星姫(あかりひめ)独白
とある筋から、他の姫君に先んじて、王位継承者候補の個人情報を入手した。
私はすかさず先手を打った。
運よく同じ目白台大学の友人の中に綾小路翔太さんの友人のガールフレンドがいて、彼女を通じて合コンに誘うことができた。
大学の近くのホテルのスイートルームを予約し、部屋に翔太さんたちを招くことにした。これなら人目を気にしなくともすむし、気に入ったらすぐさまベッドに誘いこむことができる。
もちろん自分の素性を明かすことはしない。ハーフフェイスのマスクを纏い、今夜はマスカレード・パーティだ。名前も「織姫」と名乗った。
それでも私は一応有名人だ。盛り上がる五人をしり目に、正体に気づかれぬよう、慎重に、それとなく彼を観察し続けた。
長身でまずまずのイケメン、外見は申し分ない。気さくで、明るくて、女性との接し方もそつがない。これは「合格」と確認できたところで、私は彼に近づき、グラスをあわせた。
女性経験もそれなりにあるのだろう。純朴そうでいて私の誘惑にも躊躇うことがなく、私をベッドルームに誘ってきた。
どうせ、私のことを「据え膳喰わぬは男の恥」くらいに思っているのだろう。そっちがその気なら、私だって、思いっきり楽しんでやる。
ベッドの中の彼は、片手ほどの私の男性経験の中でも断トツに素敵だった。
私は、その夜、これが私が仕掛けたハニートラップであることも、彼が王位継承者であることも忘れて、ただただ彼との行為にその身を委ねた。
深い考えがあって彼を罠にはめてみたわけでもない。強いて言えば好奇心と反骨心から、だろうか。
私は国王の弟の次女、順当にいけば彼と結婚するのは国王の一人娘である葵姫だ。
そうなる前に、彼がどれほどのものか、一応試しておいても損はない、そんな程度の気持ちだった。
それが、抱かれてみれば大当たりだ。
私とて王族の姫、彼のパートナーとなる資格はある。これほどの上玉が、しかも王位継承者が、葵姫のものになってしまうのをを黙ってみている手はない。
現時点では私が一歩リードしているが、国王は自分の一人娘である葵姫押しで強引に動いてくるだろうし、雅姉さまの動向も侮れないところだ。私も余裕などかましている暇はない。
彼と相思相愛、恋人同士になれればうれしいけど、そして婚約とか、そういうことになればもっとうれしいけど、所詮は私は国王の弟の次女、一回くらい関係を持ったところで本命というわけにはいくまい。
まずは他の姫君に先んじて彼のセフレになって、葵姫や雅姉さまと彼がそういう関係にならないよう彼のそばでけん制を続け、ついでに彼とのエッチも思う存分楽しんじゃおう。
さすがにいきなりの青姦は拒否られたが、とにかくその場の勢いでセフレになることを認めさせた。
彼も突然環境が変わっていろいろ思案をしていることだろが、ここはひとつ、考える暇を与えずに畳みかけてしまおう。
早速今夜彼の部屋に押しかけ、彼が躊躇っているようだったら、こっちから進んで裸になってベッドに入っちゃおう。
そう決心すると、私の脳裏に、彼とのあの身体が燃え滾るような一夜が、まざまざと蘇って来た。
ああ、あの月くんにまた抱かれるんだ、そう思っただけで身も心も濡れてくる。
「よーし、今夜は、思いっきり楽しんじゃうぞー」
思わず立ち上がって大きな声を出してしまう私であった。




