第34話 【はいしん】新機能?/怒りのカエデ
セーフエリアでの休息を終えた俺たちは、トンネルエリアの中の12階層へと足を踏み入れていた。
第2エリアであるトンネルエリアは11階層~20階層で構成されており、枝分かれした大きなトンネルの中を進んでいくことになる。
トンネルだから暗いということは無く、ほんのりと明るいので視界に関しては問題ない。
:ダンジョンっぽい場所になったね~。
:どんなモンスターが出てくるんだろう?
:ちょっと暗くて見えにくいんだが…。
:確かに。ほんのり明るいけど、配信の映像じゃあ見えにくいな。
:ここによく来るけど、肉眼なら問題ないんだけどな…。
「へー。そうなのか。【はいしん】の設定で見やすくできないかな?カエデちゃん、モンスターの警戒を頼めるか?」
「はい。大丈夫です。」
まだ敵の気配がしないので、大和は【はいしん】の画面を空中に出現させ、歩きながら操作を始めた。
『ちゃんと前を見ないと危ないわよ…。まあ、まだまだモンスターは弱そうだからいいかもしれないけど…。』
ルーシーは、まあいいかという風に後半は小声で言った。
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しばらく進んでいくと、前方にコボルトが2体現れた。
「やっと出ましたね。ルーシーちゃんに任せっぱなしにはしたくないので、今回は私に任せてください!」
『それじゃあ、お願いするわ。危なそうになったら加勢するわね。』
「はい。そこで見守っていてください!」
:次はカエデちゃんの戦闘か。
:コボルトはゴブリンと比べると、ちょっと動きが速いから気を付けて!
:カエデちゃんのスキル的に大きい相手なら有利そうだけど、複数相手はどうなんや…。
カエデは前方に走り出し、片手剣を両手で右上に構えた。
相手との距離がまだ4mほどあるが、剣を振り始めた。
—《拡大》!
スキルを発動した途端、片手剣は5mほどの大きさになり、その重さで地面に向けて加速しながら落ち始めた。
「おりゃ!」
—ブチン!
斜めに振りぬいたおかげで、コボルトを2体とも1撃で叩き潰すことに成功した。
:相変わらずエグイね~。
:拡大の大きさってどれくらいまで行けるんだろうか?
:凄い威力だけど、広いエリアじゃないと力を発揮できなさそうだな。
:こんなスキルあるんだ。初めて見ました。
:こんな映像をモザイクなしで見れるなんてスゲー。
:モザイク設定にしたかったら、下の設定ボタンから出来るぞ。
:え!?Dチューブってそんな機能あったんだ。
:いや、この配信だけそんなボタンがあった。
:あれ?今教えてもらった設定の所から、暗闇サポートモードっていうボタン見つけたんだけど。
:あ、ほんとだ。見やすくなった。
:↑サンキュー。これでエルフちゃん達をしっかり見れるわ。
「どうですか!斜め切りなら、モンスターが多少いても固まってさえいれば、私のスキルで対処できるんです!えっへん!」
後ろを振り向いたカエデは大和とルーシーにドヤ顔で訴えた。
「なるほど!これで暗くても見やすくなるのか!ルーシーの方はどうだ?」
『確かに、暗闇サポートモードにすると配信画面が見やすくなっているわ!コメント欄のみんな、ありがとね!』
:ど、どういたしまして。
:↑俺が最初に言ったんだぞ!
:いや、俺がモザイクモードを教えたから発見できたわけで、俺の功績になるんじゃないか?
:どういたしましてやで~。
:俺が発見したってことにしてもいいかな。
「へ?」
ドヤ顔を決めたカエデだったが、大和とルーシーは空中の配信画面を見ながらコメント欄と楽しそうに話していた。
「も~!なんで2人とも見ていないんですか!ルーシーちゃんも見守ってくれるって言いましたよね!」
『ご、ごめんなさいカエデ。【はいしん】の新しい使い方が分かって、つい…。』
「すまないカエデちゃん…。あ、でもこの【はいしん】の画面から見ていたぞ!ドヤっとした感じの顔もしっかり映っていたから大丈夫だ。」
:大丈夫やで。俺らは見てたからな。
:ずっとお前を見てたぞ。
:ドヤ顔もバッチリ映ってました!
:なんなら、俺の画面ではドヤ顔になった途端に暗闇サポートモードになったから、くっきり映ってました。
「も~!そうやって皆して私をからかって~!私もう怒りましたからね!21層のセーフエリアまでノンストップで進みますよ!」
:これは相当お怒りやで…。
:怒りながらも恥ずかしそうにしてて草
:恥ずかしそうなカエデちゃんも可愛い〜。
:ここにきて探索スピードupか?
「2人ともついてきてください!20層のボスのトロールも単独で倒します!うおぉぉぉぉー!」
『なんだかカエデの背後に鬼神が見えるような気がするんだけど…。』
「奇遇だな。俺にも見える気がする…。恥ずかしさからくる怒りという奴だろうか…。」
—そこからは、猛スピードで進み、カエデが単独でコボルトやデビルバットを倒し、20層にいるボスのトロールまで余裕で単独撃破するまでカエデの怒りは収まらないのであった。
—当時の視聴者によると、普段の1.5倍増しでモンスターの倒され方がグロかったらしい…。
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