六百三十二話目「カノジョは拳士」
【TIPS:三奇拳 そのⅠ】
(#ー#)<捕捉説明。オーラを使うプレイヤーは少ない。理由はわかるか?
(・▽・)<難しいから?
(#ー#)<ああ。鍛錬が必要で、開化するのも結構時間がかかるんだ。
(#ー#)<そのうえ、出力は地力に左右されるからな。使い手も少ない。
(#ー#)<だからこそ、この三つはオーラを増強させて使用する。
(#ー#)<なんでも、竜の氣に着想を得たらしい。
(#ー#)<だから出力が弱い奴でも、中々な破壊力は出せるんだ。
(・▽・)<なるほど。
あのオーラを使える時点で確定した。
彼女はミナミダと同門どころか、恐らく中伝……否、皆伝以上の実力者。
つまり……
「お前……イデア百獣拳の獣拳士だったのか!」
もう絶句するしかないクモタだった。
★☆★☆★
“三奇拳”
そう呼ばれる徒手空拳の流派がある。文字通り三つ。
それぞれ共通項として、打・投・極などの体術一辺倒ではなく、オーラ操作による近中遠距離技や、属性を使った魔法のような技を使う。
分類としてはシャーマンに当たり、モンスターのチカラを使う。
その中で、霊獣と呼ばれる実体のないモンスターと契約、その体に宿す事で超常的なチカラを振るう事が出来るのが――『イデア百獣拳』
残り二つの源流でもある最強の拳法。……諸説あり。
その使い手を獣拳士と呼ぶ。
それを教えているのが百獣寺。
他の二つ――片方は一族にしか伝えず、もう片方は言うは易く行うは難し――と違い、門徒は広く開かれているため、誰でも門下生になれる。
ただし正式な獣拳士――霊獣と契約出来るのは皆伝以上、つまり大勢の中の一握り未満。
そもそも壮絶な修行を乗り越え体と技を鍛えねばならない。……乗り越えればスキルと見まがうような身体操作が可能になるが。
そして、それを乗り越えたとしても、心も重要視するため、幾ら技と体が優れていて、才能があったとしても、契約は許されない。
特に、“とある事件”のせいでそれは更に厳しくなっている。
だからこそ、ミナミダは中伝が限界だった。
▼▽▼
驚くクモタだったが、ある違和感が浮かぶ。
(……?)
それがクインのオーラの色と、契約している霊獣の数。
五色五匹。
(おかしい。本来百獣拳は一種類の獣と契約するはずだ)
複数と契約した者など聞いた事がない。
(百歩譲って二匹なら良い。なのに……五種類?)
これは確実におかしい。
なにかトリックがある。
なので。
「これはどういう事ですか?」
直接聞く事にした。
その問いにクインは……
「……」
沈黙で返す。
その顔は優れない。
「言いたくないか……」
これで確信する。
恐らくこの少女は正式な獣拳士ではない。
ならば幾らでもやりようはある。
「では力づくで聞き出そう」
そうして戦いが再開した。
【TIPS:三奇拳 そのⅡ】
(㈩*㈩)<ところで、この残り二つって?
(#ー#)<……出て来るの先だからな。ちょっとだけ言うか。
イデア百獣拳:下記二つの源流でもある。契約。
紀元前からあった。皆伝以上で契約可能だが、現在はかなり厳しく、正式な獣拳士はかなり少ない。
バグズ界蟲拳:分派。破門された拳士が作った。拝領。
江戸時代くらいに確認。とある一族のみが使用可能。そのため人数は一番多い。
ドラグ真龍拳:分派。偶然生まれた。簒奪。
いつの間にかあった。ある条件を満たさなければならず難易度はドエライ事になっている。現在正式継承者はいない……と思われる。
(㈩*㈩)<……何か気になるワードが出てる!?
(・▽・)<契約、拝領、簒奪……。チカラの入手手段がまるっきり違いますね。
(#ー#)<詳しくは追々。




