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第42話 【はいしん】辛口カレー/ミノタウロス


 グリフォンを倒した俺たちは、そのまま40層のエリアボスであるドライアドを討伐し、41層にあるセーフエリアにたどり着いていた。


 『エリアボスのドライアドより、中層ボスのグリフォンの方が手ごわかったわね。』


 「ドライアドは、ルーシーちゃんと相性が良すぎますから…。」


 :グリフォンは空飛ぶから魔法当てにくいけど、ドライアドは動けないもんな…。

 :ドライアドは物理防御力は高いから、剣士は苦戦するんよ。

 :いや、ふつうは魔法使っても苦労するんやけど、ルーシーちゃんは威力高すぎる。

 :本当にうちのパーティーにルーシーちゃん欲しいわ。

 :それに、またポーションドロップしてたしかなり稼げそうだな。


 『それじゃ、そろそろご飯にしましょ!マンドレイクが食べたくてずっと、そのことばっかり考えてたの!』


 「そうだな。それじゃあ、マンドレイクはカレーに入れよう!」


 『やったー!それじゃあ、火は任せて頂戴!』


 そういって、ルーシーは先ほど討伐したドライアドの魔石を魔動コンロにセットした。


 —ボワッ


 「それじゃあ、俺は肉をキルから、カエデちゃんは野菜とマンドレイクを切ってくれ!」


 「了解です!」


 —トントントントン!


 「肉が切り終わったら、先に鍋にいれて焼き目をつけるように焼いていって…。」


 :またカレー?

 :ダンジョンといえば、カレーだろ!

 :カレーは何回食べても飽きないからな。

 :そういえば、今日は料理人ニキは居ないみたいだな。


 「大和さ~ん!野菜とマンドレイクのカット終わりました!」


 「ありがとうカエデちゃん!それじゃあ今日のカレーのルーは、これにしたいと思うんだが!」


 大和がアイテムボックスから取り出したのは、前回食べた中辛のルーとは別の箱だった。


 「辛口ですか!私も好きですね!」


 『辛口?前回よりももっと辛いの?』


 「そうだな。そういえば、ルーシーは辛いのは大丈夫そうか?」


 『ええ、大丈夫よ!どんな味か気になるわ!』


 「それじゃあ、今日は辛口カレーに決まりだな!」



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 —ぐつぐつぐつぐつ


 具材を煮込むこと30分。


 ついにマンドレイクカレーが完成した。


 『いい匂いね~。』


 「本当ですね!」


 「それじゃあ、いただくとするか!」


 『そうね!いっただきまーす!』


 「いただきます!」


 —もぐもぐもぐ


 「うん。マンドレイクはやっぱり魔力が濃厚で美味しいな。」


 『本当ね。初めて食べたけど、すごく美味しい。それに、辛口の方が私は好きかもしれないわ!…でも、何かが足りないような気がするわね。コクが足りないような…。』


 :チョコレートじゃないかな?

 :前回ルーシーちゃんが隠してたチョコを入れたよねw

 :そういえば…。

 :まだ、前回の配信見てないわ…。


 「そうですよ!チョコレートですよ!今回は入れ忘れましたが。」


 「そういえば、前回は料理人に教えてもらって入れたんだったな。鍋にまだカレーが残ってるから、後で入れておくよ。」


 『お代わりしたいから、早く入れてね!』


 「分かったよ。俺もお代わりするから、ちょっと待ってくれ!」


 大和はルーシーに急かされて、自分のカレーを急いで食べ終え、チョコレートを鍋に加えて更に煮込んだ。


 お代わりのカレーを食べたルーシーは、「やっぱりこの味ね!」といいながら、嬉しそうに3杯目のお代わりもペロリと平らげたのであった。


-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



 現在、俺たちは43階層にたどり着いていた。


 ちなみに、41階層~50階層までは遺跡エリアと呼ばれており、45階層にはミノタウロス、50階層には翼獅子が待ち構えている。


 そして、それまでの階層には…。


 「マミーが3体出てきましたよ!」


 :なにこれ?

 :マミー?ママって意味だっけ?

 :『↑発音は同じだけど、これはミイラだ。』

 :海外ニキたすかる。

 :ミイラ男?ちょっと見た目が怖い…。

 :なんか動きがトロいな?これなら、俺でも勝てそう。

 :いや、マミーは意外と手ごわいぞ…。

 :毒持ちだから、一歩間違えるとコイツらに殺されて終わることもある。


 マミー。つまり、包帯でグルグル巻きのミイラ型のモンスターがウロウロしている。


 こいつらは動きは遅いが、攻撃されると毒状態を付与されるという、厄介な特性を持っている。


 俺が初めて戦った時は、油断して噛みつかれてしまい死ぬかと思ったが、キュアポーションの存在を何とか思い出し、そのお陰で助かった。


 というのも、キュアポーションは状態異常を回復してくれるというありがたい物ではあるが、ダンジョンの浅い階層では状態異常を付与してくるモンスターが殆ど居ないため、その存在を忘れがちになるのだ。


 「それじゃあ、1人1体ずつ倒しておこう。俺は左をやる!カエデちゃんは真ん中を頼んだ!」


 「了解です!」


 『それじゃあ、私は右ね!』


 マミーは、手ごわいモンスターではあるが、攻撃さえ食らわなければ問題ない。


 むしろ、防御力などは他のモンスターと比べても低い方であるため、ある程度距離をとって戦えば、簡単に倒すことが出来る。


 ルーシーは、いつも通り遠距離から《ファイヤーボール》で。


 カエデちゃんは、前回から使用中のモーニングスターで。


 そして、俺は遠距離から戦う事も出来るが、今は昔と違って体捌きに自信があるので、いつも通りに近距離から刀で討伐することに成功した。


 :ルーシーちゃんの魔法すげえええ。

 :このパーティーは遠距離火力が高いから、マミーは楽勝だな。

 :あれ?いつの間にかカエデちゃんの武器が怖そうなのに変わってる?

 :モーニングスターな。

 :大和ちゃんは近距離でも全然問題なさそうなんですが…。

 :動きが速すぎて、マミーがついて来れてなかったなw

 :そういえば、視聴者数増えてきてないか?

 :多分、翼獅子とミノタウロスが近づいてきてるからだろうな。


 コメント欄を見た大和は、視界の端の数字を確認すると、確かに視聴者数は増えているようだと確認した。


 このまま行けば、コメントの言う通りならば翼獅子戦ではもっと視聴者数も増え、【はいしん】にステータスアップの能力が本当にあるか判断しやすくなるだろうと考えていた。


 それに、運も上がるならば、何かいい素材を期待できるかもしれない…。



------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 ついに俺たちは、45層にたどり着いた。


 :ここから45層ですね。

 :地図ニキたすかる。

 :サンキュー地図ニキ。

 :地図ニキって、いつもコメント欄にいるよな。

 :特殊スキル持ちだから、探索者のはず。

 :ついにミノタウロスか…。

 :ミノタウロスもグリフォン並みに人気だな。視聴者数が露骨に上がってきたw

 :そりゃ、探索者だったら倒し方を知っておきたいから見に来るよな。

 :逆に言うと、このチャンネル今のところ、探索者か、探索者志望がかなりの割合を占めてると思うから、一般人にはまだ広まってないと思うんだよな…。

 :あと、何とかこの配信の情報を手に入れたエルフ好きもね。

 :お、早速ミノタウロスの登場じゃね?

 :あ、俺も見えた。


 『コメント欄の言う通り、ミノタウロスのお出ましね。』


 俺達を察知したミノタウロスは、前方から突撃の姿勢で走りながら、こちらに近づいてくる。


 頭には鎧をかぶっており、背中に斧を装備している。


 攻撃方法は、頭の角と鎧を活かした突進と、斧による攻撃だったはずだ。


 「あいつは動きが速い。だが、いつものように魔法による遠距離からの牽制とカエデちゃんのガードで足止めしよう!」


 『りょうかいよ!』「了解です!」


 —ブモオオオオ!


 :デカいのに、突進が速いな。

 :もうあんなに近づいてきてる…。

 :クロコダイル・ファイターと同じくらいあるんじゃね?

 :同じような体格だけど、脚力が全然違う。


 『それじゃ、いくわよ!』


 —《ファイヤーキャノン》!


 ミノタウロスの頭を守る鎧を見て、強力な魔法が必要だと感じたルーシーは、いつもより攻撃力の高い魔法を選択した。


 —ドスンドスンドスン


 しかし、ミノタウロスはルーシーの魔法に多少ダメージを食らいながらも、低い姿勢のお陰で鎧でガードしながら突っ込んでくる。


 :ルーシーちゃんの魔法が効かなかったのって初めてじゃね?

 :ええええ、あんなに強力な魔法が効かないのかよ。

 :いや、鎧に当たったせいでダメージが殆どなかったんだと思う。

 :突進中は、真正面からだとほとんどダメージ無しってことか…。


 『なるほど。正面からじゃあ、魔法は殆ど効かないのね。それじゃあ、これでどうかしら!』


 コメント欄を見たルーシーは、別の魔法を選択する。


 —《サンダーブーメラン》!


 魔法を発動すると、ルーシーの目の前に巨大な雷のブーメランが現れる。


 :おお、こんな魔法初めて見た!

 :もしかして、戻って来るのか?

 :長年探索してるけど、俺も初めて見る魔法だな。


 『おりゃ!』


 —バチバチバチバチ


 雷のブーメランをミノタウロスの正面ではなく、右方向に投げた。


 ルーシーの魔法を見て一瞬警戒したミノタウロスだったが、自分に向かってこないのであれば問題ないと考え、そのまま突進することを選択した。


 しかし、

 

 —バチン


 ルーシーが放った雷のブーメランは、弧を描くように進み、ミノタウロスの横っ腹に直撃した。


 —ブモオオオ!


 『いくら速くても、動きが直線的ならブーメランでも問題なく命中させられるわ!』


 :おお!そんな攻略法が!

 :いや、いくら直線的な動きだからって、軌道を曲げた魔法をあんな速い敵に命中させるなんて無理だよ…。

 :やっぱり魔法使う人でも難しいんか…。

 :あ、また動き出したで。


 鎧の無い場所に魔法の直撃を食らったミノタウロスであったが、まだ動けるようで、先ほどよりは勢いを失ったものの、再度突進を開始した。


 『頑丈なヤツね…。次はもっと強力な…。』


 「ここまでスピードが落ちれば、大丈夫です!」


 『それなら、お願いするわ!』


 「はい!私の後ろに隠れてください!」


 カエデは片手剣を横にして、ガードの姿勢を取った。


 :カエデちゃん!近づいてきてるよ!

 :もうすぐそこまで来てるやん!

 :おそらく、ギリギリまで引き付けているんだろう。


 そして、ミノタウロスが警戒して、避けることが出来ない距離まで引き付けて…。


 —《拡大》!


 —ガキン


 カエデの巨大な片手剣は、ルーシーの魔法でダメージを受けて勢いをなくしたミノタウロスの突進を容易く受け止めた。


 一瞬、ミノタウロスは頭への衝撃により意識を手放すが、すぐに意識を取り戻す。


 しかし、その一瞬があだとなった。


 —グサ


 隙を伺って隠れていた大和が、ミノタウロスの首を鎧の隙間から刀で突き刺した。


 —ブモオオオ!


 しかし、まだ致命傷には至らず、反撃のために斧を両手に持とうとする。


 だが、斧を構える隙を与えず、に大和がミノタウロスの両手首を切り飛ばし、


 —ズバッ


 そのまま、両手首が無くなったおかげで無防備になった心臓目掛けて刀で突き刺した。


 —グサッ


 命が尽きたミノタウロスは背中側に倒れ、アイテムをドロップした。


 —ドスン


 「ミノタウロス討伐完了だな。」


 :うおおおお!

 :本当にミノタウロスに勝てるんだ…。

 :すげえええ!

 :やべえええええ!

 :動くミノタウロスを見れてよかった…。

 :このまま行けば、翼獅子も本当に倒せるんじゃね?

 :だから、既に倒してるってば…。

 :未だに一番最初の配信を信じていない人がいるのね…。

 :見てすらいない人も多いと思うよ。


 「それじゃあ、ドロップアイテムの鑑定でもするか。」


 :わくわく。

 :あれって、金属みたいなの落ちてないか?

 :ほんとだ。

 :あれって、ミスリルっぽくね?

 :ポーションも落ちてるじゃん!

 :眼鏡タイム来ました!

 :何がでるかな…。


 「どうですか?大和さん。」


 「Lv3ポーションが1本と、ミスリル鉱石だな。それと、アステリオスの斧?」


 :おお!

 :ボスの武器ドロップまで!

 :でも、今回ミノタウロスくん斧使わせてもらえなかったけどな…。

 :それは言わない約束だよ…。

 :ポーションも!

 :これがミスリルか…。

 :オリハルコンじゃないのは残念だけど、それでも魔鉱石が手に入ったのはラッキーやね。

 :この量なら、片手剣一本ぐらいにはなるんじゃないか?


 「やりましたね!」


 「ああ。もしかしたら、片手剣にちょうどいい量かもしれないから、その時はカエデちゃんが使うといい。」


 「ええ!?そんなの悪いですよ!」


 「いや、カエデちゃんの場合、スキルのお陰で武器自体のサイズはあまり問題にならないどころか、普段は小さい方が持ちやすいだろ?だから、カエデちゃんが使うのが一番いいと思うんだ。」


 『そうね。私も大和の意見に賛成よ。それに、私は今のところ魔鉱石は必要ないし。』


 「それじゃあ、地上に戻ったらありがたく使わせていただきます!」


 カエデは嬉しそうに、2人に感謝の言葉を伝えた。


 :カエデちゃんよかったね!

 :よかったよかった。

 :これでカエデちゃんもパワーアップや!

 :ミスリルってことは、魔法を流しても壊れにくいんだっけ。

 :そう。これで強力な魔剣士になれるで!

 :なるほど。カエデちゃんなら武器が小さくても大丈夫なのか。

 

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