プロローグ
まずはじめに、全ての人に問う。自分の前世って知っているか?
たまに「前世の記憶を持った少年」というタイトルでYouTubeに投稿されている動画を見かけるけど、正直、どこまでが真実なのかはわからない。そもそも、自分の前世を知ったところで何か変わるわけでもない。ましてや、前世に関わった人なんてもうこの世にいないだろう。
だけど、もしも前世で自分と関わりのある人たちが実際に目の前に現れたらどうする?
そんな荒唐無稽な話、誰も信じないだろう。俺だって、つい最近までは完全に他人事だと思っていた。
けれど、今となっては現実だ。俺の日常は、ある日突然、激変した。
転校生として現れた彼女。「あなたは私の前世の夫です!」という衝撃の告白から、全てが始まった。
そして次々と現れる謎の少女たち。前世では愛人だったという子、妹だったという子。彼女たちは皆、俺の前世について語る。
だが、俺には何の記憶もない。ただ、時折頭に浮かぶ断片的なイメージと、どこか懐かしい既視感だけが、彼女たちの言葉が真実かもしれないと告げている。
正直、困惑している。突然現れた彼女たちは、俺の前世についてあれこれと語り、まるで昔からの知り合いのように振る舞う。けれど、俺にとっては全くの他人だ。前世の妻?愛人?妹?冗談じゃない。そんなの信じられるわけがない。
でも、彼女たちの真剣な眼差しを見ると、嘘を言っているようには思えない。かといって、すんなり受け入れられるほど単純な話でもない。
これからどうなるんだろう。俺の平穏な日常は、もう二度と戻ってこないのかもしれない。前世の記憶を持つ彼女たちと、何も覚えていない俺。この奇妙な状況が、一体どんな方向に進んでいくのか、想像もつかない。
ただ一つ確かなのは、前世の記憶のせいで俺の人生が振り回されていることだ。これが良い方向に向かうのか、それとも最悪の事態を招くのか。それすらも、わからない。
ちなみに、俺の名前は岩瀬暁。ごく普通の高校2年生...だったはずなんだけどな。
さて、この先、俺はどうなってしまうんだろう。前世の記憶を持つ彼女たちとの学園生活が始まろうとしている。