第5話 世界初のダンジョン配信者誕生!?(本人は知らない模様)
一晩休息をとった大和は、新しい体の動きを確かめていた。
(まだ慣れていないから、思い通りには動かないが、この体かなりポテンシャルを感じる。慣らしていけば、男のころよりも強くなれそうだ!)
大和は、刀の素振りをしながら、自分の可能性にワクワクしていた。
(魔法も少し扱いやすくなっている気がするから、スキルの練度を上げていけば、いろいろな敵に対処しやすくなりそうだ。)
大和は、飲み水のためによく使う水魔法で水球を出しながら、つぶやいていた。
以前より少ない魔力で、水魔法を扱えていることに喜んでいた。
「そういえば、新しい特殊スキルって、どんな効果があるんだ?」
そう言って、試しに【はいしん】を使ってみた。
—【はいしん】!
スキルを使う際は、特に叫ぶ必要はないが、おそらく世界初の特殊スキル2個持ちになったことで、気分が高揚していたのだ。
「「・・・・・・・・・」」
しかし、特に何も起こらず、気まずい空気が流れた。
「とりあえず、効果が分かるまで使い続けて練度を上げていこう。」
そう言って立ち上がり。
「ルーシー! そろそろ行こう!」
「―――――――――――! ヤマト!」
休息をとっている間に、言葉が分からないながらも、俺の名前を憶えてもらうことが出来た。
そして、ルーシーを呼んで、共に歩きはじめることにした。
そういえば、休憩中に新しい体について、いろいろ考えたのだが、ルーシーの体が小さくなっていることと、俺の体がエルフになっていること。
そして、新しく手に入れた【魔力操作】と【はいしん】をルーシーも所持していることから、恐らくルーシーと俺の肉体が、あの天秤のようなアイテムのせいで融合してしまったのではないかと考えている。
2つのスキルは、ルーシーがもともと持っていたものなのだろう。
しかし、俺の要素はルーシーには取り込まれず、ルーシーは身長が低くなり新しいスキルを手に入れるということは無かったのだと考えている。
ちなみに、休憩中に天秤を探してみたが、見つかることは無かったので、念のためルーシーが閉じ込められていた水晶はアイテムボックスにしまっておいた。
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しばらく歩いていると、新しいエリアにたどり着いた。
「あっ、建物が見えてきたな。」
そこには、異国風の家がぽつぽつと建っている、閑散とした村のような場所だった。
モンスターの気配がしたのでルーシーを後ろに庇いながら、臨戦態勢にはいった。
カサカサカサッ————
(エリアボスだろうな・・・。)
静かにこちらを伺うモンスターの見た目は、とても大きく厚みのあるハサミを持った、大型の赤いサソリに似たモンスターだった。
「レッドスコーピオンだな。こいつなら戦ったことがあるから、肩慣らしにちょうどいい。」
そう言って、周りに他のモンスターが居ないことを確認し、レッドスコーピオンに向かって走り出した。
「ルーシー! そこで隠れているんだぞ!」
そう言って、刀を手に走り出した。
—《ツボ可視化》
【マッサージ】の能力を発動すると、ダークエルフになってからは金色になっていた瞳が紅く光りだした。
(こいつは、ハサミを盾にして尻尾で攻撃してくることが多いモンスターだったな。まずは、尻尾攻撃を避けて、尻尾を切り飛ばそう。)
「ファイヤーボール」
作戦を考えながら、レッドスコーピオンに近づき、尻尾の射程範囲に入った瞬間に、【魔法】で手のひらより少し大きい火球を飛ばす。
予想通り、レッドスコーピオンが火球をハサミでガードし、尻尾で攻撃を繰り出してきた。
「もらった!」
大和は、尻尾での攻撃を避けて横からレッドスコーピオンの尻尾を切り飛ばした。
(あとは、あの大きいハサミでの攻撃だが、重くてガードに特化している分、スピードが遅い。)
「次はハサミだ!」
レッドスコーピオンのハサミ攻撃を簡単に避けて、懐に入り込み、ハサミの付け根を切り飛ばした。
そうして、攻撃とガードを失ったレッドスコーピオンに何度も攻撃を加え、倒すことに成功した。
「よし、ドロップアイテムは何かな?」
鑑定眼鏡を取り出しドロップ品を確認すると、等級の高いヒールポーションだった。
「よかった。これでポーションは2人分は確保できたな。」
そう呟きながら、アイテムボックスに収納した。
「おーい、ルーシー! もうこっちに来てもいいぞー!」
そう、ジェスチャーも交えて伝えると、こちらに走って抱き着いてきた。
「おー、怖かったのか? 俺は結構強いから、心配しなくても大丈夫だよ。」
そう言いながら、頭をなでてやると安心した様子だった。
しばらくしてから、レッドスコーピオンを解体し、食用にアイテムボックスに保管しておいた。
しかし、小腹が空いたので、レッドスコーピオンの脚を丸焼きにして、ルーシーと一緒に間食をとることにした。
「カニみたいな味でうまい! ほら、美味しいだろ。ルーシー。」
「――――――――――――――――!」
隣では、エルフの少女が美味しそうにレッドスコーピオンの脚にかぶりついていた。
そうして、しばらく穏やかな時間を過ごす大和とルーシーであった。
この時、大和とルーシーは気づいていなかったが、スキル【はいしん】の効果で、少しづつ地上の人々に影響を与え始めているのだった。
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