六百六十一話目「その時、カレは動いた」
■□■□
思い返すミユ。
すると……
[あ、解除された]
マユがこの空間の封鎖が解除されたのを感じ取った。
それと同時に、彼女の元に誰かが来た。
それは……
「先輩……」
「よ」
サクヅキ=オウカだった。
その恰好はメイド服を着ている。
しかもかなり似合う。
「……」
「どうした?」
「本当に似合ってますね」
「誉め言葉として受け取って置く」
そんな彼にミユは訊ねる。
「先輩は何をしてたんですか?」
「うん? ああ、悪趣味な下衆にちょっとな」
「「ちょっと?」」
マユと言葉が重なった。
絶対ちょっとではない。
それにオウカはこう言う。
「今頃、クルージングを楽しんでいるさ」
そして、笑った。
◇◆◇◆
オウカはミユが乗り込む客船に乗り込んでいた。
まず、給仕をする人を探す。
そして、面倒そうにしているメイドに声を掛ける。
『はあ、面倒ね~』
『なあちょっといい?』
『何です?』
そして、いきなり札束を渡し……
『面倒なら変わってくれない?』
『え』
『今日のバイト代なら払うからさ』
『はあ……』
『ああ、そうそう。この事は黙っていた方が良いよ?』
『は、はい(。言ったら不味い事になる……)』
そういう訳で快く(?)変わって貰う。
そして、銭豚がいる大広間で、手際よく働きながら、気を伺う。
その後、ミユが奥の手を使い、空間に氷樹を伸ばした際に、ここにもそれが通じる。
それに客達は慌てる。
『何と言う不手際だ!』
『に、逃げるぞ!?』
『おい、貴様ら私を守れ!』
『リスクを負ったらどうする!?』
皆が混乱する中、大広間にハチのモンスターが現れる。
『KITIKITIKITI』
歯を鳴らしながら、辺りを見渡す。
『数は有利だ!』
『全員でやるぞ!』
護衛がハチを倒そうとする中、オウカが動く!
『外道を守る奴は外道だ』
手に双剣を持ち、体を低くして、一気に突撃。
『生きる価値はない』
護衛の足を切って行く。
『ギャア!?』
『ホゲエ!!』
そのままオウカは、その刃を殺し合いを楽しむ悪趣味な下衆に向ける。
『金持っていたら、何しても良いと思ってるのか?』
『イヤアアアアアア!』
『お前らのような外道に、アキレス腱が付いているのが許せないんだ』
『ギャア!?』
『変態ニコイチ』
『痛い!?』
アキレス腱を切って行く。
老若男女容赦はない。
そして、その場で立っているのはオウカとハチだけになる。
後は……痛みに呻く人達。
オウカはハチに視線を向ける。
『護衛はあげる。銭豚共には用があるんだ。譲ってくれないか?』
『……』
それにハチは理解したかのように頷いた。
【コソコソ話】
(#ー#)<今回蟲毒に参加したモンスター、頭の良さはまちまち。
(・▽・)<もしかして、協力してくれたのって……。
(#ー#)<ああ。察しの通り。人間の言葉が理解出来る奴らだな。
(#ー#)<このまま戦うより、生存率が高い方に掛けた訳だな。
(㈩*㈩)<じゃあ死んだのって……。
(#ー#)<ただ暴れる奴らだな。




