周章狼狽(しゅうしょうろうばい):予期しないことに出合ってひどく慌てふためくこと
目を覚ますと、眼前で大きな胸がゆさゆさと揺れていた。なんと!雅姫が俺に跨って腰を弾ませている。
する前だったら拒否もできたが、し始めてしまったものは仕方がない。俺はじたばたせずに成り行きに任せることにした。
泣きべそ絵を描きながら謝罪を繰り返し、それでも行為を止めない雅姫、とにかく彼女を落ち着かせようと、上半身を起こして抱きしめ、「大丈夫、怒ってないですよ」と頭をなでた。
それでも泣き止まない彼女。それはそうだろう。俺がなんと慰めようと、客観的に見て、昨夜の彼女の失態は女性としての許容範囲を大きく逸脱している。なまじなことでは彼女の罪悪感は消えないだろう。
それならば、昨夜の記憶を上書きして消してしまうような体験を彼女に与えればいい。
俺は意を決して、体勢を入れ替えて足を開かせ、彼女と深くつながった。
最初はぎこちなかった二人の動きがシンクロしていくにつれ、彼女の泣き声が喘ぎ声に変わり、やがて甲高い嬌声となった。いよいよ彼女が頂上を迎えようとしている。
同時に俺も限界が近づいてきた。当然避妊具は装着していない。外に出さなきゃ、と思った瞬間だった。
「ああっ、いっちゃう、いっちゃう!」
絶頂を迎えた彼女の手足が俺に絡み、万力のように、すごい力で俺の身体を締め付けて来た。俺はなすすべもなく、彼女の中に精を放ってしまった。
大の字になって荒い呼吸を繰り返し、快感の余韻に浸る彼女が、ようやく我に返った。
「あ、え、中に出しちゃったの。あ、私が絞めたせいで?」
「ねえ、出来ちゃってたらどうしよう、まさか、いきなり一発で妊娠、なんてことはないよね」
ないとは限らない。それに、俺の精子、すごく元気だって、黒島さんも言っていたし。
取り乱して謝罪を繰り返す彼女を落ち着かせ、話を聴いた。
「次の生理の予定日、いつですか?」
「あ、えっと、10日後かな」
「それじゃ、とにかく二週間待って様子を観ましょう。それでもし生理が来なかったら、まずは黒島さんに相談しましょう」
「黒島さん、なんていうかな」
もしできていたら、「よくやりました。それでこそ私のみ込んだ翔太さま」って言いそうな気がする。そして弟陛下ご夫妻に報告だ。そうなったら…
「もし私が妊娠したら、多分、父上も、母上も、もろ手を挙げて喜ぶと思う。最初からその気で、私や星姫をけしかけるような口ぶりだったから」
そうだろうなと、俺も思った。
「それで、婚約発表はいるにする?とか言い出して…、そんなことになると思う」
同感。事態はすごい勢いで動き出すだろう。
「私、どうしよう。そりゃ、あなたを誘惑しちゃおうとは、少しは思ってたよ。でも、それは、色仕掛けで欲情させて押し倒されちゃおう、とか、その程度のことで、ここまでやるつもりなんて、全然なかったのに」
今更何を言っても後の祭りだ。
もう運を天に任せるしかない。後は野となれ山となれ!だ。




