第11話 赤鬼/謎の女性との共闘
翼獅子を倒した俺たちはその後、中ボスのミノタウロスを倒し、ジャングルエリアに到達し、エリアボスのドライアドと戦っていた。
「ウシャアアアアアアア!」
ドライアドは、大和に枝をいくつも切り刻まれ、かなり追い込まれている様子だった。
「いまだ! ルーシー!」
「―――――――――――――!」
ルーシーの特大ファイヤーボールを受けたドライアドは、悲鳴を上げながら燃え尽きた。
「よし、ルーシーのファイヤーボールが効果抜群だったな。おっ、ヒールポーションだ!」
ユニークモンスター戦のせいで、残りが少なくなっていたのでワクワクしながら鑑定眼鏡を取り出した。
(Lv3か…。悪くないな!)
大和はアイテムを回収すると、ルーシーの方に振り返った。
「一旦休憩にしよう。」
そう言って、アイテムボックスに入れていた翼獅子の肉を少し取り出し、小休止を始めた。
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休憩後、しばらく歩いていると、休憩している4人の探索者パーティーを見かけた。
—ビクッ
大和とルーシーは、地上を目指して以降、初めて自分たち以外の人間と出会ったので、驚いていた。
ダンジョン内ではお互い不干渉というのが基本的なルールなので、話しかけることは無かったが、4人パーティーの方は、かなり驚いている様子だった。
「こんなところに女の子2人って、珍しくないか?」
「2人ともめちゃくちゃ可愛い…。」
「よく見ると、耳長くね?」
探索者たちは、小声で言っているようだが、エルフになった恩恵で耳が良くなっている大和には丸聞こえであった。
(今はダークエルフの女になってるんだったな。そりゃ驚かれるか。)
久しぶりの探索者との遭遇に、地上に近づいていることを実感しながら、自分とルーシーの見た目をどう説明しようかと悩むのであった。
「そういえば、いつの間にか視界の左端に数字が見えるようになったんだけど、なんだろう。【はいしん】の効果なのかな?」
そう言いながら、少しづつ増えていく数字に、どんな能力なのか考え、また悩みが増えたなと思っていた。
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俺とルーシーは、しばらくモンスターを倒しながら進んでいた。
—ガキンガキン!
すると、前方から戦闘音が聞こえてきた。
「武器がぶつかり合っている音だな。かなり重い武器でやりあってるみたいだが・・・。」
通常より大きい戦闘音に、かなりの強さのモンスターだと考えた大和は、少し足を速め、様子を伺いに行くことにした。
しばらくすると、戦闘現場に到着した。
「あいつ、ユニークモンスターか? 日本の鬼に似ているような・・・。それに、あのデカい剣は何だ? あの女の子のスキルだろうか?」
そこには、デカい金棒を持った5mほどの大きさの赤い鬼の攻撃を、これまた3mほどのデカい剣を地面に立てながらガードしている20歳くらいの女性の姿があった。
「物の大きさを変えられるスキルだろうか? しかし、女性の方は足を負傷しているな。 それに、また妖怪系のモンスターか。 俺が戦った妖怪と何か関係あるんだろうか?」
以前、自分が戦った鵺との関係を疑いながら、女性に声をかける。
「おーい、そこの人! 助けは必要か?」
明らかに、助けが必要な様子だが、ダンジョン内では助ける場合は同意が必要なので、大和は確認をとった。
「お願いします!ポーションを切らしてしまって・・・ぐぐぐぐ。」
鬼の攻撃に耐えるのに必死なようだ。
「今行く!」
大和が駆けていくと、鬼は女性への攻撃を止めて大和に攻撃を繰り出した。
—グワアアア!
大和は、金棒を受けきることは出来ないと考え、鬼に近づきながら回避して手首を切り飛ばした。
鬼は手首の痛みに思わず叫び声を上げるが、すぐに再生してこちらへの警戒を強めていた。
—《マッサージハンド》
大和は、鬼が落とした金棒をマッサージハンドで掴み取り、遠くへ投げ飛ばした。
ちなみに、恥ずかしいので能力名を声に出さなかった。
「これで、武器は使えなくなったな。 おーい!そこの人! こいつの弱点は、頭と胸の中心だ! 頭の方を任せてもいいか!」
「はい! 大丈夫です!」
「じゃあ、先に足を切り飛ばして動けなくするから、再生する前に畳掛けよう!」
そう伝えると、大和は再び走り出し、鬼の右足での蹴りを避け、左足を切りつけた。
すると、支えの脚が無くなった鬼は、地面に尻もちをつくように倒れ、その隙に女性が頭に切りかかろうとしていた。
—《拡大》!
女性が、いつの間に普通のサイズに戻っていた長剣を振り上げた瞬間に、叫び声を上げると剣の大きさが5mほどまで大きくなり、
-ズドン!
赤鬼の頭を叩き潰した。
「よくやった。これで終わりだ!」
-グサッ
そして俺は、頭が再生する前に首を跳ね飛ばし、更に心臓のあたりを突き刺し止めを刺した。
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