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知己朋友(ちきほうゆう):よく自分のことを知ってくれている友人のこと。

 私は、勇気を振り絞って翔太様との約束を取り付け、彼の部屋を訪れた。

 約束の六時より15分ほど早く彼の部屋につき、時計を見ながら、約束の時間になるのを待ってチャイムを鳴らした。


 いざ部屋に入って翔太様と向き合うと、あんなことも話そう、こんなことも、と散々準備をしてきたはずなのに、頭の中が真っ白になって、何も話せなくなってしまった。

 ああ、私、同年代の男の人の前に出るといつもこうだ。翔太様、きっとがっかりしているだろう、きっと詰まらない女と思っていることだろう。こんなことなら来なければよかった。


 と言って、来てしまった以上なかったことにはできない。ここで後には引くわけにはいかない。今日失敗したら、きっともう次はない。何としても、今夜翔太様に抱いてもらわなければ。

 会話ができない私にできること、思いつくことといったらもうこれしかなかった。

 

 私は、恥ずかしさを必死にこらえ、服を脱いだ。でも、最後の一枚をが脱ぐ段になって、あまりの恥ずかしさに、どうしても手が動かなかった。

 前に進めなくなった私は、とうとう踵を返してその場から逃げ出してしまった。


 部屋を出るなり、不覚にも敵に見つかり、捕まってしまった。翔太様を色仕掛けで囲い込んだ四姉妹、その首魁と思しき私より三つ年上の従姉、雅姫にだ。


 これはもう最悪の展開だ。

 彼女は、私を追いかけて来た翔太様を制すると、私を彼女の部屋に連れ込んだ。

 早速尋問開始だ。結局私は、私の今夜の行状を洗いざらい吐かされてしまった。

 一通り尋問を終えると、雅姫は仲間の姉妹に集合をかけた。ほどなく星姫、愛姫、菫姫、敵の姉妹全員が集合した。

 

 彼女らからすれば私は翔太様にちょっかいを出そうとした泥棒猫だ。リンチは免れまい。

 私はどんな辱めををけるんだろう。最後の一枚もはぎ取られて外に放り出されるとか、木に縛り付けられるとか…


 ところが、意外にも、彼女らは私にとても優しかった。

 共に翔太さまを愛する者として、私の今夜の行状を、目をつぶってくれるどころか、容認し、仲間認定?までしてくれた。狐につままれたような気分とはこのことだ。


 私は彼女らに連れられて、翔太様の部屋へ逆戻りした。

 どんな顔をして彼に会ったらいいのと大いに戸惑ったが、幸いにも、彼女らがぽんぽん話をしてくれるので、私は黙っていても大丈夫だった。


 突然、雅姫に、彼と話すようにと話を振られた。彼女の気づかいはすごくうれしかったが、さりとて話題などないことは、先刻の訪問で実証済みだ。

 翔太様に話せる話をすればよいと言われて、とっさに頭に浮かんだのが、私の大好きなお城の石垣だった。

 こんな時に石垣の話なんて、普通は相当に惹かれるに違いない。でも、翔太様は「面白そう、聞かせて」と言ってくれた。

 

 相槌を打ちながら熱心に聴いてくれるので、私もつい夢中になって、気が付くと一時間ほど時間が立っていた。

 いつの間にか私以外の姫様たちは退出、部屋には二人っきりだ。


 スマホにメッセージが入っていた。雅姫からだ。

 

「今夜はあなたに塩を送るわ」


 彼女ったら上杉謙信気取り?

 彼女の心遣いがありがたくて、嬉しくて、涙が溢れてきた。


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