六百八十二話目「カレの切り札、そして、カレの取る手段」
γは服装を変える。
匣には、〈服装交換〉や〈早着替〉などの機能が付いている物がある。通常の匣より高価だが、買える人は買う。
彼が付けていた帽子、コート、手袋が消え、それどころかその下に着ていた服――ダークスーツもズボンを除いて消えた。
その結果、上半身と裸足の足が露わになる。
そのおかげで彼の顔立ちと体付きが露わになる。
顔は整ったイケメンと評される顔。その眼はクルセイダー特有の白黒反転目。
身体ははかなり筋肉質。外からは痩せた体型に見えたのだが、どうやら着やせするタイプだったらしい。
そして、オウカは肌の一部の僅かな色の差からある事に気づく。
(やっぱり人工皮膚か……)
どうやら体の一部を機械化しているらしい。
(下手をすると、それ以外も色々弄ってそうだな)
そう思っていると、更に変化が起こる。
結膜が白になり、光る十字架が消えた。
つまりは能力を解除したという事だった。
「?」
その行動に疑問に思ったオウカだったが、その答えはすぐに明らかになる。
目の周りにひび割れが浮かび、威圧感が増した。
(ドーピング?)
そう思ったが、何かが違う。
その時だった。
「行キ〼ヨ?」
先程とは違う口調と同時に、今までで一番のスピード……どころか数倍以上の速さでγは間合いを潰し、手斧を振り下ろす。
「!」
それに下がる事で避けるオウカ。
だが、完全に避けられず、皮一枚掠る。
(受け止めたら潰される……)
そこへγは追撃。
それはシンプルに左右に持った手斧を交互に振り下ろし、振り回す。
単純だが、それが斧の乱舞、刃の竜巻、鋼の暴風とでも言うべき攻撃を繰り出す。
(威力と速度が桁違い……)
オウカは受けるのは無理、動きを阻害すると判断し、一旦付けていた武器防具を一つを除き仕舞う。
残ったのは│鉄靴。蹴撃上昇より、機動力上昇を狙う。
更にポケットからメリケンサックを出して装着。
イムロン製であり、この間に貰った物。
実は失敗作・欠陥品の倉庫にあった物ではない。
使ってみてくれ、と渡された。
冥刀化はしていないが、コンパクトで持ち運びしやすいので、そのまま使っていた。
そうして、身軽となり……
「やっぱり戦闘はインファイトだろう!」
敵目掛け突っ込んで行った。
……彼も十分脳筋である。




