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ム限焉転  作者:
第一章 転生
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第一話 異世界はいい世界?

 冥界の長いトンネルを抜けるとそこは異世界だった……

 

 っと、この世界にきて三日になるのだが……


 なんてか……

 やることがない!

 

 スマホもねぇ、パソもねぇ、電気がそもそも通ってねぇ…

 の三拍子が揃ってやがる!


 現代に生きていたオレにとって、これは中々に辛い!


 厳密には母さんの手伝いをしているけど、それだけだ。


 暇つぶしって、どうしていたんだろう…


 そんなことを思うと、必死に働いている農業関係者や労働者全てに申し訳ない気持ちになる。


 けど、本当に何をしたらいいのかわからない。


 とはいえ、景色は最高にいいんだよな。


 周りを見回すと、どこか時間が止まったかのような静けさと美しさに満ちている。


 見渡す限りの麦畑は、風に揺れる黄金色の海のようで、太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。


 道は舗装されていない土の道で、馬車の轍が深く刻まれ、道沿いには色とりどりの野花が咲き乱れている。


 遠くには小川がゆったりと流れ、木々がその両岸を覆っている。


 家々は石造りや木造で、藁葺きの屋根が特徴的だ。

 自然と人々の生活が調和した、平穏で素朴な美しさに溢れている。


 景色はいいのだけれど、三十分も見れば飽きてしまう。

 元々田舎暮らしだったから、あまり代わり映えしない。

 強いて言えば、家屋の違いと道がアスファルトか砂利道かの差くらいか?

 あとは米か麦かの違い?


 現代に暮らしていたオレには、ここの生活の大きな差に戸惑いがある。


 一番の問題はトイレと風呂だ!


 田舎の家ということで、石造りと木材の組み合わせでできていて、平屋だが割と広い。

 部屋数は四部屋あり、リビングとキッチンも揃っている。

 トイレは外にあり、週に二回くらい、決まった時間に汲み取りに来る。


 風呂はないが、井戸がある。この井戸が唯一の救いだ。


 冷たく澄んだ水は、日々の生活の中で欠かせない存在となっている。

 夏にはこの水で体を洗い、冬には薪を集めてお湯を沸かし、手洗いや洗濯に使う。


 最悪、風呂は何とかなるとしても、トイレが辛い。

 用を足すのはいいとしても、拭き取る紙がない!


 一体、皆はどうやって拭いているのだろうか…?手?手なのか!?

 それなら、たとえ水で手を洗っても、赤痢や大腸菌が心配だ…


 草でも使うか?

 いや、被れるかも。

 陶器の破片で拭くなんて話も聞いたことがあるが…

 

 無理!

 じゃあ、木の枝か?

 それも嫌だな。


 木の枝に藁でも巻きつけて使えば、藁を交換すればいいし、まだマシな気がする。


 うん、それでいこう。


 でも、オレがこの子の体に乗り移った時に家の床に転がっていた。

 状況から考えると、床に頭をぶつけたか、何かの理由で亡くなった後に倒れたのだろう。


 けど、なんでオレはこの子の体に乗り移ったのだろう?何か理由があるのか?


 考えてみてもわからない。わからないことを考えるだけ無駄だ…


 この子の記憶を見たけど、オレが乗り移る前は甘やかされて育っていた。

 そのせいで、やんちゃに育っていた。


 椅子を積み上げて高い棚に手を伸ばし、キッチンの床には粉を散らばらせたり、引き出しを開けて服を引っ張り出したり、やりたい放題だ。


 母のルーザはそんなアルを叱っているが、父のアレンは「元気があっていいじゃないか」と甘やかしている。「子供は小さな怪獣なんだから、ちゃんと躾けないと手が付けられなくなるぞ」とアレンに言いたい…


 子供がいないオレでもそれくらいはわかる。


 子供がいてもおかしくない年齢のオレだが、結婚もしていないオレに子供はいるはずもなく、子持ちの親の気持ちもわからない。


 でも、もし子供を授かったらオレもこうなるのだろうか?


 経験したことのない事を論じても始まらないか。


 しかし…父さん、母さんかぁ。


 オレにとっての父と母は17歳までの記憶しかないが、小さい頃の思い出も残っている。


 小さい頃のオレも、この子ほどではないが、やっていることはほぼ同じだ。

 元の世界の父や母の対応も、アレンやルーザとあまり変わらない。


 どの時代でも、普通の家庭の親は変わらないのかもな。

 ただ、オレにとっての親はやっぱり元の世界の父と母なんだ。

 アレンやルーザは、言ってしまえば近しい他人にしか思えない。


 オレにとっては、親と子というよりも、親と養子なのではないかと思えてしまう。

 もしかしたら、養子として迎え入れられた子はこんな気持ちなのかもしれない。


 だけど、まぁ、この世界のことも何も知らず、行くあてのないオレは、ここで上手くやっていこうと思っている。


 ―――



 夜になり、オレは夜空の星座を見上げていた。

 この世界と元の世界の星座に違いがあるのか、確かめたかったからだ。


 もし全く違っていれば、ここは別次元の世界だと考えられる。


 しかし、時間軸が違うだけなら、北極星が見つかれば北の方角がわかる。

 

 もし南十字星が見えれば南半球だと言えるだろう。

 北半球なら北極星の位置から大まかな緯度も推測できる。


 オレが知っている星座は、北極星、カシオペア座、北斗七星、そしてオリオン座くらいだ。


 まずは北斗七星と北極星を探すことにした。


 夜空に目を凝らすと、すぐに見つけることができた。


 これで、ここが北半球であることが確認できる。

 次に、オリオン座とカシオペア座も探し始めた。

 これもすぐに見つけた。


 だが、オリオン座を見ていると、どこか違和感があった。

 ベテルギウスがあるべき場所に見当たらないのだ。


 これはどういうことだ?

 爆発するする詐欺のベテルギウスは爆発したのだろうか?

 それとも、もともとこの世界には存在していないのか?


 四つの星座のうち三つが元の世界と一致しているなら、この世界が時間軸の異なる場所である可能性は高い。


 しかし、はっきりとしたことはわからない。


「まぁ…一旦、保留だな」


 オレは一度結論を出すのをやめた。

 次の機会に考えることにした。


 もしこの世界の夜空が元の世界と同じなら、北の方角は北極星を基準に判断できる。


 北極星の高さから、ここが元の世界の日本と同じ緯度にあるかもしれないと推測した。


「ま、こんなところかな」


 一通りの観察を終えたオレは、満足して家の中へと戻った。


 こうして、アルレフレクス・マガァライシューとしての新たな生活が、静かに幕を開けたのだった。


えと、初めから書き直そうと思って書き直しています。

突然のことで申し訳ありませんがご了承ください。

たぶん、大幅に展開が変わっていくと思いますがご理解の程をお願いします。

突然の変更に申し訳ありません。

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