第62話 【はいしん】 魔族/【適応】
申し訳ありませんが、第2回ダンジョン配信の56話~61話までの内容を少し変更しました。
・主人公たちがゲートを発見→下りの階段を発見
・勇者の肖像画にカタカナで文字が書かれている→カタカナで書かれているかも?
(※尚、この変更によるストーリーへの影響はありません。)
勇者の肖像画にカタカナらしき文字を発見した後、しばらくの間様々なコメントが送られてきた。
その中でも多かった意見としては、「勇者と日本に関係があるのではないか」といったものや、「転生者なのではないか」などといった声が多かった。
そんな感じで、しばらくの間は勇者に関する考察で持ちきりだったのだのだが、どれだけ考えても結局答えは出なかった。
考え始めるときりがないので簡単に食事をとってから階段を下り、次の階層でも視聴者さんに手伝ってもらいながらマッピングを行っていた。
『う~ん…。』
ルーシーは、勇者について考え込んでいるようだ。
絵を見てからずっとこんな調子だ。
『勇者様って、やっぱり日本と関係あるのかしら…。もしこれが本当ならすごい発見よね…。』
「ルーシー…。今は探索中なんだから、さっきの絵に関しては後で考えないか?」
『そ、そうね。でも、今まで不明だった勇者様のルーツに関する手がかりが日本にあるかもしれないって思うと、ウズウズしちゃって…。』
「確かに、勇者様の話を聞いていると日本人っぽさがありますよね?コメントで言われていた転生者説もあながち間違いじゃないかも…。」
「それもそうだが、勇者のルーツが不明ってどういう事なんだ?さっき勇者の出身地はルーシーの村と同じだって言ってたじゃないか?」
俺は階段を下る前の会話を思い出しながら、ルーシーに問いかけた。
『そうなのよ!一応、勇者様は私と同じ村の出身って自称していたらしいし、勇者様の石碑も建てられているの。でも、当時の村人たちは誰も勇者様のことを知らなかったっていう話が在って、学者達の間でも勇者様の出身地は別にあるんじゃないかって言われていたの!』
「なるほど…。正確な出身地は不明なのか…。そう言われると、確かに気になって来るな…。」
『でしょでしょ!』
:出身地不明か…。
:なら、ますます転生者説が強くなってくるな…。
:エルフに転生か…。
:どうやったら転生出来るん?めっちゃ羨ましいんだけど…。
:日本と関係があるとして、なぜダンジョン内に肖像画が飾られているんだろうか…。
:ってことは、ラノベ大好きな日本人が異世界にTSダークエルフ転生して、知識チートで無双してたかもしれないってこと!?
:↑なんでTS転生?
:いや、なんか知識チートしたがるやつって、男が多そうだなと思って…。
:たしかに。
:まだ転生者と決まったわけじゃないだろ…。
:いや、皆転生がどうのこうのって言ってるけど、この話って動画配信上の設定だろ?
「なんだか、コメント欄でも色々考えられていますね~。」
カエデちゃんは、俺のコメント欄を楽しそうに見ながら言った。
たしか、異世界転生系の漫画をルーシーに貸したのはカエデちゃんだったから、カエデちゃんもそういう話に興味があるんだろう。
「でも、コメント欄では転生者説が多いけど、今のところ肖像画に書かれていた文字も偶然カタカナっぽく見えただけって可能性もあるよな。発明に関しても、単に勇者様が文武両道の天才だったって可能性もある訳だし…。」
「え~。それだと面白くないじゃないですか~。もし本当に異世界転生が出来るならやってみたいと思いませんか!?チートスキルと現代知識で異世界無双…!大和さんもダンジョンに潜ってるくらいなんですから、私のファンタジーへの憧れにも共感してもらえると思うんですけど…。」
カエデちゃんは、熱の入った声色でそう言った。
「まあ、確かに俺もファンタジーへの興味は人一倍あるから、共感できるんだが…。でも、現代知識を活かすって言っても、かなりの知識が無いと実践するのは難しいだろうし、戦闘に関しては異世界に行ったとしても結局ダンジョンの中でしか活かせないような気がするんだが…。」
:たしかに。
:まあ、井戸とか作れって言われてもやり方分からないしな…。
:うん…。火薬の作り方とかも分かんねえわ。
:俺は異世界転生に備えて知識を蓄えてるけどな!
:↑でも、既に異世界では勇者が発明品で文明発展させてるみたいだから意味ないんじゃ…。
:それに、戦闘面に関しても、基本スキルの【適応】のせいで、スキル持った人間同士は戦えないもんな。
:↑そういえばそうだったな。
:そうか…。異世界行ってもダンジョンの中のモンスター相手にしか戦えないのか…。
:スキル持って無い者同士なら戦えるよ~。
:あれ?でも、異世界では魔王と人類が戦ってるんじゃなかったっけ?
:↑ルーシーちゃんが言ってたな。
:戦ってるってことは、魔王って言うのはモンスターってことじゃね?
:↑そう言う事になるな。
コメント欄を眺めていたルーシーは、視聴者の疑問に答えた。
『う~ん…。魔王はモンスターじゃなくて、魔族のはずよ。魔王の姿は勇者様と精霊女王様しか見たことないらしいんだけど、魔王軍の幹部が魔族だから、魔族を束ねる王自身も魔族だと言われているわ。』
:でた!魔族!
:異世界物の定番やね。
:どんな見た目何だろう…。
:魔族ってことは、サキュバスとかいるんかな。
:吸血鬼の始祖に転生してみたいわ…。
「そうなんですか。じゃあ、戦争しているという事は、スキルを持っていない人達同士で戦っているんですか?」
『いいえ…。魔族もスキルを使えるわよ。私たちの世界では、スキルを持った人類同士は地球と同じように戦えないし、スキルを持ってない人同士なら戦う事は出来るわ。でも、魔族だけは別よ…。奴らはスキルを持っていても人類に攻撃することが出来るし、その反対に私たちも魔族に対して攻撃することが出来るわ。』
:ええ、スキル持ち同士で戦ってるんか…。
:なんでスキル持ってるのに攻撃できるんだ?
:↑種族や人種が違うからとか…?
:いや、地球では人種が違ってもスキル持ち同士は攻撃できないし、アメリカの研究チームの発表によると、スキルを手に入れた動物にもこの法則は適用されるらしいぞ。
:動物にスキルゲットさせるってマジか…。
:まあ、基本スキルの【適応】を手に入れる条件はモンスターを1体倒すことだから、動物にスライムでも食べさせれば出来るんか…。
:せやな。
:でも、スキル持ってるやつが襲ってくるって考えたら怖いな…。
:物騒な世界だな…。
『たしかに私の世界と比べると、地球はとっても安全よね。一応まだ戦争も行われているみたいだけど、魔族がいないって聞いたときは凄く安心したわ…。それに、こっちにはエルフも居ないだなんて…。』
なかなかモンスターと遭遇しなかったので、しばらく話しながら階層内を探索していくと、前方に開けた空間が見え始めた。
まだ遠く離れているが、ダークエルフになってから視力が増した俺の目には、複数体の鎧の騎士が待ち構えているのが見えた。
「ルーシー、カエデちゃん。そろそろ戦闘に備えるぞ…。」
俺は広間の方を指さして、2人に伝えた。
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