五百七十三話目「ナニを話そうか」
呼び方を変えて、
「さて何か話そうぜ」
「……良いですけど、何を話すんですか?」
雑談をする事にした。
「趣味とか? 因みに俺は色々」
「色々……ですか」
「うん。これと言ったものはないから」
時間が空いたら、何をするかは決めていない。気分によって――鍛錬、読書、漫画を読む、散歩、昼寝、料理、ネットサーフィンなどなど。
「今の時代は娯楽が多いから」
何もしないでゴロゴロする時もある。
「……昔々の人みたいな言い方ですね」
「うるせえ」
オウカの反応にクスクス笑ったミユは自分の事を語る。
「わたしは……読書でしょうか?」
「一緒だな」
「一緒と言えるかわかりませんけど……。先輩は何を読むんですか?」
「武器やモンスターの図鑑とかだな。後、料理本」
意外と見ていて楽しいのだ。
その答えにへえという顔になるミユ。
「だから色々詳しいのですね」
「そうかも。そっちは?」
「物語ですね。賞を取った物とかよく読んでいます」
彼女が挙げた小説はどれも聞いた事がある物ばかり。
そんな中でふと気になった。
(アレ?)
なので聞いてみる事にする。
「一つ気になったんだけど」
「何でしょうか?」
「続きがあるのとか、シリーズものは読まないの?」
ミユが挙げた小説は、どれも一冊で完結する物ばかり。
それに彼女は苦笑してから答える。
「敢えて読まないんです」
「その心は?」
「ヒトって、何時死ぬか分からないじゃないですか」
特に自分は何時命を落としても分からない職場にいた。
今ここで生きているのは、実力のおかげであるが、奇跡みたいなもの。
「だから、何時死んでも悔いが無いようにしているんです」
その言葉にオウカは
「そうか。そう言う考えもあるな」
彼女の意見を肯定する。
それに少し驚いたような顔をするミユ。
「どーした?」
「てっきり何か言われるかと……」
彼女はオウカを何か反対意見を言うなり、説教して来ると思っていた。
それにオウカは苦笑して返答する。
「人の数だけ意見があるからな。否定する気はない」
オウカは他者の意見や主義を基本否定しない。
ただし意見がぶつかり合ったり、その主義が自分に害を及ぼす場合は話が別。
容赦をせずに叩き潰す。
(その辺は大馬鹿野郎と変わらないのかも)
口元を歪めたオウカだった。




