心の中がもやもやした。何て返せばいいのかわからない。これにはまだ話していた。


「俺にも息子が3人いるけど、俺のせいで特に一番末っ子が俺に対して嫌ってるんだよね…ちなみに海斗と同い年くらい」


父親と息子。海斗は父子家庭だったのかと憶測で判断した。同い年くらいなら一度あって話してみたいと感じた海斗は友達ができるチャンスかもしれないと思った。


「そんなことは誰にでもあると思います。ちなみに僕もこの世で小さい頃に母と弟の日陽(ひなた)とじいちゃんを失くして義理の両親たちと暮らしていたので」


海斗は本当のことを話した。受け入れてくれるかはわからないが話せることは話した。すると、暁は「海斗、君とはやっぱ気が合う。仲間、かもな」と海斗に小さく放った。



数時間がたった。まだ黄泉の国には到着していない。暁は、あくびをして眠っていた。かなり寝相が悪い。それだけでなく、いびきもうるさい。まるで、おじさんだ。何か言ってるようだ。「酒くれ」という寝言が聞こえる。


海斗は暇潰しとして、ズボンのポケットに古い懐中時計があると気付いたのでとりだした。その時、今まで針が動かなかった懐中時計が今、動く。"黄泉の国"と古い懐中時計と関係があるのかと海斗は予想した。すると、寝ていた暁が目を覚め、起きた。


「おはよ~、おっと、時差ボケか?海斗、起きてたのか」


起きてきた暁に海斗も「おはよう」と返した。そのあとは、懐中時計と黄泉の国の関係性について予想していたので海斗は暁と話している余裕がない。集中している海斗を見て暁は近くのところまで行く。海斗が気付かないようにこっそり(のぞ)いた。

すると、海斗が古い懐中時計を持っているのを見て暁は目を大きく開けた。


「あ!それ、俺もこれを探したやつ」


暁が海斗に話しかけた。反応した海斗は「え!?そうなんですか?」と言い、一旦懐中時計を見るのをやめた。


「あのね、実は俺も研究でその懐中時計を探してたんだよね。だから、しばらく俺に貸してもいいか?」


暁が研究で使いたい気持ちもわかる海斗は困っていた。この時計は、誰にも見せられないし渡すこともできない。じいちゃんとの約束を果たすことにしたので海斗は暁に渡すことを断る判断をした。


「すみませんが暁さん。これはじいちゃんと約束したのです。だから渡せませんし誰かに見せることもできません」


海斗は祖父との約束を果たすために渡すことを断る理由を言い、暁は「そっか。わかった」とあっさりとした感じで放ったが、


「でもよ、俺に渡せば大発見になり億万長者になってこの生活から抜け出せるんだぜ」


暁が海斗に言い返し、それに返すことができなくなった海斗は仕方なく渡した。


(これじゃ、黄泉の国に着いたときにじいちゃんに説教させられる…)


「なんなんだよ、この人!イカれた野郎ですよ!逆に騙されました」と海斗はツッコんでしまう。



翌日の朝になると、桟橋に着き2人は船から下りて少し歩いたところにある場所へ着いた。そこは海斗にとっては嫌な気持ちになった。


「さあ、海斗、嫌だろうけどここともうひとつの地獄を乗り越えれば黄泉の国へいける」


暁は海斗に大声で言い放った。

この話はフィクションです

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― 新着の感想 ―
二話まで読ませて戴きました。 黄泉系は久しぶりに読んだので楽しかったです。 受験合格お祈りしています。桜咲け!!
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