六百二十八話目「カレこそが、カレこそが」
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そんな幹部四人にしか現れないリーダーは緑色のジャケットの男――イガラシ=ヒビキ。
戦い方はナイフとチャカを使ったオーソドックス(?)なスタイル。そこに振動属性の魔法を混ぜて戦うため、攻防、近中遠、360度隙がない。
実は一番の新参であるミナミダに無傷で勝利した程。
これに加えてモンスターを作り出す事まで可能なのだから、もう手に負えない。
幹部四人は全員がイガラシをリーダーと認めていた。
なのだが、実はイガラシは表向きのリーダーに過ぎない。
本当のリーダーが存在する。
それが――クモタ=サワアキという普通の男。
実は程々の地位にいて、クランを見ているのだが、その見た目状誰も気にも留めていない。
それを利用し、裏で彼がイガラシに指示を出し、クランを運営をして、モンスターを作り、カード化している。
今回の人間狩は人数が多いからこそ、ほぼ全員が出張っており、この二人も出張っていた。
この会話も見つからないようにおこなわれた。
なのだが……
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イガラシがその場から消えたと同時、クモタは動く。
匣から出したのは多彩なオブジェクト。
多種多様なモンスターの遺骸もあれば、一部分も存在する。
金属や木材もあり、幻想金属もあれば、樹齢が三桁四桁の霊木まである。
それらを辺り一面に広がる様に設置する。
そして、中央に立ち、両手を合掌。集中し始める。
詠唱や手印をしなくても、集中すれば術技は発動可能なのである。
暫くすると、オブジェクトが変化していく。
『GAAAAAA……』
『GYAGYAGYA』
『GIIIIII』
『KARORORORORORO』
『KYUUUUUU』
『KIRIRIRIRIRIRI』
そして数多のモンスターが生まれる。
それにクモタはカードを出す。その数はモンスターと同数。
投げるとモンスターがカードに取り込まれ、彼の元に戻る。
それを確認して、彼はカードを右手に集めると、左手を空にする。
すると、全く同じモノが生み出される。
暫くその作業を続けていたが……
「……」
突如、その動きが止まる。
そして、斜め後ろを見る。
そこには何も居ないのだが……
「出てこい」
カードを仕舞い、代わりに違うカードを出す。
そこから出て来たのは、天使模したような大砲。
ソレがエネルギーの砲撃を放った。




