第71話 【はいしん】 おにぎり(ツナマヨ、おかか、etc…)
俺たち3人は、大きい目のまな板1つを囲むように並んでいた。
「それじゃ、ご飯を置いていくぞ~。」
ルーシーとカエデちゃんの目の前に、おにぎり1つ分のご飯を配っていく。
「ホカホカですね~。」
『このまま食べても美味しそうだわ。』
「まだ食べたらダメだぞ、ルーシー」
『は~い。それじゃあ、次の手順を早く教えてくれるかしら!』
ルーシーが配信のコメント欄に対して問いかけると、直ぐに料理人ニキが反応してくれた。
料理人ニキ:分かりました!それじゃあ、大和さんが置いてくれたご飯の上に、好きな具材を置いてください!
:久しぶりの料理人ニキで草
:↑なんで草生やしてるんやw
:やっぱ、おにぎりと言えば具材だよな。
:ツナマヨ美味いよな。
:俺はシャケ!
:ていうか、おにぎり作るのに解説要るか?
『具材ね!それじゃあ、ヤマト!そろそろ出してもらえるかしら?』
「確かスペシャルな具材があるって言ってましたよね!楽しみだな~。」
「よし!それじゃあ、置いていくぞ!」
ルーシーとカエデちゃんの期待の籠った眼差しを受けながら、キャンプ用机の上に具材を置いていく。
:お、シャケあるじゃん!
:昆布を用意しているとは、流石は大和殿だな。
:ああ…。ツナマヨは無いのか…。
:↑お前の気持ち分かるぞ。俺もツナマヨを見たかった…。
:おかか!
:あ、あれはもしかして…!
:スペシャルな具材って、これか!
「シャケに昆布、おかかと梅干。それだけじゃなくて今回は、いくらも用意してるぞ!」
「やったー!私、いくら大好きなんですよ!それだけじゃなくて、シャケと一緒に食べると最高に美味しくなりそうです!」
『いくら…。カエデがそこまで言うってことは、相当美味しいのね。あら、そっちに置いてある赤と白色の具材は何なの?』
:あ、本当だ。奥の方にまだ何かあるぞ。
:なに!?ツナマヨか!
:↑赤と白色の具材って言われて、ツナマヨはないだろw
「気づいたか、ルーシー!聞いて驚くなよ!これは海の高級食材!タラバ…」
「もしかして!!タラバガニですか!?」
俺が言いかけていると、もの凄い反応速度でカエデちゃんが食いついてきた。
:カエデちゃんの反応速くてワロタw
:カニ!?
:マジで!?
:いくらとカニって…、最高じゃん!
「タラバガニ…風味の、かまぼこだ。」
:ズコー _(┐「ε:)_
:かまぼこかい!!
:でも、最近はかまぼこでも美味しいらしいじゃん。
:カエデちゃんが凄く残念そうw
「も~!酷いですよ大和さん!」
「悪かったよ。タラバガニ風味でカニカマの中では高級だったから、自慢したくて…。でも、これで終わりじゃないぞ!」
『まだあるのね!早く見せて頂戴!』
:今度こそツナマヨ!
:来い!ツナマヨ!
:いや、梅干しがまだ出ていないじゃないか。
料理人ニキ:高菜も美味しいんだけどなあ…。
:ワクワク…!
「最後の具材、それは…。」
そう言いながら、俺はアイテムボックスから、あるものを取り出した。
―スッ
:そ、それは…!
:え…。
:具材というか、マヨネーズじゃねえか!
:マ、マヨネーズ!?
:上げて落とす…。フフ、俺達の扱いを分かってんじゃねえか…。
:↑いや、それで喜んでるのはお前みたいな変態だけだぞ。
:ツナマヨじゃ…、ない…。
:どこ…。ツナマヨはどこ…?
:マヨラーの俺氏、歓喜…!
:↑もう1人喜んでるヤツがいたか…。
『ま、マヨネーズ!?確かに美味しい事には間違いないけど、おにぎりの具材としては…。』
「まさか、大和さんがマヨラーだったとは…。」
「ふっふっふ。誰がマヨラーだって?まだ誰も、マヨネーズだけとは言ってないぜ!コイツと組み合わせるんだ!」
そう言って、マヨネーズと組み合わせるもう1つの具材を取り出した。
『金属の容器…かしら?』
「そ、それは…!」
:ツナ缶だ!
:てことは、マヨネーズと一緒に混ぜると…。
料理人ニキ:ツナマヨですね!
:ツナマヨだ~!
:うおおおおお!
:きたあああああ!
:ツナマヨは、ここに在った…のか…。
:ツナマヨ人気だなあ。
「は~、よかった…。大和さんにマヨネーズをそのまま食べさせられるのかと思いましたよ…。」
「ははは、流石にそんなことはしないから安心してくれ。」
『ツナマヨね!それなら安心だわ!』
「ルーシーも食べたことあるんだっけな。それじゃあ俺はツナマヨを作っておくから、2人は好きな具材を入れて握り始めてくれ!」
「分かりました!」
『分かったわ!それじゃあ、私はヤマトのおにぎりも作っておくわ!』
「分かった。頼んだぞ、ルーシー。」
カエデちゃんとルーシーがおにぎりを作り始めたのと同時に、俺はツナ缶とマヨネーズをボウルに入れて、かき混ぜ始めた。
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―にぎにぎ
―まぜまぜ
「いい感じですね、ルーシーちゃん!」
2つ目のおにぎりを作っているルーシーに向けて、カエデちゃんがエールを送っているようだ。
料理人ニキ:その調子です!ルーシーさん!
:なかなか綺麗な三角形になってるな。
:初めてにしては上手だな!
俺の方は、少し前にツナマヨを混ぜ終えていたが、せっかくルーシーが俺の分のおにぎりを作ってくれると言うので見守ることにした。
そのまましばらく待っていると…。
『ふ~。待たせたわね、ヤマト!これで完成よ!』
ルーシーはそう言って、完成したおにぎりを俺に差し出してきた。
「ありがとう、ルーシー!」
:完成だ~!
:パチパチパチ
:ルーシーちゃんが握ったおにぎり…。
:ゴクリ…。
:カニカマといくらの握りか。美味しそ~!
「それじゃ、これで3人分のおにぎりが完成したことですし、食べてみましょうか!」
『うん!それじゃあ、皆でいただきましょう!せーのっ!』
「「『いただきまーす!』」」
―モグモグ
「う~ん!鮭といくらの組み合わせが最高に美味しいです!」
『ヤ、ヤマトはどうかしら…。私の作ったおにぎりは美味しい?』
ルーシーは、少し気恥ずかしそうにしながら大和に味の感想を聞いた。
「うん、凄く美味しいぞ!味だけじゃなくて、この形も初めて作ったとは思えないほど、綺麗な三角形だな…。頑張ったな、ルーシー!」
『ふふ、どういたしまして!』
:なんか2人だけの空間みたいなのが出来上がってるw
:微笑ましいな。
:ずっとこの光景を見てたいわ~。
:心が安らぎますわ~。
:あ、カエデちゃんが隅の方で悲しそうにしてるw
:本当だ。
「ううう…。大和さんだけズルいですぅ。私もルーシーちゃんのおにぎりを…。それだけじゃなくて大和さんのおにぎりも食べたい…。」
カエデがそう言うと、たまたま聞こえていた大和とルーシーがカエデに近寄ってきた。
『ふふふ、カエデも私が作ったおにぎりを食べたいのね?』
「それじゃあ、今度は俺がルーシーに作ろうか!」
「あ、じゃあ私も大和さんにおにぎり作ります!だから、3人でおにぎり作り合いっこしませんか?」
『いいアイデアね、カエデ!それじゃあ、順番に作り合いましょう!』
「はい!!」
:良かったなカエデちゃん。
:凄い嬉しそうw
:そりゃあ、銀髪クール系美女ダークエルフと金髪ロリエルフの素手で作ったおにぎりを食べられるなんて、俺だったら嬉しくて泣いてしまうわ。
:確かに…、って言いそうになったけど、カエデちゃんの場合は2人の友情に触れて純粋に嬉しいんやろ。
:そうだそうだ!
:カエデちゃんは俺らとは違うぞ!
:カエデちゃんは純粋なんだ!
:そんな不純な動機でカエデちゃんは動かないんだ!
「は~、生きててよかった…。綺麗なエルフ2人の素手で作ったおにぎりが食べられるなんて、最高です…。」
:か、カエデちゃん…。
:めちゃくちゃ不純な動機やんけw
:ええ…。
:【悲報】カエデちゃん、不純度100%。
:いや、むしろ朗報じゃね?
:カエデちゃんも俺らと同じ側かw
たまたま配信にカエデの声が拾われてしまったが、大和とルーシーの耳には届いていなかったらしく、そのままおにぎりを作り始めていた。
「それじゃ、俺はおかかのおにぎりを作ろうかな~。」
『さっき食べて美味しかったから、私はカニと梅干を混ぜて…。(あら!この緑色の具材は何かしら!綺麗な色だから、ついでに入れちゃおっと!)』
ルーシーは、その緑色の具材がワサビだとは知らず、カエデのために作っているおにぎりに間違えて入れてしまったのであった。
「お、ルーシーは蟹が気に入ったんだな!今度地上に戻ったら本物を食べに行くか!本物はもっと美味しいぞ~。」
『え、本当!絶対行きたいわ!』
:エルフも蟹の美味しさが分かるんだな。
:俺もルーシーちゃんに蟹を食べさせてあげたい!
:ていうか、誰もツッコんでないけど、ルーシーちゃんおにぎりにワサビ入れてなかったか?
:え?ワサビなんて、大和ちゃんは用意してたっけ?
:う~ん…。具材紹介するときには、言ってなかった気がするが…。
:↑そういえば、いくらを取り出したときに隣に置いてあったような…。
:ルーシーちゃんに教えてあげた方が良いのでは…?
:でも、3人ともおにぎり作るのに夢中でコメント欄見てないっぽいぞ…。
:でも、このままルーシーちゃんが作ったら…。
:確か、順番的にカエデちゃんが食べることになるのか…。
:あっ。
:あっ。
:あっ。
その後、ルーシー特製のワサビ&梅干し&カニ入りおにぎりを食べたカエデは、涙目になりながらも、エルフの美女が作ってくれたおにぎりを食べることができた事に対する嬉しさから、最後まで食べきることに成功した。
その様子を見ていた視聴者達は、カエデちゃんの事を尊敬の眼差しで見守っていたらしい…。
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