第493話:それは完全に、ガチャと言える。
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時間はオウカ達が須臾叢雅に会い、冥刀の説明を受けている所まで戻る。
【ムジョルニア】の説明が終わり、次は肝心要の【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】の説明を始める。
『君達は知っていると思うが、冥刀……その原点である天剣は儀式のための儀礼剣なのだよ』
「「全く知らないんですけど」」
「今は置いておいてください」
知らない面々にルラが注意する。
話の腰を折られては堪らない。
須臾は説明を続ける。
『そして、叢雅一門でなくても優秀な刀工はいる。それらの武器を利用できるようにと作ったのだが……』
溜息を吐く須臾。
その様子にシロは察する。
「代償が重かった?」
『重いというか厄介でね。欠点系なのだよ』
欠点の代償というのがある。
奥義を持っていても、使用に条件があったりするのが入る。
『そうだな……。サクヅキ君。そこに落ちているスコップがあるだろう?』
「これですか?」
何の変哲もないスコップ。
因みに以外と便利であり、槍代わりの武器としてどこぞの元殺人鬼は使った事がある。
『それを冥刀化してみてくれ』
「……わかりました」
スコップに触れて発動。
「〈チェック〉」
その言葉と同時、スコップが輝き、消滅した。
「は?」
「へ?」
「うん?」
「わふ?」
「ござんす?」
「ああ、そう言う事か……」
ほぼ全員思っていたのと違う結果に、変な声を出してしまう中、シロだけが察する。
そして須臾に確認する。
「確実に冥刀化できる訳じゃないんですね?」
『その通り』
須臾曰く。
【グウェンゾライ】は冥刀でない武器・道具に、補正・変形・能力を付与し、疑似的な冥刀にする。
ただし、確実に冥刀化できるとは限らず、失敗すれば消滅する。
オウカが恐る恐る訊ねる。
「ええと、どれくらいの確率ですか?」
『概算は一%くらいだね』
「「低!?」」
その場の全員ツッコミを入れる。
『まあ、腕の良い刀工の作品なら確率が上がるし、それより低い物もあるけど』
「最大でどれほどでしょうか?」
『一割』
「「やっぱり低い!?」」
【ルンペルシュティルツヒェン】以上の問題作と言った意味を理解した一同。
だが、問題はそれだけではなかった。
『しかも……』
「「まだ何かあるの!?」」
『補正・変形・能力は過去・現在・未来の冥刀からランダムに選出される。当たりもあれば外れもある』
つまりは使える武器になるかは完全運次第。
「ガチャじゃねーか!?」
ジョージのツッコミに一同頷いた。
【コソコソ話】
(#ー#)<……(絶句)……。
(・▽・)<これ私の愛刀を遥かに超える問題作じゃないですか?
(㈩*㈩)<うん。だからあの変態も仕舞っていた。それを戦闘狂が見つけた。
(・▽・)<【ルンペル】は石ころすらも冥刀に出来るのに……。
(㈩*㈩)<まあこれも出来なくはない。確率凄く低いけど。
(㈩*㈩)<でも……その分かなり強力になる時もある。
(㈩*㈩)<後、一つずつじゃなくて複数一気も可能。
(・▽・)<十連ガチャみたいですね。天井とかないんですか?
(㈩*㈩)<ない。
(#ー#)<糞ガチャじゃねーか!?




