五百八十九話目「降臨したモノは怪物」
……
…………
………………
そうして彼らは一番奥に辿り着く。
情報によれば、開かない扉があるはずだったが、そこにはあったはずの扉はなく、細い通路が続いていた。
そして、そこを潜り抜けた先に……
「わお」
「こう来るんだ……」
「ふうん」
「驚愕……」
闘技場があった。
中々広く、観客席まである。
古代ローマにあった物に近い。
……流石に観客はいないが。
「ここで戦うのか……」
「ダンジョンボスがいるんですかね……」
「でも、見た限り何もいませんけど……」
「……」
辺りを見渡す中、ネラは沈黙している。
そして、オウカの肩からネラが飛び降りる。
「どうした?」
オウカの問いに、ネラは答えない。
「……」
無言のまま大量の機械アリを辺りに走らせる。
暫く索敵してから、彼女はこう言う。
「注意。精霊、不居」
「え……。マジか」
オウカは流石に驚く中、他の二人が聞いてくる。
「?」
「それの何がおかしいんですか?」
「精霊、身近、存在。全然、不居、在得」
精霊は普段は見えないだけで、どこにでもいる。
自然の中に多いが、街の中だって少ないがいるにはいるはずなのだが……
「全く存在しない……のはおかしいんだよ」
オウカもそう言う。
彼は精霊術に適性はないが、メイド師匠から色々習っているため結構良く知っている。
そして、マユが訊ねる。
「理由は何が考えられるの?」
オウカとネラはそれに考え……
「精霊が嫌うモノが存在する……とか?」
オウカの意見。
メイド師匠曰く、精霊を大量に使い捨てにする、戦略兵器の半径数十キロは精霊がいなくなったらしい。
因みに、その兵器は師匠が完膚なきまでに破壊し、資料全てを焼き払い、データを抹消し、考案者と製作者は一人残らず殺している。
本人曰く。
『許容できなかったので』
との事。
「精霊、畏怖、存在」
ネラの意見。
精霊が怯えるナニかがいる場合もいなくなる。
ソレは危険なモンスターだったり、ヤバいプレイヤーだったりする。
精霊は危険察知のチカラも高いのだ。
そして、その問いの答えはすぐに示される。
闘技場の真ん中に光が現れる。
「「……」」
四人がそれを無言で見る中、その光は浮き上がり上空で形を成していく。
そして、形が成した後、実体が現れる。
それは巨大な怪物。
獣のような頭部、鋏を持った四本の腕、鳥のような翼、蛇の様な尻尾を持っている、巨大な異形なるモノ。
『GAGYAAAAAA!!』
そして咆哮を上げた
【TIPS:精霊】
(#ー#)<ファンタジーで御馴染みのアレだな。
(#ー#)<実は見えないだけで、あちらこちらにいる。
(#ー#)<まあ、そういうのは知能は低いし、形も不定形だな。
(・▽・)<成長して、強力なのになるのですか?
(#ー#)<ああ。形を手に入れ、自我が濃くなる。
(#ー#)<普通は鳥獣型なんだが、人型になったりするモノもある。
(㈩*㈩)<因みに道具の素材になったりもする。破壊兵器とかの。




