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妖の追凶〜time of hell〜  作者: 羽波紫希
百鬼夜行、鬼女の追想編
13/61

13.母親の怨霊

ペア同士で組んだあと、海斗がまだ自己紹介をしていなかったことに気付いた。


「俺の名前は青蘭。今は旅をしてるところ。よろしく」


青蘭は淡々と終え、次に海斗が自己紹介をする。


「僕の名前は、鳥山海斗です。名字は義理の両親の養子としてだから」


それを聞いた蓮と元緋は頷いた。そのあと、気になった元緋が本当の名字は何かと質問をしたのだ。すると、海斗はわからないと答えた。その続きを海斗が詳しく話をすることにしたのだ。


△▼△▼


海斗は生まれたときから母と弟の日陽と幸せに暮らしてきた。そのため、本当の父親が誰なのか、自分の本当の名字は何かわからないまま生きてきたのだ。


しかし、8歳のときに交差点で軽自動車の横転事故が起きた。車同士が衝突し、海斗の母と弟が乗っていた車が横転してしまったのだ。このとき、海斗は小学校にいって授業を受けた時間だった。軽自動車は母親と日陽が乗っていた。その中には母親が運転席。日陽が左側の後部座席の上にあるチャイルドシートに座っていた。そのせいで2人は帰らぬ人となった。小学生だったころの海斗は、そのことに最初は受け入れる状態ではなかった。


その後、海斗は母方の祖父でもある草薙明雄のもとで暮らし始めた。そこでは、「草薙」という名字を使った。海斗は明雄に一度だけ本当の名字は何か質問したことがある。


「じいちゃん、僕の本当の名字って草薙なの?」


すると、明雄は「さあね…」と悲しげな顔をしながら海斗には教えてくれなかった。それに対して、海斗は何か嫌な予感がしていたのだ。


(じいちゃん…)


海斗はここで話すのを終わりにした。そのことを聞いた後、3人は悲しい表情をしていた。当然だ。


「すみません…こんな話をして気分が悪くなりますよね…もう終わりにしますから」


海斗が焦りながら言うと蓮たちは「大丈夫」と言った。



数十分が立ち、日が暮れた。気付いたときには、周りの人はほとんどいなくなっていた。それぞれの家へ帰ろうとお開きにしようとしたときだ。すると、海斗の背後から女性が歩いていることに3人は気付いた。その人は髪が乱れ、ぼろぼろの服を着て裸足で歩いていた。それだけでなく、怪我や痣が複数あり、血だらけであったのだ。まるで、ゾンビみたいな姿だった。


「あの人に…海斗は…渡さない…」


女性が言っているのが聞こえた。海斗が振り向くとその人の声は低く、かすれていたのだ。その姿を見た瞬間、海斗の本当の母親だと分かった。見たとたん、海斗はショックを受け、足が動けない。


(前はあんな綺麗で、明るい笑顔で僕と日陽のことを考えてくれてたのに…何で…)


そのせいか、何て言えばいいのかも分からない。すると、青蘭が海斗に「この女は誰?なにか知ってるか」と海斗の肩を叩きながら吐き捨てるように質問をした。


「海斗に触れるな!」


その女性が荒い声で言い、青蘭に襲いかかったのだ。すると、青蘭は妖術を使うために手を強く叩いた。


(氷棘凍土・拍壊(はっかい)


すると、その妖術で青蘭の地面が凍り、氷がその女性に出てきた。 先が尖っている。そうすることで、女性が動けなくなった。青蘭が手のひら同士を離すと、氷がバリン。バリンと割れていく。


(あの男は何者…あの技は…あの音であの日の出来事を思い出す…)


それは女性にとって、とても嫌な思い出だ。家のリビングで皿を割る音と罵声を浴びる夫。それに耐える女性。その出来事を思いだしたので、その女性はまだ諦めていなかった。


「よくも…よくもあたしの過去を思い出してくれたな!」


それどころか、声を荒げていた。これは、完全に怒りを露にしている。すると、海斗が倒れていることに元緋は気付いた。


「おい!おい!目を覚めろ!聞いてるか、海斗」


あとから2人も気付いたとき、蓮は「俺と青蘭はあの女を倒す」と元緋に伝えた。すると、元緋は手でオッケーサインをし、海斗が目を覚ますまで待ち続けた。


(俺は妖術とか使えない。だけど、拳なら使える。今は海斗が最優先だ)


元緋は地面を強く叩きながら海斗を見た。



蓮と青蘭はその女性と戦っているところだ。どうすれば、倒せるかわからない。


「まず、そこのお前から殺す」


青蘭に言っていた。すると、その女性が何か術を使おうとしている。それを見た蓮は嫌な予感がしていた。手は裏拍手になっていたのだ。出される前に止めようと蓮が式神を出そうとした。


(式神・星詠(ほしよみ)


それを出すことによって、式神も一緒に戦うことができる。その人の術は星の魔方陣を出し、相手が逃げるのを防ぐのだ。


(蓮もなかなか行けるじゃないか。さすが陰陽師)


青蘭は心の中で蓮のことを褒めた。今、その女性は完全に逃げていない状態だ。とどめを刺そうと青蘭が違う妖術を使おうとしたときだった。その女性はパッと消えていったのだ。それに対して、2人は声を上げて驚いた。


(こんなことってあるのか?)


2人は戸惑っている状態だった。その女性がどこへ消えていったのかはわからない。


あとから駆けつけた元緋が倒れている海斗を担いで蓮たちのところへ行った。


「蓮たち、あの女は倒したのか」

「いや、それが消えてった」


蓮が答えたあと、元緋も驚いた。



その後、海斗を青蘭が案内をして家まで送ったのだ。家に着くと、家の前に立っていたのは草薙明雄だった。


(これ、終わった。正直に言わないと叱られる…)


すると、明雄は叱らなかったどころか海斗が倒れているのを見た。それを見て、明雄はがっかりしていたのだ。


「最悪だ…娘に取りつかれている。海斗、妖になりかけてる」


娘と聞いて、あの女性は明雄の娘だったのか。だとすると、海斗はその母親なのかもしれない。


「ちなみに娘さんの名前はなんと言うんですか?」


すると、明雄は「明音(あかね)」と小さい声で答えた。つまり、あの女性は草薙明音だったのか。


「明音さんは妖になったんですか?」


青蘭が違う質問をすると、明雄は「妖じゃない…怨霊だ」と涙を流しながら答えたのだ。


"怨霊"と聞いたとき、驚いてしまった。


(怨霊…何か恨みとかあるのか)


家の中に入って明雄が詳細を説明することになったのだ。

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