六百二十二話目「カノジョの暴走」
「■■■■■■!!」
言葉で言い表せない咆哮をベニバナは上げた。
「な、なんだあ!?」
Kが見る中、ベニバナの姿が変貌していく。
動物、昆虫、古代生物、幻獣のクロスで生物のチカラを発揮する際には、獣人となる場合が多いのだが、その配分は人それぞれ。
人によっては角や翼が生える程度の変化の場合もあれば、人間の成分どこ行った? と言いたくなる人外変化となる場合もある。
因みに、練度を上げるとある程度配分自在となる場合もある。
ベニバナの場合、尻尾と角が生え、多少鱗が浮き出るいわゆるドラゴン娘のような姿となる。
なのだが、今回はそこから更に変貌する。
角が長くなり、巻き角となる。
髪の毛が足元まで伸び長髪となる。
手足が鱗に覆われ、爪が伸びる。
背中からは翼が生える。
歯が鋭くなり犬歯は口元から少し出る。
尻尾が1.5倍程長くなる。
「■■■……」
変貌したベニバナは唸りながら、辺りをキョロキョロと見渡し、自身をこうした相手を探し始める。
(見つからねえってハナシ)
Kはスキルとアイテムの双方で姿を隠している。
見つかるはずはない……はず。
少ししてベニバナは行動を開始する。
息を吸いこみ、
「■■!!」
上空に目がけブレスを放つ。
それは上空に上がると花火のように飛び散る。
そして、光弾が隕石のように降り注ぐ。
「いっ!?」
すぐさまその場から離れるK。
一秒後、光弾がそこに着弾。
どうにか走りながら回避していく。
そこへ……
「■!」
「見つk」
ベニバナがKを見つける。
今のKは視えず、聞こえず、匂いもない。
だが、動けば気流が動く。それをベニバナは感じ取った。
「■■!!」
ベニバナは爪を振るう。
そこから五つの鎌鼬が飛び出す。
それに対しステルス状態を解除し、ダイナマイトを爆発させ鎌鼬を掻き消す。
その粉塵からベニバナは飛び出し、拳を振るう。
それはKに直撃……したかに見えたが……
「■!?」
拳の着弾場所が大爆発を起こし、ベニバナは吹っ飛ぶ。
それにKがニヤリと笑みを浮かべる。
「まさか使わされるとはな……」
Kの着ている服は、爆発反応装甲のようになっており、外部衝撃で爆発する。しかも爆発には指向性があり、相手へのカウンターになるが、自身にはダメージはないという優れものだった。




