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運命の転校生 前世は俺の妻だったそうです!part3

「そうです、前世の記憶です。そして...その前世で、私はあなたの妻だったのです」


俺は呆れたような表情を浮かべた。転校生の美少女が突然こんなことを言い出すなんて、何かの冗談か、それとも...。

「おいおい、何の冗談だよ。」


美月は俺の言葉を遮るように話し始めた。

「信じられないと思うけど、本当なの。私たちは前世で夫婦だった。そして、一緒に暮らして、子供も二人いたんだ」

月城さんは一方的に話し続けた。俺は眉をひそめ、この状況をどう収拾すべきか考えていた。


「それに、子供たちの名前は...」

月城さんは細かく前世の生活を説明し始めた。家の間取り、日々の生活、家族で出かけた思い出の場所...。その描写は驚くほど具体的だった。しかし、このままでは、埒があかないと思い、俺は内心で決断した。


「月城さん」

俺は静かに、しかし毅然とした態度で月城さんの話を遮った。


「悪いけど、俺にはそんな記憶はないし、信じることもできない。こうして話を聞いていても仕方がないと思う。だから、帰らせてもらうよ」

俺は丁寧に、しかし決然とした態度でその場を離れようとした。


「待って!!」

突然、月城さんが俺の手を掴んだ。

「お願い、信じて...」

月島さんは、真剣な表情で俺の顔を見つめてきた。こんな美少女に手を握ってもらえるなんてご褒美なんだろうけど、こんな馬鹿げた話しには付き合ってられないから、月島さんの手を無理やり振り払おうとした。

しかし、その瞬間、俺の頭の中に鮮明なイメージが流れ込んできた。

目の前に広がる光景は、見知らぬはずの家の中だった。俺は自分が大人になった姿で、スーツを着て玄関に立っている。


「おかえりなさい」

微笑みながら出迎えてくれたのは、大人になった月城さんだった。その横には、小さな男の子と女の子。

「パパ、おかえり!」

子供たちが俺に駆け寄ってくる。俺は思わず彼らを抱きしめようとする。

その瞬間、現実に引き戻された。


「今の...何だ?」

俺は息を切らしながら、月城さんを見つめた。月城さんの目は涙で潤んでいた。

「思い出しました,,,,,」

俺は言葉を失った。頭に浮かんだイメージは、まるで本当の記憶のようにリアルだった。でも、それが本当に自分の記憶なのかどうか、確信が持てない。


「これは...一体...」

混乱する俺に、月城さんはゆっくりと語り始めた。


「私にも全ては分からない。でも、生まれた時から、これらの記憶があったんだ。そして、ずっとあなたを探してきた」

俺は震える手で額を押さえた。頭の中が混乱している。なんで、こんな記憶があるんだ? 見たこともない光景なのに、どうしてこんなにリアルに感じるんだ?

そして、目の前にいる月城さんの存在が、俺の混乱をさらに加速させる。


(前世で、月城さんと夫婦だった...それに子供が二人いて、円満な生活をしていた。夢のような展開だろうけど...年齢=彼女なしの俺にとっては急展開すぎて、意味がわからなすぎるぞ)

俺は頭の中で、思考を巡らせていた時、突然、鋭い頭痛が走った。月城さんが来た時から感じていたあの違和感が、より強く戻ってきたような感覚だ。

(なんで、またこの頭痛が...もしかして、さっきの記憶と何か関係が...?)


俺は眉をひそめ、頭を押さえた。混乱する頭の中で、謎の違和感と目の前の状況が重なり始めていた。

「大丈夫?」

月城さんが心配そうに覗き込んでくる。

「ああ...なんでもない」

俺は強がりを言いつつも、この状況の不可解さに戸惑いを隠せなかった。

「月城さん、これは一体...」

言葉につまる俺を見て、月城さんの目に涙が光った。

「信じられないかもしれない。でも、本当なの。」

月城さんの声は感情に震えていた。


「私たちは前世で夫婦だったの。やっと...やっとあなたを見つけられた」

月城さんの顔には喜びと安堵の表情が広がっていた。その表情を見て、俺はさらに混乱した。この状況が現実なのか、夢なのか、もはや判断がつかない。


「俺には、何の記憶もないんだけど...」

「分かるよ。突然のことで、混乱してますよね」と月城さんは優しく言った。

「でも、もう少しだけ話を聞いてくれる? お願い」


俺は戸惑いながらも、「わかった...」とゆっくりと頷いた。

話しは長くなると思い、俺と月城さんは、公園のベンチに腰掛け、話を聞くことにした。前世での生活、二人の出会い、結婚...。話を聞けば聞くほど、現実感が薄れていく。でも同時に、どこか懐かしさも感じる。矛盾した感情に戸惑いながら、俺は黙って最後まで効いた。


「月城さん」

俺は慎重に言葉を選んだ。

「俺と前世でつながりがあったのは、いまだに完全には信じられないけど、このような思い出があるということは、前世で月城さんと繋がりはあったのだろうね」

「そうだね!岩瀬さんに、私との前世の思い出をしっかりと話せたので、よかったよ!」

月城さんは満面の笑みで、声高らかに言った。


「でもさぁ、それって前世の話だよね。過去のこと。今さら前世をさかのぼって意味があるのか?」

前世といっても、所詮過去のことだ。記憶があるない関係なく、今、俺が過ごしているのは現世なのだから、前世の話をされたところで、何も変わらない。冷たい発言なのかもしれないが、前世に対して特別な思いがあるわけではないのだから、この発言をして、月島さんにどう思われてもいいと思っている。


案の定、この発言のせいなのか、月城さんの表情が一瞬曇った。しかし、すぐに決意に満ちた目で俺を見つめ返してきた。

「実はね...」

月城さんは、少し間を開けて、真剣な表情で再度、俺の顔を見つめてきた。


「私たちの前世には、約束事があってね、その約束を果たすために、このお話をしたんだ」

俺は眉をひそめた。 (約束事? いったい何のことだろう)

「はい。私たちは前世で、『次の人生でも必ず一緒になる』と誓い合ったんだ」

「えっ...」

「だから、私は...」


月城さんは頬を赤らめながら続けた。

「岩瀬くんと付き合いたいんだ」



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