五百五十二話目「ソコにいるものは何」
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(そういえばクラスでも話題になっていたな……)
何人かが依頼して、その仕事っぷりに感心していた。
(まさかジンナの知り合いだったとは……)
そんな事を思っていると、目的の場所に到着。
「廃ビル……?」
「見られると色々不味いから」
それは廃屋。
そこに入っていくジンナの後ろに付いていくオウカ。
中ほどまで進んでジンナは床を軽く足で鳴らす。
すると……
「!」
床の一部が開く。
そこには階段。
それを降って行く二人。
音が響いて来る。
「ああ、懐かしい」
思わず零すオウカ。
彼にとっては聞き覚えがある音。よく聞いていた音。
金属同士のぶつかり合う音。
だが、それは剣戟の音ではない。
それは槌音。熱された金属を叩き、強度を高める鍛冶の音。
オウカが友達であるヴィーのところに行くといつも聞いていた音。
「そういえばヴィーさんって人が鍛冶師だったね」
「ああ」
階段を降り終え、目の前には扉。
開けようとして、ジンナは行動を止め、振り返ってオウカを見る。
「お願いがあるんだけど」
「何?」
首をこてんと傾けるオウカ。
それに真面目な顔してジンナは続ける。
「襲わないでね?」
「??」
疑問符を多数浮かべるオウカ。
なのでジンナは続ける。
「中にいる人がどんな人でも襲い掛からないでね」
その言葉に憮然とした顔を作るオウカ。
「俺が誰彼構わず殺すような奴に見えるか?」
それはコジュウロウの担当(?)である。
そんな彼にジンナは苦笑して続ける。
「知ってるよ。でも念のため」
「……」
無言のまま思考する。
(つまり何かしら襲うような要因があるって事か)
なのでこう言う。
「俺は基本、相手が襲い掛かって来なきゃ、対応しないぞ?」
「……言われてみれば確かに」
通っている高校の在校生や大半の教師からは物騒な人、と思われているが、彼と親しい面々は知っている。相手をボコボコにする際も、相手からやって来た場合がほとんどである。
それを思い返すジンナは最後の確認を取る。
「じゃあ開けるね」
「おう」
そして、扉を開けた。
そこは鍛冶場だった。炉、金床、槌がある。
しかし、問題があった。
槌を振っているのは人型で、着流しの着物を着ている。
だが、それは人間ではなかった。
【後書】
(#ー#)<幾ら強力なクロスを手に入れて、無事に高校を卒業出来たとしても、
(#ー#)<それだけでやって行くのは難しい。
(・▽・)<それはそうでしょうよ。
(㈩*㈩)<でも、懐事情によっては最初の方はそれだけでやって行かなくちゃならないんじゃない?
(#ー#)<まあな。でもいつかは躓く。武器、防具。装身具が必要になる。
(#ー#)<それらはショップで手に入れる。
(#ー#)<デパートとかでも扱ってるが、小規模だからな。行くなら専門店だな。
(・▽・)<まあデパートって何でもありなんですね……。
(#ー#)<収入が上がってきたら、オーダーメイドを頼んだりもする。
(#ー#)<なんだが、詐欺もある。金と素材をだまし取られる例も結構ある。
(㈩*㈩)<サクも騙されていたね。
(#ー#)<アレは……アイツのフォローする訳じゃないが、しょうがない。
(・▽・)<紹介した教師もグルでしたしね。
(#ー#)<それもあるが、それまでは結構真面目にやって来てたんだ。
(#ー#)<アイツが預けた素材が希少品ばっかりだから魔が差した。
(㈩*㈩)<……しょうがないとは言わないけど、許そう。もう報いは受けたから。
(・▽・)<拷問で壮絶死して、遺体は魚の餌になりましたし。
(#ー#)<惨すぎる!?
(・▽・)<師匠の影響で、サクは舐めた奴は容赦しませんから。




