第60話 【はいしん】階層を繋ぐゲートを探そう
「は~。なかなか新しい階層への入り口が見つかりませんね…。」
『ゲートはどこにあるのよ~!!あっ、出来ることなら階段の方が嬉しいわ!』
俺達3人は、城エリアの中で迷子になっていた。
「う~ん…。モンスターとの遭遇が少ないから何とかなっているが…。」
—ムシャムシャ
セーフエリアにも中々辿り着くことが出来ないので、歩きながらでも食べることが出来るサンドウィッチを口にしながら探索を続けていた。
:たしかに、他のエリアと比べるとモンスターとの遭遇率が低いかも…。
:その分、迷路的な要素が強いエリアなのかな?
:【地図】ニキは道分かる?
(地図ニキ):まだ階層全体のマッピングが済んでいないので分からないです…。
:そうか…。
:この階層意外と広いな~。
「いつもマッピングしてくださってありがとうございます。それにしても、確かにこのお城って広いですね…。」
「そうだな。かなり立派だから、相当地位の高い者の城なんだろう。だから侵入者対策として、こんな風に次の階層に進むのが難しい構造になってるんじゃないだろうか…。」
『侵入者対策…。それが本当なら、新しい階層に行くには時間がかかりそうね…。』
「そうですね。視聴者の方がマッピングしてくれてるので、正しい道が見つかるまでしらみつぶしに階層内を調べていくしかありませんね…。」
:時間はかかりそうだけどマッピングしてるなら、いつかは次の階層に進めるな!
:【地図】ニキ頼むで!
:カエデちゃん達の命運はお前に掛かってる!
(地図ニキ):命運がかかってるって緊張しますね…。頑張って次の階層に導きます!
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その後、鎧騎士と何度か遭遇したが、【地図】ニキにも指示を貰いながら、階層内をしらみつぶしに進んで行った。
(地図ニキ):次の所を左に曲がってください。
「ここを左か。」
—スタスタスタ
コメントの指示に従いながら、まだ通っていない場所を無くしていく作業を続けていく。
『なかなか新しい階層の入り口が見つからないわね…。それに、1つの階層がこんなに広く感じたのは初めてじゃないかしら…。』
「確かにすっごく広いですよね…。エリアによって広さに差があるんでしょうか…?」
カエデちゃんの疑問を聞いて、俺は自分の考えを伝える。
「う~ん。エリアによって差があるかは分からないけど、普段の攻略だと最短ルートを探して探索するだろ?でも、今回は階層内のほぼ全ての場所を歩いていくことになるから広く感じているだけじゃないか?」
「そうでしたね…。他のエリアは殆ど真っすぐ進んで行けば次の階層に進めるっていうところが多いですもんね…。」
『という事は、これが本当のダンジョンの広さってことなのかしら…。』
大和の話を聞いて、ルーシーとカエデはこのエリアから抜け出すためにはどれだけ時間がかかるのだろうかと考えてしまい、気を落としてしまった。
それでも、前に進まなければ目的地である63階層にたどり着くことは出来ないので、さらに歩き続けた。
しばらく歩き続けると、前方が行き止まりになっているのに気づいた。
「あ、行き止まりですね?」
:また行き止まりか…。
:なかなかゲート見つからないね…。
(地図ニキ):カエデさん。これでマッピングが完了しました。
:マッピング完了した!?
:え?まだゲート見つかってないけど…。
:誰かゲート見かけたか?
:見てない。
「え、本当ですか…?」
カエデはマッピングが完了したというコメントを見て、信じられないといったふうに聞き返した。
なぜなら、マッピングが完了したという事は、今まで通った場所のどこかに次の階層へとつながる入り口があったという事になるのではないかと考えたからだ。
しかし、どこかに繋がる入り口のような場所はまだ見かけていない。
(地図ニキ):は、はい…。一応これで全ての道が地図上では繋がってますので、完了したと思います…。
「という事は、出入り口を見落としてしまったという事か…。一度、来た道を引き返すか?」
『また戻らないといけないなんて…。』
と、3人で落ち込んでいると、視聴者の1人からあるコメントがやってきた。
:【地図】ニキさん。マッピングで出来た地図を見せてもらえませんか?
:地図を見せる?
:どうやって?
:そういえば、何か月か前からコメントに画像送れるようになってなかったっけ?
:あ、他の人が画像送ってるの見たことある!
:そうなんや。やり方知ってる人いてる?
:知ってるで。ほら、我が家のミーちゃん(可愛い猫の画像)
:わぁ、可愛い~。って、そうじゃなくて本当に画像送れるみたいだな。
『本当に可愛い写真ね~。』
「私、犬派なんですけど、確かに可愛いですね~。いつかペットを飼ってみたいと思ってたんですけど、探索者をやってるとなかなか難しくて…。」
「俺も犬派だが、話が脱線しているぞ。」
「あ、そうでした!地図の話ですよね?」
「ああ。視聴者の人が画像で地図を送れないかって言ってくれてるみたいだが…。」
:皆で地図を見たら何かヒントが得られるかもしれんな。
:たしかに!
:でも、ダンジョンの地図ってお金になるんだろ?
:ニキがお金の為に渋ったら…。
(地図ニキ):いえ。大和さんのファンなので、描き起こして画像で送ります!だから、コメント欄からの画像の送り方を教えてください!
:もちろん、画像の送り方は教えるで!
:【地図】ニキが良い奴で良かった…。
:サンキュー!【地図】ニキ!
「ありがとうございます!」
『ありがとう!【地図】持ちの人!…でも、大和のファンなんだって~。』
ルーシーが俺の方をニヤッとした表情で見ながら、そう言ってきた。
「俺のファンって、恥ずかしいな…。そんなことを言われるのは、初めて地上に帰還したとき以来だな。」(14話参照)
:大和ちゃんが恥ずかしがってるw
:いつものクールな感じとのギャップがええんですわ。
:レアな映像だなw
:切り抜きました!
:↑大和ちゃんのギャップにやられたのは分かったけど、地図を送ってもらおうぜ!
:そうやった。
その後、少ししてから【地図】ニキがコメント欄に地図の画像を送ってくれた。
(地図ニキ):画像の送り方を教えて頂いてありがとうございました。これがマッピングで作った地図です。(現在の階層の地図の画像)
:ありがとう【地図】ニキ!
:みんなで見てみようぜ!
:なにか分かればいいんだが…。
特殊スキル【地図】は、俺とルーシーの【はいしん】と同じように、空中にゲームの画面の様に地図を映し出すことが出来るらしく、それをそのまま撮った画像がコメントに流れてきた。
『すご~い!本当に地図を送ることが出来るのね!ありがとうございます!』
「スキルで作った地図ってこんなに精工なのか…。これなら何か糸口がつかめるかもしれないな。本当にありがとう。」
その後しばらくのあいだ、視聴者の皆と一緒に地図を眺めながら、次の階層に繋がるヒントを探っていると、1人の視聴者が声を上げた。
:あ!もしかして…。
:↑ん?どうしたんだ?
:あ、あの…。もしかしたら隠し部屋がここにあるかもしれないと思いまして…。
:隠し部屋?なんでそんなこと分かったんだ?
:ええっと、建築について学んでいるので、間取りとかよく見るんです。それで、この地図をよく見ると不自然な空間があることに気づきまして…。
:なるほど。ややこしいから建築ニキって呼んでいいか?
(建築ニキ):はい。大丈夫です。それで、画像の中の怪しいところ2つに丸を付けたんで見てほしいんですけど…。(画像)
:↑赤く丸で囲ったところか。
:たしかに、この2ヶ所だけ不自然に空間が出来てるような気がするな…。
:本当だ。
:こんなのよく見つけたな!
:2つあるって言う事は、どっちかが地上に繋がる通路に繋がってるってことか。
:もう1つの通路か階段は、ダンジョンの更に奥って言う事になるな…。
「確かに、この2ヶ所の空間なら1つくらい部屋がありそうだな…。だが、どちらに行くべきか…。」
そうやって考え込んでいると、ルーシーが地図中の片方の赤丸を指差しながら俺達に話しかけてきた。
『ねえねえ!こっちの方なら今いる場所から近いわよ!とりあえず行ってみましょうよ!』
「あ、本当ですね!ここが私たちのいる場所ですから、すぐにたどり着きますよ!」
「確かに近いな。とりあえず行ってみるか。」
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地図上で示されていた場所に辿り着き、しばらくの間、隠し部屋があると思われる場所の周辺を探っていると、ルーシーが何かを見つけたようだ。
『ねえ、みんな!この本が怪しいわ!…あっ!』
—ゴゴゴゴゴゴゴ
ルーシーの方を見ると、本棚から本を取り出そうとしていたのだが、俺達に声をかけながら本を取り出した瞬間に、本棚が横にスライドし始めた。
:おおおおおお
:動き出したぁぁぁぁ!
:本物の隠し扉って初めて見たw
:なんかワクワクしてくるな…。
:【地図】ニキのお陰や!
:建築ニキもな。
:2人ともよくやったで!
「す、すごい…。本当に隠し部屋があったなんて…。」
「これは俺達3人だけでは見つけられなかったかもしれないな…。」
俺とカエデちゃんが感心していると、ルーシーがとても驚いたような声を上げた。
『そうね…。あっ、やったわ!!部屋の奥の方に階段があるわよ!!ゲートじゃなくて、下りの階段よ!!』
そこにはルーシーの言う通り、確かに下りの階段が存在しており、その先に黒いモヤモヤで覆われたゲートがあった。
:遂に見つけた!
:しかも下りの階段!!
:うおおおおおおお!
:地上方向ってことでいいんだよな!?
:そう考えていいと思う。
:しかも、階段の先にゲートがあるから、只の飾りじゃなくて、ちゃんと階層を越えられるぞ!
:めちゃくちゃラッキーじゃね?
:視聴者が多いから、【はいしん】のお陰で運が良くなってたりして…。
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