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第50話 【はいしん】操作方法/死闘


 キャラデザには少し苦戦した。


 カエデちゃんは早々に自分に似たキャラクターを作り上げていたが、俺とルーシーにとっては初めての経験だ。


 という事で、途中からはカエデちゃんに手伝ってもらいながら、俺とルーシーの2人分を1時間ほどかけて完成させることが出来た。


 「やっと完成しました!」


 「俺の知ってるゲームと違って凄くリアルだな!カエデちゃんありがとう!」


 『これが私ね!元の姿に身長が近いわね!ありがとうカエデ!』


 :お、いい感じじゃん!

 :でも、ルーシーちゃんの身長が高すぎてワロタ。

 :ゲームの設定上、ルーシーちゃんと同じ身長には出来ないからな…。

 :元の姿って?

 :↑そう言う設定らしい。

 :全体的にガタイが良すぎる気がするけど…。

 :まあ、プレイ中は後ろ姿しか身やんから、そんなにデザインに拘らなくてもいいんじゃない?


 「それじゃ、早速始めましょう!」


 —ポチッ


 カエデちゃんがスタートボタンを押すと、ストーリー動画が流れ始めた。


 「すごくリアルだな。」


 『ほんとね~。これが実物じゃなくて作った映像だなんて、いったいどうやってるのかしら…。』


 :前作から2年経ってるから、映像の進化もすごいな。

 :めっちゃ綺麗な映像やな。

 :今回は、どんな感じのストーリーなんやろ。


 「モンスター狩人3rdZ」のストーリーを要約すると、こうだ。


------------------------------------------------------------------------------------------------


 前作に引き続き、狩人として生計を立てていた主人公。

 

 ある日、狩人ギルドの酒場内で、とある国で未知の新大陸が発見されたと言う噂を聞く。


 そして、なんとその大陸の地中には、とても貴重な鉱石や古代人の遺産が眠っていることが発覚したのだが、凶暴なモンスターが邪魔で易々と金目の物を手に入れられない状況らしい。


 また、モンスターも他の地域では確認されていない種類ばかりで、その素材だけでも換金すれば大金になるらしい。


 そして、最近新大陸に設立されたギルドの出張所が新しい狩人の募集をかけ始めたのだという話だ。


 そこで、まだ狩人の人数が少ないうちに大金を稼いでやろうと考えた主人公が、新大陸に調査団の一員として立候補し、一攫千金とまだ見ぬ冒険を求めて冒険するという内容だ。


------------------------------------------------------------------------------------------------



 ちなみに、新大陸に船で向かうのだが、到着した翌朝にギルドの隣にある宿で目覚めるところからスタートするらしい。


 :新大陸!貴重な鉱石!古代人の遺産!

 :男のロマンやね。

 :前作と同じ主人公か。

 :受付嬢さんも前作と同じかな。

 :受付嬢さんと言えば、モデルになってる人がいるんだっけ。

 :そんな危ない大陸にギルドの出張所作ったんか…。

 

 「それじゃ、まずは何所に行きましょうか…。」


 :とりあえず隣にあるギルドに行けばいいんじゃない?

 :うん。それで大丈夫。

 :ギルドカードの更新が必要だったはず。

 :更新したら、チュートリアルに入って、武器の使い方教えてくれるはず。


 「分かりました!それじゃ、大和さんとルーシーちゃんは左スティックを操作して、ついて来てください!」


 「わかった。こうだな。」


 大和は、事前にカエデから教えてもらったのを思い出し、カエデについていく。


 『え、どうするんだっけ?教えてよヤマト。』


 「ほら、さっきカエデちゃんが言ってただろ?このスティックを前に倒せばキャラクターも前に進んでいくんだ。」


 『どれどれ~。あ、本当だ!という事はこれを左に倒せば…。』


 「そうだ。左に動いてくれる。」


 :2人とも完全に初心者やな。

 :なんか微笑ましいなw

 :でも、この感じでモンスターなんて倒せるんだろうか?

 :大丈夫!このゲームは初心者でも楽しめるようなストーリーになってるだけじゃなくて、頼もしい教官が操作方法をバッチリ教えてくれるから!

 :そうなんだ!1と2やってなかったら楽しめないのかと思ってたけど、あとで買ってみようかな!


 俺たちがいた宿泊施設の隣には、小さいながらもしっかりとした佇まいのギルドが建っていた。


 「それじゃ、中に入りましょうか!」


 —バタン

 

 中に入ると、待合のテーブルが少ないながらも設置されていて、奥の方に受付嬢さんが1人立っているようだ。




 「あれ?この受付嬢さんって、最近どこかで見たような…。」


 『ピンク色の髪に、ツインテール…。確かに見覚えがあるわね…。』


 :たしか、ダンジョンギルドの受付嬢さんがモデルになってるんでしょ?

 :確かクルミちゃんだっけ?

 :そうそう!

 :1作目から登場してるよ!

 :へ~。知らんかったわ。


 「本当に似ているな。最近のゲームは凄いんだな。」


 『ほんとね。そういえば、カエデはクルミさんのことは知ってたの?』


 「もちろん知ってましたよ!ギルドが宣伝のためにコラボをしたらしいですね。ちなみにギルマスもモデルになってたハズです!」


 :知ってたんだ!

 :ギルマスまでモデルになってんのか!

 :宣伝ってどういうこと?

 :探索者になってくれる人を求めての宣伝かな。

 :ほら、探索者が増えて素材を換金してくれれば手数料を取れるじゃん。

 :え、あれって手数料取られてんのか!?

 :当たり前だろ…。領収書にも書いてあるじゃんか。

 :まあ、ダンジョンが出来た最初のころは探索者もいっぱいいたけど、最近は下火になってるからな。

 :最初のころは、魔石が次世代のエネルギーになるんじゃないかって騒がれてたんだっけ?

 :そんなこともあったな。

 :未だに代替エネルギーとしては使えてないし、魔道具もダンジョン産しか出回ってないんだよなぁ。


 「それじゃあ、受付でギルドカードの更新が完了したので、ここからチュートリアルで武器の使い方を教えてもらいましょう!」


 「よし!やっと武器を使えるんだな!」


 『どんな武器があるのかしら?』


 :え~っと、片手剣、双剣、太刀に大剣…。あと他に何があったっけ?

 :ランス、弓、ボウガンで全部だったかな。

 :そうそう!そんな感じ!


 「そんなにあるのか!それじゃあ俺は…、太刀を使ってみようかな。」


 「確かに、太刀は大和さんに似合ってると思います!ちなみに私は大剣で!」


 『私は、武器は使わないから迷うわね…。』


 :弓とボウガンは遠距離攻撃だし、属性を変えられるから普段のルーシーちゃんの戦闘スタイルに似てるんじゃないかな?

 :確かに。

 :エルフなら弓使いそうだけどな。

 :たしかに相性よさそう。


 『あ、確かに昔は弓の練習もしたわ!それじゃあ、弓に決定よ!』


 「よし!それじゃあ、みんなの武器が決まったという事で、早速訓練に入ろう!」


 「はい!」


 『すぐに使いこなしてみせるわ!』



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 現在俺たちは、ギルドの裏手にある広場にいた。


 ここは、訓練場として使われており、俺とルーシーは、教官とカエデちゃんから操作方法を教えてもらった。


 そして、1時間ほどかけて、遂にある程度武器の操作に慣れることが出来た。


 俺が使う太刀は、このゲームの中でも人気の高い武器らしく、高い攻撃性能とカウンター攻撃が特徴とのことだ。


 また、ルーシーの使う弓は、矢に属性を付与する小瓶を使用することでモンスターの弱点に合わせて属性を選択できるという点が特徴の武器だとコメントで教わった。


 そして、カエデちゃんが使う大剣は、攻撃モーションは遅いが高い攻撃力を誇り、剣の腹でモンスターの攻撃をガードすることもできるらしい。


 ちなみに、俺とルーシーは1時間かけて武器の使い方を覚えたのに、カエデちゃんだけは開始15分ほどで武器の扱いをマスターしてしまった。


 なぜそんなに早く覚えられたのかを聞くと、お気に入りのDチューバーのゲーム配信で前作のプレイ動画を見たことがあったと言っていた。


 「お疲れ様です!これで大体の操作方法が分かったと思うので、そろそろモンスターと戦ってみますか!」


 :お疲れ~。

 :思ったより時間かかったなw

 :2人とも初心者だって言ってたし、ルーシーちゃんに至ってはゲーム自体今までやったことないってことだから仕方ないと思う。

 :遂に戦闘か!

 :ここからが面白いところやで!

 :初々しい感じが良いですね。初見ですが、チャンネル登録しました!

 :なんかダンジョン配信より新規勢が増えてる気がするんだがw

 :まあ、ゲーム配信は既にファンが多いからな。

 :それな。でも、ゲーム配信好きな人はダンジョンの配信も気に入るはずだから、チャンスかもな。

 :ダンジョン配信の方が迫力があるから、1度でも見てくれれば視聴者増えるんじゃね!


 「そうだな。そろそろモンスターと戦ってみたいが、どの依頼から受けるべきか…。」


 「これなんかどうですか?ワンクックっていう鳥型のモンスターの討伐依頼ですね。難易度が低いみたいなので、ちょうどいいかもしれません。」


 『でも、鳥って空を飛ぶから戦いにくいんじゃないかしら?それに、遠距離攻撃を出来るのは私の弓だけよ?』


 「そうでしたね!それじゃあ、他の依頼にしますか…。」


 :あ、その依頼受けた方がいいよ!

 :あんまり空飛ばないから、近接武器でも戦えるし。

 :そのモンスターって、基本的な攻撃方法をしてくるから初心者におススメやで!

 :そいつと何度も戦って、狩人の基本を押さえるのがいいと思う。

 :このゲームに詳しい人多くなってきたな。

 :人気タイトルだからな。


 「あ、大和さんコメントを見てください!このモンスターの依頼、受けた方が良いみたいですよ!」


 「なになに…?なるほど、このモンスターと何度も戦う事で基礎を学べるのか!」


 『それなら、ワンクックを狩って狩りまくりましょう!』


 「分かりました!それじゃあ行きますよ!」



----------------------------------------------------------------------------------------------------------




 初めて見る鳥型のモンスターは、パッケージに描かれていたカッコいいモンスターとは違い、とてもマヌケな見た目をしていた。


 最終的には余裕を持って討伐できるようになるのだが、最初の方はかなり苦戦した。


 (初戦)


 「大和さん!そっちに行きましたよ!」


 「よし、俺が切り伏せ…、あああああああ!!!!」


 『ヤマトが吹き飛ばされて消えちゃったわ!!』


 —クエスト失敗—


 「また戦闘不能になっちゃったみたいですね…。」


 :これで3回目の敗北だから、依頼失敗やね。

 :普段の大和ちゃんからは考えられないような声が出てて草

 :迫真の叫び声でワロタw

 :ダンジョンでピンチになったときの叫び声やで。

 :ドンマイドンマイ!

 :まだ初戦だから!


 (2戦目)


 「今度は、ちゃんと間合いを取ろう…。」


 「あ、また大和さんの方に行きましたよ!」


 「ふ、同じてつは踏まない!!」


 大和がモンスターの攻撃を何とか避けることに成功するが…。


 『あああああ!!!私を狙ってきた~!!!』


 「あ、しまった!!後ろにルーシーが居たんだった!」


 —クエスト失敗—


 :草

 :ルーシーちゃんが吹っ飛ばされてったぞ。

 :ダンジョンの中と違って連携取れてなくて草。

 :2人とも、ゲームの世界にのめりこんでしまうタイプなんかなw

 :本当にモンスターに襲われてるのかと勘違いするレベルw


 (3戦目)


 「ルーシーが後ろにいないことを確認して…。これで大丈夫だ。いつでもかかってこい!!」


 「あ、今度はルーシーちゃんの方に!!」


 『え、避けきれないわ!!』


 「ルーシーィィィィ!!!」


 『きゃああああ!!!』


 —クエスト失敗—


 :この2人ずっと叫んでて草。

 :撮れ高多すぎ!!

 :このモンスター、ワザと撮れ高狙ってんのか?w

 :まるで意思があるかのように、的確に弱い2人を狙ってるのがまたオモロい。


 「次こそは勝ってやるぞ!!」


 『このまま負けていられないわ!!』


 「このままだと何回戦わないといけないんでしょうか…。まあ、撮れ高があるなら大丈夫なんですけど…。」



----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 (54回目)


 「はあっ!!」


 —ズバッ


 俺が太刀による攻撃でモンスターの尻尾に一撃を与える。


 『いいわよヤマト!おりゃああ!!』


 —グサッ


 ルーシーが全力で敵の攻撃を避け、敵の側面から弓矢での溜め攻撃に成功した。


 「いまだ!溜め攻撃だ!カエデちゃん!」


 「分かってます…よ!」


 —ドシン


 カエデちゃんの大剣による強力な溜め攻撃が決まると、モンスターは横に倒れ始めた。


 —クエストクリアー


 「やったぞ!!ルーシー!!」


 『やったああああ!』


 ルーシーは、嬉しさのあまり大和の胸に飛び込んだ。


 初めてのゲームということで、気持ちのこもり方が以上に強くなってしまった大和とルーシーは、お互いに抱きかかえるようにして喜びを分かち合った。


 「それじゃあ、私も!!」


 カエデは2人ほど喜ぶ気持ちは強くなかったが、2人に抱き着くことが出来るなら…と、打算的に2人の元に走り寄った。


 『カエデも私たちと同じ気持ちなのね!!』


 「はい!!」


 :通算54回目にして遂に…。

 :ワンクックとこんなに戦う事になるとは思わんかった…。

 :カエデちゃんの顔に大和ちゃんの胸がw

 :カエデちゃん嬉しそう。

 :抱き合ってるの見ると、3人とも相当嬉しかったんやろな…。

 :いい匂いしそう。

 :俺もこの輪の中に入りたい…。

 :てえてえわ。

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