五百三十四話目「カレとカノジョのジョーカー」
オウカは大鉈を消す。そして、首に掛けていたペンダントを握る。すると腕輪と指輪に変わる。
それにヒナタが反応する。
「使うんだ。サク」
この中で唯一オウカの新しい鬼札に付いて知っているのが彼女である。
「アレ、何?」
大半が知らないので、代表してバイカが訊ねる。
それにヒナタは答える。
「冥刀」
「「え」」
全員の目線が向く中、オウカが出したのは――二つの武器。
一つは、分厚く大きな剣鉈。柄頭にはチェスの駒であるナイトの彫刻がある。
もう一つは、長ドスサイズの片刃の剣。柄頭にはこちらにはビショップの彫刻がある。
剣鉈を右手に持ち、片刃剣を左手に持ち、柄頭同士をくっつける。
「〈フィアンケット〉」
その言葉と同時、剣鉈と片刃剣が合体して、双刃剣となる。
それを見たレイリはゾクゾク……とする。
(ああ……、この人は私を認めてくれたんだ……)
それが嬉しい。ならばこそ。
(私もそれ相応の手札を出さなくちゃ)
そして、レイリの体から炎のようなオーラが揺らめき立ち昇り始める。
それは巨大斧に注ぎこまれていき、オーラを更に強力なモノへと変えていく。
そして、両者準備を終え、構えを取る。
だが、どちらも動かない。
「……」
「……」
観客達も固唾を飲んで見守る。
「「……!」」
そして、一番最初に動いたのは――レイリ。
「行くぞぉー!」
「来い!」
応えるオウカ。
地面を踏み砕き――実際に砕ける――先程とは比べ物にならないスピードで、オウカに迫り、巨大斧を振るう。
「ハア!」
(不味!?)
先程のように引きつけてから避けようとしたが、嫌な予感がしたので、変更しようとする。
だが、それは少し遅かった。
轟音と共に振り下ろされた巨大斧。
直撃は避けたオウカだったが、余波である衝撃波と、砕けた地面の破片を喰らって吹っ飛ぶ。かなりのV.F.が削れる。
(マリアみたくなってる!?)
剛力無双にして、怪力乱神の友人を思い浮かべたオウカ。
「まだまだです!」
そこへレイリが追撃を入れてくる。
それをオウカは双刃剣で受け止め、
「川の流れのように〜」
受け流す。そして、
「ハア!」
受け流した力と、自身の力を合わせた一撃をレイリに叩き込もうとする。
だが、それをレイリは織り込み済み。
「!」
「えヘヘ、止まりました」
レイリはオーラを攻撃が当たる場所にして集中させ防ぎ切った。




