表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/41

同盟結束

 翔太くんの住む職員寮への引越しの許可をお父様にもらった私、みやび姫は、引越し準備のために社宅の部屋に向かっていた。

 引越しといっても同じ王宮の敷地内のこと、必要最低限の荷物だけは既に運び込んである。後は必要に応じて取りに戻ればよい。

 翔太くんとの愛の巣になる部屋だ。早く引越しを済ませてしまいたい。

 

 おや、翔太くんの部屋から、裸の女性が裸足で走ってくるではないか。

 なんと、ストリーキング女の正体は葵姫だった。

 後から翔太くんがあわてて彼女を追いかけてくる。私は翔太くんを手で制して、彼女の身柄を確保した。

 

 ただならぬ様子の葵姫を、このまま翔太くんに引き渡すのも躊躇われた。

 彼には事情を確認して後で連絡することにして、まだ引越し荷物も片付いていない私の部屋に彼女を案内した。

 

 私は、着ていたジャージの上を脱いで彼女の肩にかけながら聞いた。

 「そんな恰好で、一体何があったの?」


 しどろもどろの彼女の話から推測したところによると、翔太くんの部屋を訪問したが、会話が続かず、とにかく抱いてもらおうと裸になろうとしたが、途中で恥ずかしくなってとうとう逃げ出してしまった、こういうことらしい。


「ということは、姫様も、翔太くんのことが好きなの?」

 葵姫が小さく、でもはっきりと頷いた。

 

 なんだ、葵姫も私たちと一緒か。

 それにしても、やることが、私のあの一夜といい勝負?くらいに常軌を逸している。 

 いけ好かない姫と思っていたけど、俄然親近感がわいてきて、姫のことがかわいく思えて来た

 

 私は妹たちに集合をかけた。

 いつもの通り愛姫が議事進行役を務め、私の部屋で緊急ミーティングが始まった。

 

 まずは、私が事情をかいつまんで説明し、改めて葵姫に確認した。

「ここまでやるからには、翔太くんのこと、本気で好きなんだよね」

 頷く葵姫。


「うーん、強力なライバルが出現したな」と星姫


「私は姉さまたちをライバルだなんて思ってない。翔太さまのことが大好きな仲間だと思っているよ」と菫姫。


 私も同感だ。これ以上意見も出なそうなので、多数決を取ることにした。

「それでは、葵姫様を私たちの仲間とすることに賛成の方は挙手をお願いします」

 愛姫のことばに三名の手が上がった。満場一致だ。


「ところで姫様、服はどうされたの?」と菫姫。

「あ、翔太様の部屋で脱いだままだ」

 それじゃ皆で取りに行こうかということになった。

 

 勝手知ったる翔太くんの部屋だ。それぞれが思い思いに翔太くんに話しかける中、葵姫だけが黙ったままだ。

「葵姫も話しなよ」と投げかけると、

「私はっ、皆みたいに、話すことも、ないから」と下を向いてしまった。


「無理することはないですよ。姫様が好きなこと、話せることを話してくれれば」と  翔太くん、優しい。

「何でもどうぞ」


「石垣のことなら」ようやく葵姫が口を開いた。

「石垣って、お城とかの石垣のこと? 面白そうだね、話して聞かせて」


ようやく、葵姫が重たい口を開いた。

「一口に石垣と言ってもいろいろあってね、戦国時代はお城は要塞的な役割が強かったから、石垣も実用本位で、天然の石をそのまま使った野面積みという手法が取られていたの…」

 石垣の話を始めると、葵姫は急に饒舌になった。

「今の大阪城は、この王宮と同様で、戦国時代が終わってからトクガワ家が建てたものだから、切り石が整然と積まれているけど、発掘調査で出て来たトヨトミ時代の石垣は、全然違う野面積みだったんだよ」


 滔々(とうとう)と石垣の話を続ける葵姫、彼女を残して私たちはそっと彼の部屋を退出した。


 外に出ると、私は彼女のスマホにメッセージを送った。


「今夜は、あなたに塩を送ります」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ