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第58話 【はいしん】鎧の騎士


 俺はルーシーの魔法によって発生した土埃の中に飛び込んでいき、鎧の騎士に接近戦を仕掛けようと考えていた。


 —ボフッ


 :えっ、土煙の中に突っ込んだ!?

 :前が全然見えないけど大丈夫なのか!?

 :なんで突っ込んでいったのおぉぉぉ!?


 通常なら、この土煙の中ではお互いに相手の位置が把握できないだろう。


 しかし、俺の特殊スキルの【マッサージ】の能力の1つである《ツボ可視化》は、1度見た相手のツボを一定期間見続けることが出来るのだ。


 その効果は暗闇の中や土煙の中であろうとも有効であり、今の俺は鎧騎士のツボを見ることが出来ているので一方的に相手の位置を把握することが出来ている状態なのだ。


 ツボの動きを見ると、好都合なことに相手は俺の位置を把握できていないようだ。


 —タッタッタッ


 相手の後ろ側をとるために、出来るだけ足音を立てずに回り込んでいき、刀を構え、


 —スッ


 《ツボ可視化》で一番大きく見えている相手の胸の裏にある弱点のツボを狙って、背中側から突きを放った。


  —ガキィィン


 「なにっ!?」


 だが、鎧の背中部分を貫いた瞬間に、鎧の騎士はとてつもない反応速度で体を横に回転させ、胸にある急所への攻撃を逸らしたのだ。


 さらに、その際に鎧に突き刺さった俺の刀が、回転によって折られてしまった。


 —ブンッ


 鎧の騎士はそのまま回転を利用し、俺目掛けてロングソードを横なぎに振りぬいてきた。


 —スタッ


 だが、ロングソードでの攻撃自体は今の俺にとってはそこまで速くなく、後ろに跳ぶことで回避することが出来た。


 :あ、煙が晴れた!

 :やっと画面が見えるようになったな!

 :あれ、大和ちゃんの刀折れてないか?

 :え!?


 『刀が折られたようね。よく見ると、刀の切っ先が鎧に突き刺さったままだわ…。』


 「だ、大丈夫ですか!?大和さん!?」


 「大丈夫だ!刀が一本折られただけで、まだ予備はある!」


 大和が普段使用しているのは、実力がまだ無くダンジョンと地上を往来していた頃に買い溜めしておいた普通の刀だ。


 ダンジョンに潜り始めた当初は、モンスターとの戦闘で刀が折られてしまう事は何度かあったので、【アイテムボックス】に予備は用意している。


 しかし、《ツボ可視化》を習得してからは、主にモンスターの弱点を狙っており、基本的にはモンスターの弱点となる部位は他に比べて柔らかかったり切りやすいことが多かったので、ここ最近は刀を折られてしまう事は殆どなかったのである。


 「久し振りに折ってしまったな…。でも、弱点部位以外でも貫くことは出来ている

…。」


 つまり、俺の攻撃力自体は問題ない訳だ…。


 『ヤマト!援護するわ!』


 「私も加勢します!」


 「ありがとうルーシー!今度は出来るだけ小さい魔法で、数をたくさん撃ってくれ!それと、カエデちゃんはルーシーの傍にいてくれ!今回は俺が戦ってみたい!」


 恐らくカエデちゃんは、鎧の騎士と相性がいいだろう。


 俺の様に刀で切るよりも、カエデちゃんの様に重たいもので叩き潰す方が簡単に倒すことが出来るのではないかと思う。


 しかし、俺も鎧騎士の倒し方を楽に倒す方法を模索しておきたいので、カエデちゃんは今回は戦闘をお預けだ…。


 『了解!』「了解です!」


 《アース・バレット》!


 —ズドドドドドドン


 野球の球ほどの大きさの土塊が、30発ほど同時に撃ちだされた。


 :凄い数だな…。

 :確かにさっきのボーリングの球くらいの大きさと比べると小さいけど…。

 :これでも普通の《アース・バレット》と同じ大きさだからな!数が多すぎるけど…。

 :すげ~。ゲームと違って本物の戦闘って見ごたえあるな…。


 —ガンガンガンガン


 鎧の騎士は《アース・バレット》のあまりの数の多さに避けきることは出来ないと考えたのか、その場に留まりロングソードでガードした。


 だが、すべてをガードすることは出来ず、ガードしていた体の中心部以外は何発か被弾し、鎧が少し凹んでしまっていた。


 :ガードされてしまった…。

 :あんなに威力があったのに…。

 :でも、被弾した箇所はちょっと凹んでるぞ!

 :ほんまや!

 :効いてるじゃないか!

 :体の中心をガードしてたみたいだな…。


 「やっぱり胸の部分だけは守りたいようだな!正面から行かせてもらうぞ!」


 —スタッ


 大和は鎧の騎士に向かって、真正面から走り出した。


 それに応えるように、鎧の騎士はロングソードを両手に握りながら右上に構えた。


 :え、真正面から?

 :ガッツリ剣を構えられてるけど…。

 :もうすぐ激突するぞ!


 鎧の騎士がロングソードの攻撃範囲内に入った俺に対し、右上から斜めに切り伏せようとした。


 その瞬間、


 《マッサージ・ハンド》!


 【マッサージ】のもう1つの能力である魔力の腕を具現化し、相手の剣の軌道を逸らした。


 —スカッ


 俺は走ってきた勢いのまま鎧騎士の懐に入り込み、《ツボ可視化》で相手の重心を利用しながら背負い投げした。


 —ガシャンガシャン


 :え、大和ちゃんの背中から腕が生えた…。

 :ロングソードの軌道をずらしたんか!

 :背負い投げ!?

 :大和ちゃん柔道もイケるんか…。


 鎧の騎士は、背中から地面に投げ飛ばされてしまい、その衝撃でロングソードを手放してしまった。


 すぐさまロングソードに手を伸ばそうとするが、俺は《マッサージ・ハンド》を4本使い、鎧の騎士の動きを抑え込んだ。


 この状態なら、真正面から胸を貫くことが出来る。


 —カチャ


 俺は鎧の騎士に近寄り、落ちていたロングソードを手に持った。


 「ルーシーの魔法を防ぐとは、なかなかいい剣じゃないか。これは俺が貰っていくぞ。」


 そして、胸の部分にある弱点が無防備になった鎧の騎士目掛けて、ロングソードを構える。


 —グググググ…


 鎧の騎士は《マッサージ・ハンド》による拘束から逃れようとするが、四肢を押さえつけられているため、それは叶わなかった。


 —グサッ


 俺が胸にある弱点部分を貫くと、鎧の騎士は活動を停止し、アイテムをドロップした。


 こうして、謎の階層での初戦闘を無事に終えることが出来た。



 「やりましたね大和さん!背負い投げも出来るなんて、柔道でも習ってたんですか?」


 「いや、スキルのお陰で自然と出来るようになったんだよ。人型のモンスターと戦う時に、肩慣らしに使っていた技なんだよ。」


 『やったじゃない!投げ技もカッコよかったわよ!』



 :おお、これって倒したってことでいいんだよな!

 :そうやで。アイテムドロップしてるやろ。

 :おおおお!

 :確かに大和ちゃんカッコよかったわ!

 :ルーシーちゃんも惚れてしまったんじゃないw

 :大和ちゃんの刀が折られた時はヒヤヒヤしたけど、魔力の腕も出せるんやったな!

 :あんまり使わないから忘れてたわwでも、本当に何のスキルなんだろうな。

 :ボスではないけど、この未知のエリアのモンスターを倒せたってことは、大和ちゃん達の実力で進んで行けそうだな。

 :なるほど、地上に戻って来れる可能性が見えてきたってことか!

 :よっしゃ!

 :希望が見えてきたで!

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