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第59話 【はいしん】 鎧騎士の天敵


 鎧の騎士を倒してからドロップしたアイテムを確認すると、魔石とLv2キュアポーションを落としていた。


 キュアポーションは、今まで手に入れていたポーション(ヒールポーション)とは別物で、主に毒や麻痺などの状態異常を治してくれるものだ。


 このエリアでは、まだ状態異常攻撃をしてくるモンスターとは遭遇していないので、使う機会はあまりないだろう。


 だが、万が一に備えておく必要はあるので、アイテムボックスに収納してから再び探索を始めることにした。


-------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 —ガキィン!


 「大和さん!右の方は任せてください!」


 「分かった、頼んだぞ!ルーシーは…、」


 『土魔法で攻撃しつつ、2人が撃ち漏らした敵を攻撃していけばいいかしら?』


 「ああ、それで頼む!」


 現在俺たちは、3体の鎧騎士と戦闘を繰り広げていた。


 今回は最初に戦ったやつとは違い、ロングソードを持った個体と槍を持った個体、そして弓を持った個体の3種類と同時に遭遇した。


 俺はすぐさま敵に向かって走り出した。


 《ツボ可視化》


 —タッタッタッタッ


 :大和ちゃんが走り出した!

 :相手の方も3人パーティーか…。

 :いつも思うけど、めちゃくちゃ足が速いな。

 :パーティー内最速だからな!


 すると、相手の方も俺に気づき、最初に弓兵が遠距離から弓矢で攻撃してきた。


 —バチチチィィ


 :あれ、弓矢で攻撃してきたけど矢が変じゃね?

 :なんか電気が走ってるよな?

 :ダンジョンに詳しい人いてる?あの矢って何か分かる?

 :あれは矢に魔力を込めてるな…。

 :あれ?普通の物質に魔力通してもすぐに壊れるんじゃなかったっけ?

 :↑壊れるのは合ってるけど、数回の使用くらいなら耐えられるから矢に魔力を込める探索者は居る。

 :そうだな。でも、モンスターでそれやって来るのはあんまり知らないけど…。


 「速い…。だが、俺を狙ったのが間違いだったな!」


 《マッサージ・ハンド》


 魔力の腕を一本展開し、高速で飛んでくる矢を受け止めた。


 :そんなこと出来るんか!

 :ナイスキャッチ!

 :今回は出し惜しみなく最初から魔力の腕使ってるな。

 :あ、矢から魔力が消えた…。


 —シュ~


 俺の魔力と、相手の矢に込められた魔力が中和されるような現象が起こり、雷の魔力は俺に届くことなく消えてしまった。


 その際に、《マッサージ・ハンド》も一部溶けてしまったが、俺の魔力を使ってすぐに再生した。


 その間もルーシーの視点も同時に見ながら、俺は速度を緩めることなく相手に近づいていく。


 そろそろルーシーの魔法も完成しそうだ。


 「ルーシー!俺の真後ろから撃ってくれ!俺は避けられるから躊躇なく頼む!」


 『真後ろから?…そう言う事ね!』


 俺の意図に気づいてくれたみたいだ。


 相手側からルーシーが隠れる位置から走っていき、魔法が俺に当たる直前で避けて相手の回避行動の遅れを誘う作戦だ。


 また、カエデちゃんも左側から相手に向かって走っているので、そちらに魔法が飛んでいかないようにするという意図もある。


 『魔法を撃つわよ!!』


 《アース・キャノン》!


 巨大な土の塊が、高速で5発撃ち出された。


 :で、でけぇ。

 :バレットでも凄いと思ってたのに、それを複数…。

 :こんなの当たったら車でも吹っ飛んでしまいそう…。

 :このままだと大和ちゃんに当たるんじゃ…。

 :でも、避けるって言ってたから大丈夫なんじゃね?

 :そういえば、ルーシーちゃんの視点も見えてるから後ろから自分に向かってくる魔法も見えるんじゃね?

 :そうだった!指示の最適化以外にも使い道があるんだな!

 :いけー!ゲームで鍛えた俯瞰視点を見せつけてやれ!


 俺に向かって《アース・キャノン》が後ろから飛んできているのが、ルーシーの視点から見えている。


 俺に魔法が当たる直前までそのまま鎧騎士達に向かっていき…、


 —グググググ…


 弓兵が第2射を放とうとして、矢を力いっぱい引いている間に俺は上に跳び上がりルーシーの魔法を避けた。


 —シュッ


 :上に跳んだぁぁぁ!

 :おお、魔法が当たる直前に避けた!

 :後ろが見えてるみたいだな…。

 :↑見えてるんだって!

 :凄いジャンプ力。

 :それだけじゃない。鎧騎士は直前まで魔法が飛んできてるのが見えてなかったから…。


 —バンバンバンバン


 鎧騎士達は、防御や回避行動が遅れてしまい、《アース・キャノン》を被弾してしまった。


 『やったわ!』


 大和の視点からも自身の魔法の影響を確認したルーシーは、鎧騎士達に有効なダメージを与えることが出来たことに喜んでいた。


 :おお、かなりヒットしたんじゃないか!

 :左の奴なんか足がボコボコに凹んでしまって動けやんみたいや!

 :弓兵も弓矢が折れてしまってる!

 :でも、左のやつ以外はまだ動けるみたいやぞ…。


 ルーシーの魔法がヒットしたが、2体はまだかろうじて動くことが出来るようだ。


 だが、


 「カエデちゃん!左と真ん中のやつを頼んだぞ!」


 もともとカエデちゃんに頼もうとしていた左の鎧騎士が立ち上がれない状態だったので、真ん中の個体も任せようと思う。


 「了解です!動けないなら、こっちのもんですよ!」




------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 



 3体の鎧騎士との戦いは、勝利を収めることが出来た。


 カエデちゃんは鎧騎士に対して相性がいいらしく、いつものように剣を巨大化させて2体とも1撃で倒すことに成功していた。


 やはり、鎧を巨大化した剣で力いっぱい叩き潰せば、鎧が凹んで動けなくなるだけでなく、そのまま胸にある弱点部分まで潰してしまう事も可能だった。


 俺ももちろん余裕を持って倒すことが出来たが、何度か切りあってから相手の胸の部分を無防備にするという手順を踏む為に少し時間がかかってしまった。


 ルーシーに関しても、土属性魔法という鎧騎士に対して有効な攻撃方法を有しているが、土属性魔法は相手に向かって誘導することが出来ず命中精度が低いので複数発撃たねばならず、無駄に魔力を消費してしまう。


 それらの点から、3人の中ではカエデちゃんが最も鎧騎士に対して優位であると考えていいだろう。


 つまり、カエデちゃんは鎧騎士たちにとっての天敵だ。




 「って、今はそんなことを考えてる場合じゃなかった!!!」


 —ビクッ


 『ど、どうしたの!?突然声を出して…。』


 「びっくりしました~。もしかして道が分かったんですか!?」


 突然大声を出して2人と視聴者を驚かせてしまったようだ…。



 そして、カエデちゃんの言葉から分かるように、現在俺達は城の中で迷子になっていた…。


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