第40話 【はいしん】 エルフは食いしん坊/アルラウネ
「ふあ~。よく寝た~。」
クロコダイル・ファイターの唐揚げを食べた次の日、俺たちはセーフエリアに設置していたテントの中で目を覚ました。
『おはよう。昨日のマッサージのお陰で、ぐっすり眠れたわ。』
「おはよう。ルーシー、カエデちゃん。俺もソロでの探索中は、このスキルには助けられたよ。疲れを残したまま探索すると、いつかはボロが出てしまうと思うから、毎日寝る前にはマッサージをしていこうと思う。」
「これなら、大和さんとルーシーちゃんが出会った場所までは疲れることなく行けますね!」
「その通り!それじゃあ、準備が出来たら攻略再開だ!」
「了解です!」
『朝ごはんも食べてからね!』
「そういえば、まだ食べてませんでしたね…。」
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現在俺たちは、そのままセーフエリアでサンドウィッチを食べていた。
ちなみに、まだ【はいしん】は始めていない。
—もぐもぐもぐ
『これ、食べやすくて美味しいわね。サンドウィッチだっけ?この唐揚げと凄く合ってるわ!』
「そうですよ。朝にはちょうどいいかと思いまして。」
「うん。昨日の唐揚げの残りがあって、よかったな。美味しいじゃないか!」
『これならいくらでも食べられそうだわ~。』
「ルーシーはいつも食べてばっかりじゃないか…。」
『そういうヤマトも、最近よく食べるじゃないの。』
「そういえば、最近お腹が空きやすくなったんだよな~。なんでだろうか?」
『エルフになったからじゃないかしら?』
「エルフになったから?それはどういうことだ?」
『エルフって、食いしん坊が多いのよ。保有魔力が多い種族だから、魔法を多用する傾向にあるの。その減った分の魔力を補うために、モンスターの肉をよく食べていたわ。私たちの世界だと、ダンジョン以外にモンスターが居たからね。そんな感じで、食べる本能というか習慣がついてしまってるせいで、普通の料理もたくさん食べてしまう訳。』
「なるほど。しかし、俺は普段と比べて魔力を多く使っていないと思うんだが…。」
『それに関しては、エルフの本能にヤマトの心が引っ張られているのかもしれないわね。』
「本能か…。」
『ま、あまり深く考えなくても良いと思うわ。私から見て、初めて会った頃からヤマトはヤマトのままだから。』
「その通りだな。体が変わっても俺は俺だ。むしろ強くなれそうなんだから、喜ぶべきだ!」
「大和さんって、凄く前向きですよね…。普通は少しくらい動揺すると思うんですが…。」
と、カエデは呆れたような表情でそう言った。
『それに、今の私を見てわかるように、エルフは太りにくい体質だから、安心して頂戴!』
「え~!食べても太らないなんてズルいです~!私もエルフになりたいですルーシーちゃん~!」
カエデは、ルーシーに自分の頬っぺたを擦り付けながら懇願した。
『もうカエデったら、暑苦しいじゃないの~!離れなさいいいい!』
「2人ともじゃれあいはそこまでにして、そろそろ【はいしん】を始めるぞ。」
「了解です~。」
「ルーシーちゃんのスベスベお肌が~」と言いながらも、カエデは渋々ながらルーシーから離れた。
『やっと離れてくれたわね。それじゃあ、始めましょうか。せーのっ!』
【【はいしん】】!
:お、はじまった。
:おはよ~。
:なんかカエデちゃんが残念そうな顔してるな。
:今日も配信やるのか!
:朝なのに結構見てる人いるな。
:タイトルが「第一回ダンジョン配信part2」になってる…。
「みなさんおはようございます~。今日は森エリアの探索をしていこうと思います!」
カエデは、配信が始まったことで気持ちを切り替え、配信の進行を始めた。
:カエデちゃん朝から元気だなw
:森エリアですか!興味深い!
:朝ご飯食べた?
:俺はまだ食べてない。
:俺は昨日の晩飯の残りを…。
:俺はカツカレー食べてるところ。
:朝からカツカレーw
「朝からカレーですか…。私たちは、唐揚げサンドウィッチを食べたところです!」
:朝から唐揚げも…。
:なかなかヘビーな気がするんだけど…。
:美味しそうだから良いんじゃね?
「それじゃ、そろそろ出発します!」
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—スタスタスタ
『そういえば、このあたりってどんなモンスターが出るの?』
「この辺は、マンドレイクやアルラウネ、それと中層ボスにはグリフォンが出てくるな。というか、カエデちゃんと初めて会ったのがこのエリアだったから、ルーシーも一緒に通ったじゃないか。」
『そうだったわね。うっかり忘れていたわ。』
:マンドレイクって、引っこ抜くと叫ぶ植物だっけ?
:それであってる。
:ついにグリフォンが見れるのか!
:カエデちゃんってソロで森エリアまで来てたんだ。
:ソロでここまで来るのはすごい…。
「私が2人と出会ったのは、38層あたりでしたかね。グリフォンを倒した後に少し進んだところで助けられましたのを覚えてます。」
:グリフォンまで倒せるんや!
:女の子で、しかもソロでそこまで行ってる人なかなかいないだろ…。
:2人だけど、大和ちゃんとルーシーちゃんはもっと先まで行ってるんだよなぁ…。
:えっ、そうだったんだ。
:3人ともめちゃくちゃ強いんだな…。
「おーい、カエデちゃん。アルラウネがいたぞ!」
大和が示した方向には、2足歩行の小さな女性のような見た目のモンスターが4匹歩いていた。
肌は緑色で、植物のような質感をしており、手は蔦のようになっている。
:アルラウネって、こんな感じなんだ…。
:確かに女性っぽくはあるんだけど、可愛くはないな…。
:男の夢が…。
:でも、この見た目なら倒しても罪悪感ないだろうから、むしろよかった。
「それじゃあ、3人で行くぞ。」
『ええ。』「はい!」
「ルーシーは、けん制を頼む!」
『おっけー!』
ルーシーは、アルラウネに向けて手をかざし、手加減しながら魔力を集める。
—《ファイヤーバレット》!
無数の小さな炎の弾が、アルラウネ目掛けて放たれた。
—ギシャアアア
植物系のモンスター故なのか、炎に弱いらしく悲鳴を上げている。
「俺は左の2匹を仕留める!カエデちゃんは残りを頼んだ!」
「了解です!」
大和は、アルラウネ目掛けて走り出したが、それに気づいたアルラウネは蔦状の腕を振り上げ、襲い掛かってきた。
—ギシャアア!
しかし、ルーシーの炎による痛みで、蔦による攻撃は狙いが定まっていなかった。
「そんなんじゃ、当たらないぞ!」
大和は蔦を掻い潜り、アルラウネの目の前に肉薄する。
—ボトッ
そして、2匹とも縦に真っ二つに切り裂いた。
:今回は首じゃないのか…。
:縦に真っ二つやで…。
:えげつない切れ味や…。
:アルラウネって、こんな簡単に倒せるん?
:いや、無理。俺もこの辺に行ったことあるけど、アルラウネって意外と切りにくいんよ。
—ドシン!
大和がアルラウネを倒したと同時に、横の方から大きな揺れが響いた。
「ふ~、カエデちゃんの方も終わったみたいだな。」
カエデの方を見ると、アルラウネは既に巨大化した剣に押しつぶされて、息絶えていた。
:いつもの光景…。
:カエデちゃんの破壊力ヤバすぎ…。
:すげええええええ。
:↑お、新入りか?ここではこれが当たり前だから、覚えておけよ。
:またもや一撃で始末されるモンスターちゃん。
:ダンジョンって、こんなに簡単に探索できるの?
:いや、普通は無理だ。
:普通はこんなに早く進めない。
『やったわね!お腹が空く前に、どんどん進んでいくわよ!』
:おー!
:レッツゴー!
:グリフォン早く見たいな。
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