六百五十二話目「カノジョにとって面倒事」
そんな三人にオウカはとりあえず……
「ただいま。どうした?」
再び挨拶、そして疑問をぶつけた。
それに答えたのはマユ。
「おかえり」
「おう。で?」
「……。面倒事がやって来た」
「面倒? もしかして……」
目線をマユから移す。
すると、移された張本人が口を開く。
「……わたしの件」
嫌そうに言ったのはミユ。
それは彼女が組織から、円満に抜けるために出される三つの依頼。
今の所、二つまでクリアしている。
つまりは三つ目が出たと言う事。
それにオウカは卓にある手紙を指さす。
「読んでも?」
「「……」」
誰も答えないが、沈黙の肯定と受け取り、読み始める。
暫くして読み終える。
「……」
オウカもまた沈黙してしまう。
手紙の内容は殺しの依頼。
ただし、ターゲットが指定されていない。
場所、日付、時間の指定があり、そこで指示するとの事。
そして、場所は……
「豪華客船ね……」
ご丁寧にチケットまで同封されている。
ただし一人分。
「一人で来いとまで書いてある……」
「完全、罠嵌」
卓の上のネラが機械アリの姿で、器用に肩を竦める。
「……で?」
オウカはミユを見る。
「どうするの?」
「……」
無言のミユ。
暫くして言葉を絞り出す。
「どうするも何も……」
「何も?」
「行くしかないです」
嫌そうに言う。
本当に嫌そう。
それにオウカは続けて問いかける。
「それで? 俺らは?」
「付いてきて欲しいですけど……」
その先が言えない。
完全に相手側に警戒されている。
だが、それにオウカは少し笑う。
「大丈夫」
「え……」
「潜入は得意だ。それに……」
マユとネラに視線を移す。
「一匹と一つならセーフだろ?」
「? ……あ」
ミユも理解した。
彼女もマユとネラを見た。
だが……。
「他の人にくっつくのはちょっと……」
「右同」
あんまり良い顔をしない。
冥刀は使い手が死ぬまで契約者を変えないのだから、当然と言えば当然。
とは言え、今回は流石に主義を曲げて貰わなければならない。
なので、どうにか説得し。
「はあ……。わかった。今回は仕方ない」
「不承、不承」
どうにか納得して貰う。
「さて……じゃあ打ち合わせだ」
そう言ってニヤリと笑うオウカ。
「全部都合よく行くと思っている馬鹿共を」
一拍置く。そして
「地獄へ落とすぞ」
宣言した。




