六百五十話目「その後のコト」
そして。
≪紅露御刃亜≫を全滅させた彼らは次の作業に移る。
それは……
「どこだ?」
「もしかして~、消し飛んだ~?」
「縁起でもない事言わないでですわ!」
拉致された生徒達の救出だった。
……というかこちらが本命である。
……まあ若干忘れていた点もあるが。
「でもさ、廃倉庫にはいなかったよね?」
「うん~。あちこち目を飛ばしたけど、見当たらなかったよ」
実はキョウコは逃がさないよう結界を張り、マーカーを付けただけではなく、生徒達の捜索もやっていた。
「もしかして~、売られた~?」
「だから、そういう事言わないでですわ!?」
ボケるキョウコにツッコミを律儀に入れていくベニバナ。
その様子を見ながらオウカは考える。
(カチコミは迅速におこなったから、取引完了はない……よな?)
つまりはどこかにいる。
(確かこういう時は……)
オウカが思い出したのは、メイド師匠の話。
授業ではなく、雑談で聞いた彼女自身の話。
彼女の実家は極道だった。
とは言え、義理人情に厚く、堅気を守り、弱きを助け強きをくじく「昔気質」であったため、外道なシノギ――誘拐、ヤクの売買、人身・臓器売買、売春、脅迫、詐欺などはやっていなかった。
では何をやっていたかと言えば、守り代、闇金やの出資、アリバイ会社、芸能ビジネスである。
……若干アウトなのも混ざっている。
そして、自分達のシマで違法なシノギをした者達には容赦がない。
特にカタギに迷惑をかける、ヤク、人身、臓器売買をおこなう半グレやマフィアには問答無用で粛清する。
その際、攫われた人の救出もおこなうのだが、今の時代は人を入れられる匣があるので、人身の運搬が楽になり、逆に見つけにくくなったと聞いた。
『ですがやはり生物を入れるのは難しいですから。条件指定をしないと』
その言葉を思い出し、オウカはイガラシの死体に近づく。
そして、ふとカードケース状の匣を見つける。
妙に頑丈そう。
「もしや!」
それを開けると、そこにはカードに閉じ込められた生徒達がいた。
「いました!」
「「!」」
その言葉に二人がやって来た。
「……本当に厄介な能力持っているね~」
「これ戻せるんですの?」
「まあ専門家に任せましょう」
そういう訳で、拉致された生徒達は全員救助された。
後日、カード内から解放も出来た。
因みに実習は、行動評価となり、公平に点数が付けられたそうだ。
【TIPS:ヴァイオレットクロス〔カード〕】
(#ー#)<クロスだから人によりけり。
(#ー#)<コイツの場合、創り出したカードに生物を閉じ込められる。
(#ー#)<能力と相性がマジで良かった。
(#ー#)<因みに、アイツが死んだら消滅するんだが……
(#ー#)<特殊な作り方をしたモノは消えない。
(#ー#)<それどころか檻のように使える。




