五百四十五話目「戦いはドウなった」
それに対し、二人の行動は早かった。
クインはブラックホールを生成、ヒナタは顎を奔らせる。
再び激突、拮抗、消滅。
それが七回繰り返される。
(痛い、苦しい、辛い……)
ブラックホールを生成しながら、クインは内心顔を顰める。
かなりの体力と気力を消耗している。
これが破られたら、重力のチカラは暫く使えなくなる。
それ以外の手札は二つあるが、一つは暗殺や諜報用なので使いにくい。もう一つはバレるとかなり面倒臭い事になるので隠して起きたい。
(後一本……)
鎌首を擡げる顎を見ながら、ヒナタは内心顔を顰める。
体力と気力はまだ平気だが、使えるモノが少ない。
これが破られたら、外套は暫く使えなくなる。
義肢は元々補助なので、この状況では使いにくく、残る手札はハンマーのみになってしまうのだが、こちらには問題がある。
だからこそ!
((これで決める!))
お互いの意見が一致する。
クインは今までで一番大きいブラックホールを作り出す。
ヒナタは残りの顎に全てのチカラを込める。
そして、両者が激突……かと思われた時だった。
「「そこまで!」」
乱入者が現れる。
オウカとマリアだった。
オウカは前に出る事で攻撃を止めさせ、マリアはパイルバンカーでブラックホールを砕いた。
「!? な、何してるの!?」
ヒナタはどうにか攻撃を止める。
「ん!?」
クインは無表情が崩れ去る程、驚愕する。
両者共に驚いている。
それに二人は答える。
「このまま続けたら、場所が持たん」
「それにどちらか死にますよ?」
更にマリアは微笑んでから続ける。
「後、お二方隠して起きたいモノを使う事にもなりますよ?」
「「……」」
両者沈黙。
そして、戦闘状態を解除した。
「……わかった」
「ん」
そうして模擬戦は終わった。
……
…………
………………
その後、解散となり帰り道。
オウカはヒナタと歩いていた。
因みに他の面々は道が違ったり、何かしら用事があったりする。
マリアは一緒に帰ろうとしていたが、カヤに呼び出されていた。
と言う訳で二人きり。
「不完全燃焼……」
ぼやいたヒナタにオウカは苦笑する。
「気持ちはわかるけど、あそこで止めてなきゃ、エライことになってたぞ」
「それはわかる」
どっちも止まらなくなっていた。
「それに手札は無闇矢鱈に出すものじゃない」
秘めて置いた方が対策はされないのだから。
【コソコソ話】
(・▽・)<クインさんのチカラについての詳細は追々。
(㈩*㈩)<アレだけでも十分強いけど……。
(・▽・)<まだ一端しか出ていない上に、
(#ー#)<上に?
(・▽・)<まだ強化する余地がある。半分程。
(㈩*㈩)<うわあ……。
(#ー#)<……(ん? 半分ってどういう事だ?)。




