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国王介入

 私が翔太様と男女の関係になったことを黒島の報告で知った父は、いたくご満悦だった。

 

 私が「私も彼と同じ職員寮に住みたい」とおそるおそる切り出したところ、二つ返事で承諾を貰えた。さらに、

あおいは弟宮の姫君たちと横並びでいいのかな」と言い出した。


「これを機に一気に婚約まで話を進めてしまおう。うん、そうしよう」


「そ、それはちょっと待ってください、お父様」

 

 そんなことはできない。

 弟宮の四姉妹の好意で、私は翔太様のお相手の末席に加えてもらったのだ。それを、親の七光りで彼女らを出し抜くなんて、筋が通らない。


「それは、姫の個人的な感情だろう。私はこの国の話をしているのだよ」

 私の反論を、お父様は簡単に切って捨てた。


「男系男子のみの王位継承が我が大和国の伝統ではあり、法律でもそのように定められているが、それはあくまで一夫多妻制を前提にしたものだ。側室を置くことができない、現在の一夫一婦制の下でそれをやろうとすると今回のようなことになる」

 

 いわく、どこの馬の骨かわからない者を血統を遡って探してきて、王位継承者に据えなければならなくなる。

「でも、それでいいのかな。王であるために大切なのは血筋ではない、育った環境や、幼少の頃から受ける特別な教育によって醸成される、王族としての覚悟こそが大切なのだよ」


 そのためには、生まれた時から王族であらねばならない。

「お前にはその覚悟がある。実質的な王位継承順位第一位は葵姫、お前だ。翔太くんは王家への入り婿、名ばかりの王でしかない」


 父王のいうことには一理ある。私とて王族の姫だ。それが分からない私ではない。

 しかし、父の発想は、恋愛感情とか、信頼関係とか、人の心がすっぽり抜け落ちている。


 私は、翔太様が王位継承者だから好きなのではない。

 その私の気持ちが伝わったから、あの四姉妹は、損得抜きに、私を仲間にしてくれたのだ。

 私は彼女らに心から感謝している。

 万が一にもそんなことになったら、私は彼女らに顔向けできない。


「こればかりは、いかにお父様のご意向とあっても、承諾できません!」

 何と説得されようと、私はきっぱりと反対し続けた。


「ほう、姫がそこまで言うとは珍しい。それならそれで仕方がない」


 国王と黒島が視線を交わしながら、自説を撤回した。

 でも、何を考えているか、これから何を仕掛けてくるか、この二人は油断がならない。



 ほどなく、私は、翔太様の住む社宅の1階の右端の部屋に引越しを終えた。


 もったいないことに、翔太様と姫君たちに歓迎会を開いていただいた。彼女らと徐々に打ち解け、彼女らを通じて、翔太様とも徐々に普通に会話ができるようになってきた。


 早速今夜は、翔太様が私の部屋にお渡りになる。翔太様と過ごす二回目の夜だ。


 すぐに気持ちよくなって、姫様も『入れて、入れて、もっと、もっと』ってせがむようになりますよ」

 黒島が言ったことに嘘はなかった。

 

「翔太様を、ください!」

 身体の昂ぶりを我慢できなくなった私は、自ら身体を開いた。


 この夜、私の心と身体は、ひとつになった。


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