五百九十四話目「カレとカノジョの一撃」
そして、結果が現れる。
『GI……GA……』
先に力尽きたのは――【デウス】。
マユの放った一刀が翼を切断した事で、地面に落下した。
そして――それを見逃す彼らではない。
オウカがシャウトする。
「行くぞぉーー! 力を振り絞れ野郎共!」
それに三人は答える。
「「誰が野郎だ!」」
ツッコミを入れながら、総攻撃。
「もう空には飛ばせない!」
ミユが氷の鎖を出してボスを雁字搦めに縛り付ける。
「私の手足は武器」
マユはボスに近づきざま、手刀を作り振るう。
斬撃で放っていた物をそのまま放つ。
威力減衰はなくなった最大限の一斬は、ボスを真っ二つにした。
「俺が上をやる」
「当機、下部」
そこへオウカとネラは分かれて飛び出す。
オウカは思考速度を極限まで加速させ考える。
(さて、どうするか……)
必要なのは、大火力の一撃。相手を跡形もなく消し去る攻撃。
(派手に行く……? いや駄目だ)
出し惜しみはしないと決めていたが、嫌な予感がする。
とは言え、それ相応の火力が必要。
ならば……
「だったらこれだな」
オウカはバックステップで距離を取る。
そして、出したのは先程も使っていた大砲。
チャージをおこない、全てを絞り出す事で次の一撃の威力を最大にする。
ネラは今までの仕込みを全解放。
自身の攻撃が効きずらいと分かってから、仕込んでいた物。
〈属性強化〉、〈魔法強化〉、〈一撃強化〉、〈防御低下〉、〈耐性突破〉、〈耐性減衰〉など。
それらを多重化させ、連結させ効果を向上させ、魔法陣として展開。しかもそれは平面ではなく球体状の立体魔法陣。
そもそも彼女は補助が専門。
傭兵団に居た頃も、専らサポートが主だった。
戦闘をする際は色々準備をして、仕込みをしなければ、超一流と渡り合う事は出来ない。
だが、逆を返せば、準備さえ出来れば、彼女は凄まじい火力を発揮可能。
(良時。丁度、光霊、使用、可能)
実はとある術を使うため、光の精霊が使用可能になるのを待っていた。
そして、奇しくも両者の一撃は同時に放たれる。
「塵と化せ」
オウカが大砲から放ったのはエネルギーの極光。
今までの比較にならぬ破壊力と規模。
だが、それと引き換えに、砲身は発射と同時に爆発した。
……直に大砲自体が崩れる。
「〈属性崩壊〉」
ネラが放つのは六属性を混ぜ合わせた攻撃。
凄まじい破壊力を誇り、耐性すら突破するが、少しでも配分をミスすれば自分諸共消し飛ぶ。
彼女が持つ制御力あっての術。
エネルギー二閃はボスを消し飛ばした。




